がん保険は「治療給付型」よりも「診断給付型」?同僚と議論。

今回は、所属代理店の全体会議の合間に同僚と行ったちょっとした議論について書いてまいります。

【がん保険は「治療給付型」よりも「診断給付型」?】
議論のきっかけは、同僚がしばしば契約を獲得してくる損保系生保のがん保険について、同僚は「治療給付型よりも診断給付型ですよ」と発言したことです。

同僚がなぜそのように考えているのかを尋ねたところ、「がん光免疫療法*は治療給付型では支払い対象にならない。保険会社の代理店担当者にも確認した。今後も新たな治療方法が承認される可能性があり、治療給付型では対応できない。診断給付型であれば、『診断確定』が給付金の支払い条件なので、治療方法にかかわらず受け取れるから。そもそも、治療給付型は治療の都度請求する必要があるので面倒」ということでした。

*「がん光免疫療法(アルミノックス治療)」とは、抗悪性腫瘍薬「アキャルックス」を点滴静脈注射により投与したのち、レーザー光照射によってがん細胞を破壊する治療法です。現在、「切除不能な局所進行性または局所再発の頭頚部癌」への治療が保険適用となっています。

しかし、本当に「治療給付型」では支払い対象とならないのか?管理人は治療を行っている医療機関の国立がん研究センター東病院のQ&A(PDF)や、順天堂大学医学部付属順天堂医院のサイトで治療方針等を確認してみました。

すると、投与する薬剤は光線過敏症の症状が出現することがあるため、入院が必要であることが分かりました。

管理人は、その点を踏まえ「治療給付型の支払事由の一つが『治療を目的とする入院』なのだから、光免疫療法も支払い対象になるのではないか?」と見解を述べました。

しかし、同僚は「将来、治療方法が変わり、入院が不要になれば出ないのではないか?だったら診断給付型でがん保険は十分」と譲りませんでした。

なお管理人は、「がん保険は治療給付型+診断給付金特約」です。

理由は、抗がん剤治療や放射線治療のステージが入院から通院へとシフトしていく中、入院給付を前提とした医療保険やがん保険では十分に対応できないと指摘されて、ここ数年でようやく治療給付型のがん保険が登場し、しかも比較選択できるようになったからです。

以上です。

↑カブトムシの喧嘩。画面上の個体が下側の個体にかち上げをくらわした瞬間(昨年7月撮影)。

終身医療保険の契約を巡る裁定事案(契約取り消しを求めて申立て)。

生命保険協会が取りまとめた、令和4年10~12月の裁定概要集(PDF)に、終身医療保険の新契約を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 募集人の不適切な行為等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 平成30年1月に乗合代理店を通じて契約した終身医療保険について、以下等の理由により、契約を取り消して既払込保険料を返還してほしい。

(1)代理店担当者から勧誘の電話があり、断ったにもかかわらず、翌日自宅を訪問してきた。契約するつもりがないことを伝えたものの、しつこく勧誘を受けたため、契約した。

(2)自分は85歳と高齢であったが、契約時、同居していた子の同席がなかった。

(3)平成28年10月及び12月に契約した他社の終身保険とがん保険は、苦情を申し出たところ、契約取消となった。

この事案は既に和解が成立しています。

<裁定の概要>を読む限り、募集人の行為が高齢者に対する募集ルールに違反していることは明白です。

そもそも、募集人が高齢者に対する募集ルールを守るつもりがあったのか疑わしいといえるでしょう。代理店と募集人双方に厳しい処分があってしかるべき事案だと思います。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和4年10~12月裁定概要集・P7~8より転載)

[事案2021-300]新契約取消請求
・令和4年10月21日 和解成立

<事案の概要>
 募集人の不適切な行為等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 平成30年1月に乗合代理店を通じて契約した終身医療保険について、以下等の理由により、契約を取り消して既払込保険料を返還してほしい。

(1)代理店担当者から勧誘の電話があり、断ったにもかかわらず、翌日自宅を訪問してきた。契約するつもりがないことを伝えたものの、しつこく勧誘を受けたため、契約した。

(2)自分は85歳と高齢であったが、契約時、同居していた子の同席がなかった。

(3)平成28年10月及び12月に契約した他社の終身保険とがん保険は、苦情を申し出たところ、契約取消となった。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の主張に応じることはできない。

(1)代理店担当者は、以前より申立人から、既契約の保険料が高いため抑えたいとの希望を聞いていたため、申立人に了承を得たうえで訪問し、勧誘を行っている。

(2)契約にあたって、申立人に家族の同席を依頼したところ、同居している子は働いているため同席が難しいと回答された。

(3)契約手続後、申立人に電話で確認した際、申込内容が自身の意向にあっていること、家族に本契約の話をしていることを回答している録音記録が存在する。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の状況等を把握するため、申立人および申立人の子に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、募集人の不適切な行為等を理由とした契約の取消しは認められないものの、以下の理由により、和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)契約時、申立人は85歳であり、相当程度、判断能力が減退していたことが推測できる。

(2)代理店担当者は、電話にて、保険料が安くなると勧誘して面談の約束を取り付けたが、実際の面談の際には、電話で話した保険料の2倍を上回る金額の商品を勧めており、申立人の判断能力が減退していることを利用して、本申込みに至っている。

(3)代理店担当者は、電話にて申立人の家族に同席を求めたが、申立人の家族が同席できないと回答したにもかかわらず訪問している。代理店担当者は、家族が同席できる日に訪問することが望ましかったといえ、代理店担当者による家族同席の依頼は極めて形式的である。

