追加契約のがん保険、無事成立しました。

前回の続きです。

お客様のスケジュール変更に伴い、11月末予定だった契約手続きを今月初めに行いました。以下の手順で申し込み手続きを行い、雑談も含めて1時間ほどかかりました。

①保険会社所定の意向確認書でお客様の意向を最終確認し、記入していただく。

②契約概要・注意喚起情報(マーカーと付箋済み)を手交し、お客様に内容を確認していただく。

③ご契約のしおり・約款(マーカーと付箋済み)を手交し、管理人はもう1冊のご契約のしおり・約款を開いて、読み合わせ形式で重要事項を説明する。

④告知書に健康状態を記入していただく。

⑤申込書の記載事項(印字されている、住所・氏名・性別・生年月日・申込内容)に、誤りがないかを確認していただいたうえで署名をいただく。

⑥口座振替依頼書に記入・捺印していただく。

⑦意向確認書・告知書・申込書・口座振替依頼書のお客様控えを手交。

手続き終了後、速やかに保険会社に申込書類一式をレターパックで送付しました。やや時間がかかりましたが、18日付で保険契約が成立したことを確認し、お客様にその旨を連絡しました。

あとは、保障が開始されるのを待つだけです。

↑玄関脇の樹木に佇むアジアイトトンボ夏型の♂(8月撮影)。

まさかの基礎疾患発覚。プランを大幅修正。

数か月前の話ですが…前回の続きです。

5月末にお時間をいただくことができたので、お客様宅に訪問しました。

前回の話し合いで、

<①がん保険の保障は現行の契約を解約するのではなく、新たに通院治療を保障する主契約を別保険会社の商品で追加することも検討していいのではないか。

②終身医療保険は、「手術給付金の保障範囲の見直し」と「先進医療への対応」の2点で現行の契約を解約し、別保険会社への商品に乗り換えるというのは、年齢と払込期間の変化に伴う支払保険料の増加という負担を考慮すると、積極的に行うべきとは言えない。

③がん保険や医療保険の保障見直しよりも、ご自身の生活保障を今後の保障の中心に据えるということが重要なのではないか?そのためには就労不能状態を保障する生命保険商品を検討する必要がある。>

という結論に達したため、①と③を並行して話を進めることにしました。

①については、ひまわり生命とあんしん生命のがん保険(双方とも治療給付型)を比較提示して、パンフレットおよび設計書を用いて両社の保障の違いを説明しました。

③については、いわゆる「生活保障型」の収入保障保険を提示しました。提示したのは、あいおい生命とネオファースト生命の商品でそれぞれ設計書とパンフレットを用いて両社の違いを説明しました。

この時点で、お客様は③についてかなり強い関心を示されました。これは③で絞り込みかな?と思った矢先、お客様から「基礎疾患があっても加入できますか?」と思わぬ質問が出ました。

「基礎疾患と申しますと?」と質問すると、「実は( )でして。定期的に通院しています。」との返答をいただきました。

管理人は動揺を抑えつつ「( )って、確か、国指定の難病でしたよね?」と念のために確認すると、「そうです。手帳が発行されています(現物提示)。現在は生活に支障が出てない状態です」とのことでした。

この時点で③の加入は不可能がほぼ確定…念のために、保険会社の担当者に電話をかけて引き受けの目安を確認してもらうと、やはり「引受謝絶」でした。そこで率直に「③は残念ながら引受謝絶ですから、断念しましょう」と申し上げました。

この結果、お客様は①を実行することとなり、追加契約として選択したのはひまわり生命のがん保険でした。

以上です。

↑クヌギの樹液にやってきたノコギリクワガタ(6月撮影)。

遺族年金等(収入保障保険)の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年4~6月の裁定概要集(PDF)に、遺族年金等(収入保障保険)の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 遺族年金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 被保険者が多発転移性肝腫瘍により死亡したため、令和元年10月に契約した収入保障保険にもとづき、遺族年金等を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され遺族年金等が支払われなかった。しかし、以下の理由により、遺族年金等を支払ってほしい。

(1)被保険者は、募集人に対し、悪性黒色腫の手術後、定期的に再検査・精密検査をしていたこと、肝転移を疑う精密検査を受けていたことを伝え、告知の要否を相談したが、募集人から、「定期的に受けているなら可」と言われたことから、特段告知することなく契約が成立した。

(2)医療機関の回答書には、検査結果は良性血管腫であり、死亡原因との因果関係はないとされている。

この事案は既に裁定終了となっています。

「悪性黒色腫」とはメラニン色素をつくる「メラノサイト」が癌化して発生する悪性腫瘍です。皮膚がんの一種としても知られていますが、粘膜や眼部でも生じます。

粘膜に生じた悪性黒色腫は、皮膚に生じたものより予後が悪いそうです。

さて、被保険者は悪性黒色腫の手術後、定期的に再検査・精密検査を受けていたようですが、この時点で契約申し込み手続きをすること自体に??です。

と申しますのも、このようなケースでは、保険会社の引き受け査定が大変厳しい結果(引受謝絶の可能性がとても高い)になるからです。

<保険会社の主張>によると、医療機関への確認で、被保険者は告知日以前に「転移性肝腫瘍疑い」で紹介受診し、告知日3ヵ月以内に検査を勧められていたことが判明しています。