以上です。

↑昨年6月に撮影したカブトムシ♂。

「子の独立」というライフイベントが発生したお客様。

今回は、2月に訪問したお客様について書いてまいります。

訪問した理由は、「子の独立(お子様の大学卒業と県外での就職が決定)」というライフイベントが発生し、現在加入している保険の保障を見直す必要性が生じたためです。

訪問の前に、現在加入している保険契約の概要を再度確認したところ、

①終身保険(60歳払込満了)

②収入保障保険「60歳満了」

③終身がん保険(終身払い)

④終身医療保険・死亡給付金あり(60歳払込満了)

-の4契約でした。

管理人は「収入保障保険の役割は終了したので、解約しても差し支えない」と判断しました。理由は、お客様は数年前に離婚し、シングルファーザーであり、「子の独立後は配偶者の生活保障を用意する」という収入保障保険の保険期間満了年齢を60歳とした前提条件が無くなったからです。

お客様との面談で、そのことを申し上げたうえで「これから保障の中心になるのは、ご自身の生活保障ではないか?」と見解を述べたうえで「何か思い浮かぶ保障はございますか?」と質問してみました。

お客様からは「医療の充実かなぁ」との回答がありましたので、現在加入している終身がん保険と医療保険について

①終身がん保険は、長期入院を保障の前提としており、抗がん剤治療や放射線治療が通院へとステージがシフトしている現状への対応力が弱い。

②終身医療保険の手術は約款所定の88種類に限定されており、約款所定の手術の定義に該当するかどうかの解釈運用となっている。先進医療への対応ができていない。現在の医療保険は医科診療報酬点数表に手術料が記載されていることが条件となっている。

-と管理人の見解や保障の変化などを申し上げたうえで、お客様と話し合った結果、

①がん保険の保障は現行の契約を解約するのではなく、新たに通院治療を保障する主契約を別保険会社の商品で追加することも検討していいのではないか。

②終身医療保険は、「手術給付金の保障範囲の見直し」と「先進医療への対応」の2点で現行の契約を解約し、別保険会社への商品に乗り換えるというのは、年齢と払込期間の変化に伴う支払保険料の増加という負担を考慮すると、積極的に行うべきとは言えない。

③がん保険や医療保険の保障見直しよりも、ご自身の生活保障を今後の保障の中心に据えるということが重要なのではないか?そのためには就労不能状態を保障する生命保険商品を検討する必要がある。

-という結論に達しました。3月は年度末で多忙なため、具体的な商品提案は4月に入ってから、ということになりました。

以上です。

ソニー生命の第3四半期業績。

2月15日、ソニー生命保険はHPにて、2022年度第3四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
2/15・ニュースリリース 2022年度第3四半期業績のご報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は堅調に増加

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比99.4%、103.5%、102.3%と件数こそ伸びなかったものの、契約高と年換算保険料は増加していました。

また、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比132.2%、134.9%、129.6%といずれも二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末比102.2%とこちらも増加していました。

保有契約は、個人保険の件数を除いて堅調に増加したことがうかがえます。

2.新契約は個人年金保険が好調
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比90.7%、113.5%、98.7%と契約高は二桁の増加でした。

また、個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比148.7%、146.6%、169%といずれも二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比93.6%とこちらは伸び悩んでいました。

個人年金保険は、昨年10月に新商品を投入した効果もあったのか、まさに好調だったことが伺えます。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…781万件 前年同期末比99.4%

・個人年金保険…106万1000件 前年同期末比132.2%

・個人保険+個人年金保険…887万2000件 前年同期末比102.4%

2)契約高
・個人保険…53兆5105億円 前年同期末比103.5%

・個人年金保険…6兆6230億円 前年同期末比134.9%

・個人保険+個人年金保険…60兆1335億円 前年同期末比106.2%

・団体保険…1兆4481億円 前年同期末比92.7%

・団体年金保険…45億円 前年同期末比83.1%

〇新契約
1)件数

・個人保険…28万2000件 前年同期比90.7%

・個人年金保険…22万9000件 前年同期比148.7%

・個人保険+個人年金保険…51万2000件 前年同期比109.9%

2)契約高
・個人保険…4兆4600億円 前年同期比113.5%

・個人年金保険…1兆5217億円 前年同期比146.6%

・個人保険+個人年金保険…5兆9817億円 前年同期比120.4%

・団体保険…41億円 前年同期比63.3%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9077億円 前年同期末比102.3%

・個人年金保険…1914億円 前年同期末比129.6%

・個人保険+個人年金保険…1兆991億円 前年同期末比106.2%

 うち医療保障・生前給付保障等…2167億円 前年同期末比102.2%

2)新契約
・個人保険…536億円 前年同期比98.7%

・個人年金保険…405億円 前年同期比169%

・個人保険+個人年金保険…941億円 前年同期比120.2%

 うち医療保障・生前給付保障等…91億円 前年同期比93.6%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、四半期純利益 ( )内は前年度実績
・保険料等収入…1兆818億円 前年同期比106.1%

・保険金等支払金…7110億円 前年同期比139.8%

・経常利益…655億円 前年同期比177.8%

・四半期純利益…815億円 (93億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…711億円 前年同期比62.8%

・ソルベンシー・マージン比率…1994.7% (2313.1%)

以上です。