その後、悪性黒色腫による多発転移性肝腫瘍(悪性黒色腫が肝臓に転移しており、画像検査で腫瘤が多発していることが確認できる状態)で亡くなったのですから、保険会社が告知義務違反による契約解除としたのは妥当でしょう。

仮に正直に告知していたら、引受謝絶となっていたものと思われます。

【裁定事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和5年4~6月裁定概要集・P40~41より転載)。

[事案2022-96]遺族年金等支払請求
・令和5年4月27日 裁定終了

<事案の概要>
 遺族年金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 被保険者が多発転移性肝腫瘍により死亡したため、令和元年10月に契約した収入保障保険にもとづき、遺族年金等を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され遺族年金等が支払われなかった。しかし、以下の理由により、遺族年金等を支払ってほしい。

(1)被保険者は、募集人に対し、悪性黒色腫の手術後、定期的に再検査・精密検査をしていたこと、肝転移を疑う精密検査を受けていたことを伝え、告知の要否を相談したが、募集人から、「定期的に受けているなら可」と言われたことから、特段告知することなく契約が成立した。

(2)医療機関の回答書には、検査結果は良性血管腫であり、死亡原因との因果関係はないとされている。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)医療機関への確認の結果、被保険者は、告知日以前に悪性黒色腫の「転移性肝腫瘍疑い」にて紹介受診され、告知日前3ヵ月以内に検査をすすめられていたことが判明しており、告知義務違反に該当する。

(2)被保険者の死因は、悪性黒色腫による多発転移性肝腫瘍であることから、不告知事項と因果関係がある。

(3)募集人は、被保険者から、悪性黒色腫にかかる検査受診について聞いていたものの、告知項目における「がんの疑いでの再検査・精密検査」の該当性の判断はできないとして、主治医への確認を案内した。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、告知時の状況と和解を相当とする事情の有無を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、遺族年金等の支払いを認めることはできず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑春の夕日を浴びるシオヤトンボ・♀(4月撮影)。

金融庁が外貨建保険にメス?販売体制を問題視?-日経報道。

9月29日の日本経済新聞・朝刊に外貨建保険に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 金融庁は銀行や証券会社の外貨建一時払い保険の販売について実態調査に乗り出す。他の金融商品との比較説明などが不十分で、売れば売るほど営業担当者の人事評価や給与が高くなる体系にも問題があるとみている。調査で具体的な問題が見つかれば、金融機関側に販売や評価体系の見直しを促す。

 調査は銀行・証券会社と生命保険会社の双方を対象とし、時期を分けて行う。2023年末ごろまでは、販売動向などをリスクベースで選定した銀行・証券会社数十社程度に対し、アンケート調査や対話によるヒアリングを重点的に実施する。年明け以降をめどに、生保各社の取り組みの状況を確認する。金融庁は生保各社に契約件数や中途解約率などデータの提供を依頼している。>

とのことです。

【管理人の感想】
これは管理人個人の考えですが、そもそも外貨建保険や変額保険を資産形成手段として扱うことに無理があります。保険は保障を確保する契約です。

資産形成を目的とするなら、それこそ証券会社(オンラインを含む)で金融商品(積み立てNISA、株式投資信託等)を購入したり、株式投資をしたりすればいいのです。

さて、記事冒頭なようなことを、金融庁は業界団体との意見交換会で主な論点として提起したのでしょうか?

令和5年度(令和5年4月以降)における業界団体との意見交換会で、金融庁が提起した主な論点を取りまとめたPDF資料を読む限り、そのような事実は確認できませんでした。

・主要行等(令和5年4月11日)

・全国地方銀行協会(令和5年4月12日)/第二地方銀行協会(令和5年4月13日)

・日本証券業協会(令和5年4月18日)

・生命保険協会(令和5年6月9日)

・主要行等(令和5年7月25日)

・全国地方銀行協会(令和5年7月12日)/第二地方銀行協会(令和5年7月13日)

・生命保険協会(令和5年7月21日)

・日本証券業協会(令和5年7月18日)

では、いったい何を根拠に記事を書いたのでしょうか?考えられるのは

①今年6月に金融庁がHPで公表した、「リスク性金融商品の販売会社による 顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」(全体版)のP17にある、

<6.来事務年度の対話・モニタリングの主なポイント

金融庁は、以下の観点から、引き続き対話・モニタリングを実施していく。

〇リスク性金融商品の販売・管理態勢の強化
・ 仕組債や外貨建て一時払い保険を含むリスク性金融商品の販売に関し、特定の商品への販売偏重や苦情が寄せられていないか。また、顧客の真のニーズの把握や分かりやすい説明を含め、適切な販売・管理態勢が構築できているか

・仕組債を販売する場合は、仕組債関連ガイドラインへの対応にとどまらず、経営陣が責任を持って、顧客の最善の利益を踏まえた商品性の見直しや販売可否を判断しているか>

②8月29日に公表した「2023事務年度金融行政方針」概要(PDF)にある、

<Ⅲ.金融システムの安定・信頼を確保する

〇顧客本位の業務運営の確保に向け、高リスクの金融商品の取扱いを含め、顧客の最善の利益に資する金融商品の組成・販売・管理等に関する態勢整備を促す。>

コラム(PDF)のP42~43にある

<コラム16:顧客本位の業務運営に関する販売会社の取組状況

 金融庁は、金融機関における顧客本位の業務運営を促進するため、2023年6月、「リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果 」を公表した。本レポートでは、モニタリングで認められた販売会社の課題等を示しており、主なものを以下のとおり整理した。

(1)略

(2)リスク性金融商品の販売・管理態勢

①(略)

販売会社は、運用・保障・相続等の顧客ニーズを的確に把握し、外貨建一時払保険がそのニーズに最適な商品かを検証した上で、顧客に対して、商品の特徴やリスク特性等を丁寧に説明する必要がある。また、商品性を十分に理解できる顧客に対し、長期保有を前提に提案・販売する必要がある。しかしながら、多くの重点先で、目的別の販売において以下の課題が認められた。

販売目的  販売態勢面の課題
運用    リスク・リターン・コスト等に関し、他金融商品との比較説明を未実施

保障    目標到達型保険で、目標到達後に保険を解約させて保障期間を断絶

相続    非課税枠を大きく超える保険金等の額を契約時に設定

(3)従業員に対する適切な動機付け
 販売会社が顧客本位の業務運営を推進するためには、営業職員が「取組方針」に則した行動を促す業績評価となっているか、業績評価の改定によって営業現場の行動がどのように変化しているか等について、第1線はもとより、経営陣や第2線・第3線が継続的に検証する必要がある。

 しかし、多くの重点先で、「取組方針」で、収益に偏重しない業績評価体系とすることで顧客本位のコンサルティングを行う旨を掲げているにもかかわらず、販売手数料の高い外貨建一時払保険や仕組債の販売に係る個人評価のウェイトが高いため、営業現場がこれらの商品へ販売に傾注していた。

 また、販売会社が真の顧客ニーズに即した金融商品を提案するためには、営業職員に対して提案に必要な専門性を身に付けさせることができる研修や人事制度の整備が必要である。仮に、それができない場合には、営業職員の経験等を考慮し、金融商品を現状の職員の説明能力で販売できる範囲に限定する必要がある。

 しかし、多くの重点先で、研修が形式的にとどまっていたほか、一部の先で、取扱商品の多さから、営業職員が商品性を十分に理解していない懸念が窺われた。

 金融庁は、販売会社が、創意工夫を発揮し、それぞれのベストプラクティスを目指して、顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合うことを期待している。今事務年度も、販売会社にこうした取組を促すとともに、顧客の最善の利益を追求する販売・管理態勢が構築できているか等について、モニタリングしていく。>

ではないかと推測しています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2023年9月28日朝刊-

【金融庁、外貨建保険にメス 販売体制を問題視】

 金融庁は銀行や証券会社の外貨建一時払い保険の販売について実態調査に乗り出す。他の金融商品との比較説明などが不十分で、売れば売るほど営業担当者の人事評価や給与が高くなる体系にも問題があるとみている。調査で具体的な問題が見つかれば、金融機関側に販売や評価体系の見直しを促す。

 調査は銀行・証券会社と生命保険会社の双方を対象とし、時期を分けて行う。2023年末ごろまでは、販売動向などをリスクベースで選定した銀行・証券会社数十社程度に対し、アンケート調査や対話によるヒアリングを重点的に実施する。年明け以降をめどに、生保各社の取り組みの状況を確認する。金融庁は生保各社に契約件数や中途解約率などデータの提供を依頼している。

 外貨建保険は顧客から預かった保険料を米ドル建てや豪ドルなどの外貨で運用する。海外の金利が日本より相対的に高ければ資産運用の効果も大きくなる。半面、為替変動でリターンが減ったり、円換算後に元本割れしたりするリスクをはらむ※。

<※管理人補足:外貨建保険は契約者が払い込んだ保険料(円)を外貨に換えて、死亡保障または死亡・高度障害保障を米ドルや豪ドルで確保します。積立利率や予定利率が高いと、解約返戻率も高くなります。

ただし、為替が円高に振れて、契約時のレートよりも円高になると円換算時の保障額や解約返戻金額が減少します。逆に契約時のレートよりも円安が進むと、円換算時の保障額や解約返戻金額が増加します。

なお、保険料を月払い等で支払う外貨建保険の場合、為替が円安に振れると支払保険料も増えて、負担が増します。10年または15年で保険料を払い終える外貨建保険を「学資目的」で契約していると、為替が円安に振れて保険料の負担が重くなり、保険料の払い込み終了前に解約してしまうケースもあります。

外貨建保険は「為替の影響」という不確実性を内包しているので、保障を確保する手段として必要なのかを慎重に判断してください。>

 外貨建一時払い保険は銀行窓口での販売は大半を占める。米欧の金利上昇を受けたニーズもあり、22年度の銀行窓口における販売額は前の年度比8割増の約3兆9000億円だった。23年度は円建の販売も伸びているが、5月末時点では外貨建も前年同期比プラスで推移している。

 販売額が増える一方、一時払い保険の預かり資産残高はここ数年横ばいで推移している。金融庁がアンケートを実施回答を得た先を集計したところ、主要行などで15兆~16兆円、地銀で11兆~13兆円となっている。販売増加額や解約率、保険全体の販売額に占める割合も金融機関によって大きく異なる。

 金融庁は販売・管理体制に課題が多いとみている。「運用目的で販売したが、他のリスク性金融商品とのリターン・コストなどの比較説明がなされていない」「保障目的で目標到達型の保険を販売したが、目標到達後に保険を解約させて保険期間を途絶えさせている」といったものだ。

 顧客より自らの収益を重視するような業績評価体系にも懸念を抱いている。保険販売に占める外貨建て一時払い保険の販売割合がほぼ10割の銀行では、外貨が円貨に比べ2.5~4倍の業績評価が設定されているケースがあった。適合性原則に照らして問題がある場合は改善を求める。

 銀行・証券会社と生保による販売後の顧客へのアフターフォローが十分かどうかもチェックする。一部の地銀からは「顧客の運用成果などの必要な情報を生保から受け取っておらず、サポートができない」といった声もある。時期を分けて調査することで双方の意見を精査する。

 政府が「貯蓄から投資」を掲げる中、外貨建て一時払い保険に限らず金融商品の適切な販売・管理体制の構築は重要な課題だ。商品を組成する側にも事前にどういった顧客を想定しているのかを定義し、販売を委託する責任がある。

 高リスクで複雑な仕組み債を巡っては千葉銀行など3社が業務改善命令を受けた。顧客の知識や投資目的などを把握せずに勧誘・販売するなど、投資家保護の体制に重大な欠陥が見つかった。

 今回の外貨建て一時払い保険の実態調査でも「契約者保護において重大な不備が見つかれば、行政処分を出す可能性はある」(金融庁幹部)。金融庁はリスク性金融商品の販売を含めたリテールビジネスへの経営陣の関与状況・姿勢についてモニタリングする方針だ。

 金融機関には今後、顧客の最善の利益を追求することが法律で義務づけられる見通しだ。なぜその金融商品が顧客にとって最適なのか、他商品との比較や顧客のニーズ・知識を踏まえた説明・販売後のフォローがより一層求められる。

以上です。

↑花から花へ移動するアオスジアゲハ(4月撮影)。

がん診断給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年4~6月の裁定概要集(PDF)に、がん診断給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款に定める支払事由に該当しないことを理由に、がん診断給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 卵巣漿液性境界悪性腫瘍に罹患し子宮全摘出および子宮付属器腫瘍摘出の手術を受けたため、平成27年9月に乗合代理店を通じて契約した医療保険にもとづき、がん診断給付金を請求したところ、約款に定める支払事由に該当しないことを理由に支払われなかった。しかし、以下等の理由により、がん診断給付金を支払ってほしい。

(1)他の保険会社に「卵巣漿液性境界悪性腫瘍」と診断名を伝え、がん保険に加入できるかを問い合わせた結果、がんの既往歴があるため加入できないと言われた。

(2)主治医からもがん患者と認められており、両方の卵巣および子宮を摘出し、間違いなくがんである旨の説明を受けた。

…この事案は裁定終了となっています。

申立人が罹患したのは、卵巣がんの大半を占める上皮性腫瘍の一種です。ではどうして支払対象外なのか?「卵巣境界悪性腫瘍―最近の考え方 京都大学医学部附属病院病理診断部 三上 芳喜」によりますと、

<境界悪性腫瘍とは臨床病理学的概念であり、予後の観点から良性と悪性の中間に位置づけられる腫瘍群である。…>

とありました。

<保険会社の主張>を読むと、以前このBlogで取り上げた類内膜境界悪性腫瘍のケースと同様、本疾患も約款が準拠するICD-10基本分類コードの、「女性生殖器の悪性新生物」「卵巣の悪性新生物」や「上皮内新生物」に該当しません。

これでは保険会社は給付金を支払うことはできません。

【裁定事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和5年4~6月裁定概要集P34~35より転載)。

[事案2022-278]がん診断給付金支払請求
・令和5年6月12日 裁定終了

<事案の概要>
 約款に定める支払事由に該当しないことを理由に、がん診断給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 卵巣漿液性境界悪性腫瘍に罹患し子宮全摘出および子宮付属器腫瘍摘出の手術を受けたため、平成27年9月に乗合代理店を通じて契約した医療保険にもとづき、がん診断給付金を請求したところ、約款に定める支払事由に該当しないことを理由に支払われなかった。しかし、以下等の理由により、がん診断給付金を支払ってほしい。

(1)他の保険会社に「卵巣漿液性境界悪性腫瘍」と診断名を伝え、がん保険に加入できるかを問い合わせた結果、がんの既往歴があるため加入できないと言われた。

(2)主治医からもがん患者と認められており、両方の卵巣および子宮を摘出し、間違いなくがんである旨の説明を受けた。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人の疾患は、約款に定める支払事由であるICD-10(2003年版)準拠の基本分類コードC51~58(女性生殖器の悪性新生物)におけるC56(卵巣の悪性新生物)もしくはD00~D09(上皮内新生物)に該当しない。

(2)申立人が受けた手術は、「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン(2020年版)」における当該傷病の基本術式である。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、和解を相当とする事情の有無を確認するため、申立人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続の結果、がん診断給付金の支払は認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑越冬明けのクロコノマチョウ・秋型(4月撮影)。

オリックス生命の第1四半期業績。

8月15日、オリックス生命保険はHPにて、2023年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/15・ニュースリリース 2023年度第1四半期報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は減少

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料のうち、保有契約件数及び契約高は、前年同期末比で減少していました。保有契約を堅調に増やしてきた同社でもとうとう減少に転じましたか。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末比で減少していました。

2.新契約はドル建保険が契約高を押し上げる
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で63.8%、107.7%、84.3%と契約高を除いて減少が続いていました。米ドル建保険の料率改定が功を奏して、契約高を押し上げたようです。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比で79.9%とこちらも減少していました。医療保険では強かったはずですが…ここのところ苦戦していますね。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約 ( )内は前年度実績
1)件数

・個人保険…487万6000件 (489万7000件)

・個人年金保険…9万3000件 (9万7000件)

2)契約高
・個人保険…14兆1987億円 (14兆4006億円)

・個人年金保険…2613億円 (3134億円)

・団体保険…8037億円 (7409億円)

〇新契約
1)件数

・個人保険…5万1000件 前年同期比63.8%

2)契約高
・個人保険…2211億円 前年同期比107.7%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…3402億円 (3371億円)

・個人年金保険…406億円 (427億円)

・個人保険+個人年金保険…3808億円 (3799億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…2146億円 (2150億円)

2)新契約
・個人保険…61億円 前年同期比84.3%

・個人保険+個人年金保険…61億円 前年同期比84.3%

 うち医療保障・生前給付保障等…35億円 前年同期比79.9%

〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…1087億円 前年同期比101.9%

・保険金等支払金…616億円 前年同期比94.5%

・当期純利益…25億円 (▲13億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…59億円 前年同期比2092.3%

・ソルベンシーマージン比率…1054.9% (1160.3%)

以上です。

↑オオタネツケバナで吸蜜中のアオスジアゲハ(4月撮影)。

ソニー生命の第1四半期業績。

8月16日、ソニー生命保険はHPにて、2023年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/16・ニュースリリース 2023年度第1四半期業績のご報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は個人保険の伸びが鈍化

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比で98.4%、103.1%、100.6%と件数こそ伸び悩んだものの、契約高と年換算保険料はプラスを維持していました。

また、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比で133.9%、136.7%、137.3%と二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障の保有契約年換算保険料は、前年同期末比で99.6%と伸び悩みました。

個人保険の保有契約の伸びが鈍化している一方で、個人年金保険は好調を維持していることが窺えます。

2.新契約は個人年金保険が好調
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で81.1%、128.4%、91.2%となっていました。定期保険等の保障性商品が好調だったと思われます。

また、個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で139%、137.3%、169.1%と二桁の増加でした。変額個人年金保険の商品改定が上手くいっていることが窺えます。

医療保障・生前給付保障等の新契約年加算保険料は、前年同期比で70%と3割も落ち込んでいました。今年初めに、自前の医療保険の新契約を終了したことが影響したと思われます。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…772万5000件 前年同期末比98.4%

・個人年金保険…121万1000件 前年同期末比133.9%

・個人保険+個人年金保険…893万7000件 前年同期末比102.1%

2)契約高
・個人保険…54兆9471億円 前年同期末比103.1%

・個人年金保険…7兆6981億円 前年同期末比136.7%

・個人保険+個人年金保険…62兆6453億円 前年同期末比106.3%

・団体保険…1兆3818億円 前年同期末比92%

・団体年金保険…42億円 前年同期末比83%

〇新契約
1)件数

・個人保険…7万5000件 前年同期比81.1%

・個人年金保険…8万2000件 前年同期比139%

・個人保険+個人年金保険…15万8000件 前年同期比103.6%

2)契約高
・個人保険…1兆6553億円 前年同期比128.4%

・個人年金保険…5736億円 前年同期比137.3%

・個人保険+個人年金保険…2兆2290億円 前年同期比130.6%

・団体保険…11億円 前年同期比221.9%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9172億円 前年同期末比100.6%

・個人年金保険…2213億円 前年同期末比134.8%

・個人保険+個人年金保険…1兆1385億円 前年同期末比105.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…2163億円 前年同期末比99.6%

2)新契約
・個人保険…165億円 前年同期比91.2%

・個人年金保険…162億円 前年同期比169.1%

・個人保険+個人年金保険…328億円 前年同期比118.2%

 うち医療保障・生前給付保障等…22億円 前年同期比70%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、四半期純利益
・保険料等収入…3753億円 前年同期比108.9%

・保険金等支払金…2169億円 前年同期比100.4%

・経常利益…48億円 前年同期比15.2%

・四半期純利益…26億円 前年同期比6.5%

〇基礎利益、ソルベンシーマージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…630億円 前年同期比236.3%

・ソルベンシーマージン比率…2034.1% (2119.2%)

以上です。

アフラックが医療保険の新商品を発表。

8月21日、アフラック生命保険はHPにて、医療保険の新商品を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/21・ニュースリリース <手ごろに備える医療保険 EVERシンプル>の発売について(PDF)

【管理人の感想】
今回発表された新商品は、現行商品の給付金支払を改めたものです。現行商品は

入院、入院中手術、外来手術、放射線治療に該当した場合、支払事由に応じた一時金を支払う。

という保障内容ですが、新商品は

入院・手術・放射線治療・外来治療のいずれかに該当した場合、「月額給付」で支払う。

という保障内容に変更されます。

また、新商品は三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)に罹患した場合の備えとして、新設された「三大疾病無制限治療特約」を付加することができます。

さらに、「三大疾病保険料払込免除特約」には「上皮内新生物保障特則」が、「三大疾病一時金特約」には「上皮内新生物一時金特則」がそれぞれ付加することができます。

「上皮内新生物一時金特則」の給付金額は「三大疾病一時金の100%または10%」から選択することができます。

「主契約を月額給付」へ変更し、「三大疾病保険料払込免除特約」と「三大疾病一時金特約」では、「上皮内新生物」を保障の対象とする改定を行うことで、不振が続く医療保険の新契約獲得の起爆剤にしようということなのでしょう。

【公式コメントの内容】
以下、アフラックの公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

【<手軽に備える医療保険 EVERシンプル>の発売について】

 アフラック生命保険株式会社(代表取締役社長:古出眞敏)は、高額療養費制度も含めた公的医療保険制度を前提に、月々の支払いが必要となる医療費の自己負担額に備えることができる新商品<手軽に備える医療保険 EVERシンプル>を9月19日発売します。

 当社は、2002年の<一生いっしょの医療保険 EVER>の発売以降、社会情勢や医療環境等の変化に応じてEVERシリーズを進化させ続け、多くのお客様に最新の保障をお届けしてまいりました。

 今回新たに発売する<手軽に備える医療保険 EVERシンプル>は、保障内容のシンプルさ・分かりやすさ、保険料の手頃さを追求し、公的医療保険における高額療養費制度を踏まえ、入院・手術・放射線治療を行った場合の自己負担額に応じた給付金が毎月受け取れる合理的な保障内容としています。

 さらに、治療保障期間が長期化しやすい三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に対しては、治療の長期化に備えられる手厚い保障を提供します。また、「三大疾病保険料払込免除特約」や「三大疾病一時金特約」については、上皮内新生物の保障を追加することも可能となりました。

 当社は、「生きる」を創るリーディングカンパニーへの飛躍を目指し、お客様に真にご満足いただけるよう、「生きる」を創るエコシステム戦略のひとつとして、「生きるための保険」の商品ラインアップとサービスの強化に取り組んでいます。人生100年時代と言われる超高齢化社会において、お客様の「生きる」を支え続けるために、公的制度や医療環境等の変化、さらにライフステージごとのリスクに応じた最適な補償を提案し続ける「アフラック式」に基づき、今後もがんをはじめとする病気やケガの保障、就労保障、介護保障、老後保障などの課題の解決に向けた商品・サービスを提供してまいります。

◇<手軽に備える医療保険 EVERシンプル>の特長

①月額給付を基本とするシンプルで無駄のない基本保障

・高額療養費制度を踏まえた自己負担額に合わせて、治療給付金額を設定できます。

・入院や手術、放射線治療など、これまで重複していた治療費に関する保障を一つにまとめることで、治療費の費用構造に合わせて合理的な保障内容にしました。

②三大疾病に対する手厚い保障
・治療期間が長くなることが多い三大疾病に対する備えとして「三大疾病無制限治療特約」を新設しました。

・「三大疾病保険料払込免除特約」や「三大疾病一時金特約」に上皮内新生物の保障を追加することができます。

③多様なニーズに応じた柔軟な保障設計
・既にご加入されている医療保険の契約内容やお客様のニーズに合わせて、3つのパターンから主契約の保障内容をお選びいただけます。

・充実した特約ラインアップから必要な保障をお選びいただけます。

以上です。

↑春の河原で吸水中のアオスジアゲハ♂(4月撮影)。

アフラックの第1四半期業績。

8月10日、アフラック生命保険はHPにて、2023年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/10・ニュースリリース 2023年度第1四半期報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約件数は減少続く

がん保険、医療保険の保有契約件数はどちらも減少が続き、その結果、個人保険全体の保有契約件数も減少が続いています。主力保障分野での保有契約減少が続くとは…かつて法人の専属代理店社員として働いていたものとして、寂しさを感じます。

保有契約年換算保険料は、個人保険全体で減少。医療保障・生前給付保障でも減少していました。

2.新契約は増加に転じる
がん保険の新契約件数は、前年同期比119.2%と二桁の増加でした。一方、医療保険の新契約件数は前年同期比73.3%と二桁の落ち込みでした。

しかし、個人保険全体の新契約件数は、前年同期比102.1%と減少に歯止めがかかり増加に転じました。

また、新契約年換算保険料は、個人保険全体で前年同期比121.7%、医療保障・生前給付保障で119.6%とどちらも二桁の増加でした。

新契約は状況が少しづつ改善しているようです。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数 ( )内は前年度実績
・個人保険…2278万7000件 (2324万7000件)

・個人年金保険…32万8000件 (32万5000件)

・個人保険+個人年金保険…2311万5000件 (2357万3000件)

 うちがん保険…1461万6000件 (1491万8000件)

 うち医療保険…561万5000件 (573万3000件)

〇新契約件数
・個人保険…20万件 前年同期比102.1%

 うちがん保険…14万2000件 前年同期比119.2%

 うち医療保険…3万6000件 前年同期比73.3%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…1兆2328億円 (1兆2610億円)

・個人年金保険…949億円 (906億円)

・個人保険+個人年金保険…1兆3277億円 (1兆3516億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…1兆23億円 (1兆22億円)

2)新契約
・個人保険…139億円 前年同期比121.7%

・個人保険+個人年金保険…139億円 前年同期比121.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…124億円 前年同期比119.6%

〇保険料等収入、保険金等支払金、四半期純利益
・保険料等収入…3214億円 前年同期比99.5%

・保険金等支払金…2171億円 前年同期比102.4%

・四半期純利益…645億円 前年同期比81.5%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1043億円 前年同期比120.4%

・ソルベンシーマージン比率…921.7% (946.7%)

以上です。

↑4月に撮影したジャコウアゲハ♂。

子供の独立は、生命保険の契約内容を見直す機会。

7月29日の日本経済新聞朝刊に、生命保険の見直しに関する記事がありました。

記事によりますと、

< FPの柳沢美由紀氏は「50代は生命保険の見直しをするのに適した時期」と話す。子供の独立で教育費がかからなくなったり、貯蓄が若いころに比べて増えたりするなどして、万一の際に必要な保障額が少なくなりやすいためだ。会社員なら定年後に収入が減ることを見据えて保険料を抑え、老後の家計の負担を軽くすることも期待できる。>

とのことです。

【管理人の感想】
日経の記事では、

< 「子供が大学を卒業したので生命保険の保障はもっと少なくていいのではないか。」関東地方に住む50代前半の男性Aさんは妻とともにファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねた。Aさんは会社員で、妻はパート勤務をしている。これまでは入院で1日1万円の給付金が出る医療保険や入院・手術などで給付されるがん保険のほか、Aさんが亡くなった場合に妻が月に20万円を受け取る収入保障保険に加入。妻も入院日額1万円の医療保険やがん保険に入り、世帯で月約3万円の保険料を払っていた。

 しかし教育費に備える必要がなくなったため、保険を見直すことにしたという。FPの助言を受けて、まず収入保障保険は妻の生活費の不足分を改めて計算し、受給額を月13万円に引き下げた。医療保険は夫婦も入院日額を5000円に減額し、がん保険も保険料が低めで、所定の治療を受けている期間は給付金が出る「都度給付型」に変更した。世帯の保険料は計約2万円と1万円ほど少なくなった。>

という見直しのモデルケースを設定していました。

う~ん…お粗末ですね。遺族年金と配偶者の収入を差し引いても

①子供が就職するまでは最大で毎月20万円の不足が生じていた。

②子供が就職した後でも、毎月13万円不足。

いやはや…収支のバランスがとんでもないことになっている家庭だなと思ってしまいました。また、加入済みのがん保険を解約して、治療給付型のがん保険に乗り換えたとありますが、これもおかしな話です。

30代前半で加入していたがん保険だったと仮定すると、20年ほど経過しているわけですから、保険料はその分高くなっており、乗り換えれば保険料の圧縮効果は小さく、世帯保険料が1万円ほど少なくなるということは考えにくいです。

診断給付金+入院給付金+手術給付金+先進医療給付金などで保障が構成されているがん保険は、確かに治療(化学療法や放射線治療)が入院から通院へとステージが変化した現状に即していない面もありますが、診断給付金の支払事由は変化がないですし、手術給付金や入院給付金、先進医療給付金も全く使えないというわけではありません。

それならば、既存のがん保険に治療給付型の主契約の保障を追加するだけでいいのではないでしょうか。

また、記事においては更新型の保障についての言及もありました。確かに更新型の保険は、保障内容をそのままの状態で更新すれば、保険料が高くなります。

しかし、「更新=保険料の上昇」というのは誤解です。更新時に保障額を引き下げてから保障を更新する「減額更新」の手続きを行えば、保険料の上昇は抑えられるか、支払保険料の減額にもつながります。

なお、更新型の保障を「定期保険特約」+「医療保障」+「就労不能状態に死亡保障をセットしたもの」などと組み合わせてしまうと、更新を迎えた際に、年齢によっては更新後の保険料が思っていた以上に高くなってしまい、保険料の負担と保障のバランスをどうするか頭を悩ませることになりかねません。

更新型の保障はシンプルにすることが重要だと考えています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2023年7月29日朝刊-

【子が独立、生命保険見直す】

 「子供が大学を卒業したので生命保険の保障はもっと少なくていいのではないか。」関東地方に住む50代前半の男性Aさんは妻とともにファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねた。Aさんは会社員で、妻はパート勤務をしている。これまでは入院で1日1万円の給付金が出る医療保険や入院・手術などで給付されるがん保険のほか、Aさんが亡くなった場合に妻が月に20万円を受け取る収入保障保険に加入。妻も入院日額1万円の医療保険やがん保険に入り、世帯で月約3万円の保険料を払っていた。

 しかし教育費に備える必要がなくなったため、保険を見直すことにしたという。FPの助言を受けて、まず収入保障保険は妻の生活費の不足分を改めて計算し、受給額を月13万円に引き下げた。医療保険は夫婦も入院日額を5000円に減額し、がん保険も保険料が低めで、所定の治療を受けている期間は給付金が出る「都度給付型」に変更した。世帯の保険料は計約2万円と1万円ほど少なくなった。

 生命保険文化センターの調査によると、生命保険の世帯加入率は50台で約94%と最も高くなっている(個人年金保険を含む)。結婚や出産といったライフイベントを経験する人が多い30代から上昇し始め、50代でピークになったあと下落に転じる傾向がある。

 FPの柳沢美由紀氏は「50代は生命保険の見直しをするのに適した時期」と話す。子供の独立で教育費がかからなくなったり、貯蓄が若いころに比べて増えたりするなどして、万一の際に必要な保障額が少なくなりやすいためだ。会社員なら定年後に収入が減ることを見据えて保険料を抑え、老後の家計の負担を軽くすることも期待できる。

 では必要な保障額はどう把握すればいいだろうか。選択肢となるのが家族の家計を支える働き手が亡くなったあとに必要となる支出と収入の見込み額を確認すること。支出から収入を差し引いて支出が上回るなら、差額が生命保険で備える保障額となる。

 支出は残された家族の生活費や住宅費のほか、老後の医療・介護に備える予備費を見込む。一方、収入は家族が受け取る遺族年金などの公的保障や亡くなった人の勤務先の死亡退職金、貯蓄額などを確認する。遺された配偶者の収入も合算する。現在契約している保険の保障総額が必要額を上回る場合は保障が過剰な状態で、保険を見直す余地がありそうだ。

 原則として同じ保障内容で契約が続くが、保険料は更新時の年齢で再計算し、年齢が上がるとともに上昇する。契約者が申し出なければ一般的に自動継続になるため、交信を望まなければ手続きをする必要がある。高齢になるほど更新の際の保険料上昇幅は大きくなることが多く、「更新型に加入している場合は保険料が契約満了まで一定の保険に変える方がいい」と柳沢氏は話す。

 がん保険も確認しておきたい。がん保険の主な契約の保障内容は現在、都度給付型のほか、がんと診断されたときに100万円などまとまった金額を出す「診断給付型」が増えている。以前は入院・手術に備える「入院給付型」が主流だったが、最近は入院期間が短くなり、通院で治療するケースが少なくないことが背景にある。

 入院給付型は入院日数に応じて入院日額が出る保障が中心。入院期間が短期化しているため、治療費を十分に賄えない可能性もある。「若いころ契約したがん保険が現在のがん治療の動向にあっているかをチェックすることが大切」とFPの平野雅章氏は話す。

 保険診療の医療費には、毎月の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度がある。年収500万円なら自己負担上限額は通常約万円で、加入する健康保険によっては付加給付でさらに負担が減るケースがある。医療保険の保障が過剰なら入院1日あたりの給付額を減らすといったことも一案だろう。

 保障を減らす際は終身保険や養老保険など解約返戻金があるタイプの保険なら、「払済保険」への変更という方法がある。保障の期間は変えずに保険金額を減らし、変更後は保険料を払う必要がなくなる。最低限の保障を確保したい場合に選択肢になりそうだ。

以上です。

↑春の河原で吸水中のナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。