上皮内新生物診断給付金の支払いを巡る裁定事案(支払事由非該当)。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年10~12月の裁定概要集(PDF)に、上皮内新生物診断給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款の支払事由に該当しないことを理由に、上皮内新生物診断給付金が支払われなかったことを不服として、給付金を支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年6月に日帰り入院で内視鏡的大腸ポリープ除去手術を受けた結果、大腸腺腫内がん(上皮内がん)と診断確定されたため、平成18年9月に契約したがん保険にもとづき、上皮内新生物診断給付金を請求したところ、日帰り入院した医院は病床を持たず、入院の適用がない医療機関であり、約款の支払事由に該当しないとして支払われなかった。しかし、以下の理由等により、上皮内新生物診断給付金を支払ってほしい。

(1)約款によれば、入院とは「医師による治療が必要であり、かつ自宅等での治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下に置いて専念することをいいます」とあるが、本手術はこの要件を十分満たしている。

(2)保険会社は、日帰り入院した医院に病床施設がないことを不支払いの理由としているが、そのことは約款に一切記載がなく、日帰り入院の定義も診断書にのみ記載されている。

(3)自分が治療を受けた医院は、医療法で定める「病院」「診療所」として認められる。

この事案は和解が成立しています。

<保険会社の主張>を見る限り、申立人が契約しているがん保険の上皮内新生物診断給付金の支払事由は、「診断確定+入院+手術」のようです。

申立人が手術を受けた医療機関には入院設備がなく、手術自体に入院基本料が算定されていないとなると、診断給付金の支払事由に該当しないと判断するでしょうね。

【裁定事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和5年10~12月裁定概要集・P28~29より転載)。

[事案2022-185]上皮内新生物診断給付金支払請求
・令和5年10月3日 和解成立

<事案の概要>
 約款の支払事由に該当しないことを理由に、上皮内新生物診断給付金が支払われなかったことを不服として、給付金を支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年6月に日帰り入院で内視鏡的大腸ポリープ除去手術を受けた結果、大腸腺腫内がん(上皮内がん)と診断確定されたため、平成18年9月に契約したがん保険にもとづき、上皮内新生物診断給付金を請求したところ、日帰り入院した医院は病床を持たず、入院の適用がない医療機関であり、約款の支払事由に該当しないとして支払われなかった。しかし、以下の理由等により、上皮内新生物診断給付金を支払ってほしい。

(1)約款によれば、入院とは「医師による治療が必要であり、かつ自宅等での治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下に置いて専念することをいいます」とあるが、本手術はこの要件を十分満たしている。

(2)保険会社は、日帰り入院した医院に病床施設がないことを不支払いの理由としているが、そのことは約款に一切記載がなく、日帰り入院の定義も診断書にのみ記載されている。

(3)自分が治療を受けた医院は、医療法で定める「病院」「診療所」として認められる。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)本契約の約款では、被保険者が責任開始後に診断確定された上皮内新生物(上皮内がん)の治療を直接の目的として開始した病院または診療所における入院中に、上皮内新生物の手術を受けたときに上皮内新生物診断給付金を支払うとしている。診断確定されたことは認めるが、当該医院に確認したところ、同院は入院設備のない医療施設であり、「入院」の適用自体があり得ず、本手術も入院基本料が算定されていないことから、外来手術と判断した。

(2)「病床施設」という言葉が約款に記載がないことは認めるが、約款に記載している「患者を収容する施設」が「病床施設」である。

(3)日帰り入院について、約款にその定義まで記載する必要はなく、診断書発行者向けの補足説明として診断にのみその定義を記載している。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、入院時の状況等を把握するため、申立人に対し事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、当事者双方に対し、和解を促したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって手続を終了した。

以上です。

↑アブラナ科の花にやってきたニホンミツバチ(3月撮影)。

オリックス生命の第3四半期業績。

2月19日、オリックス生命保険はHPにて、2023年度第3四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
2/19・ニュースリリース 2023年度第3四半期決算報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は件数と契約高が減少

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末に比べ件数と契約高が減少したものの、保有契約年換算保険料は増加に転じていました。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末に比べこちらも減少していました。

2.新契約は死亡保障が伸び、契約高は増加に転じる
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は前年同期比67.7%、108%、90%と契約高が増加に転じていました。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比78.9%と二桁の落ち込みでした。

料率改定を行った死亡保険商品が新契約高を押し上げたものの、医療保険やがん保険は苦戦したことがはっきりしていますね。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約 ( )内は前年度実績
1)件数

・個人保険…484万件 (490万6000件)

・個人年金保険…5万3000件 (9万5000件)

2)契約高
・個人保険…14兆120億円 (14兆1846億円)

・個人年金保険…2430億円 (2794億円)

・団体保険…8225億円 (7976億円)

〇新契約
1)件数

・個人保険…14万8000件 前年同期比67.7%

2)契約高
・個人保険…6500億円 前年同期比108%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…3395億円 (3374億円)

・個人年金保険…287億円 (416億円)

・個人保険+個人年金保険…3682億円 (3791億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…2126億円(2142億円)

2)新契約
・個人保険…183億円 前年同期比90%

・個人保険+個人年金保険…183億円 前年同期比90%

 うち医療保障・生前給付保障等…94億円 前年同期比78.9%

〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…3337億円 前年同期比100.9%

・保険金等支払金…1851億円 前年同期比81.8%

・当期純利益…83億円 (▲84億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績および数値。▲はマイナス
・基礎利益…166億円 (▲95億円)

・ソルベンシー・マージン比率…1081.6% (860.2%)

以上です。

↑道端のオオイヌノフグリにやってきたホソヒラタアブ(先月撮影)。

ソニー生命の第3四半期業績。

2月16日、ソニー生命保険はHPにて、2023年度第3四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
2/16・ニュースリリース 2023年度第3四半期業績のご報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は第三分野が減少

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比97.7%、103.9%、101%と、件数が減少に転じたものの、契約高と年換算保険料は増加していました。

また、個人年金保年の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比131.2%、137.1%、138.3%とこちらはいずれも二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末比98.4%とこちらは減少していました。

同社は既に自前の医療保険の販売を取りやめているので、徐々に減少していくものと考えられます。

2.新契約は個人年金保険が引き続き好調。死亡保障も伸びた
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比85%、116.4%、104.8%と件数が二桁の落ち込みであった一方で、契約高と年換算保険料は増加していました。死亡保障が伸びたものと思われます。

また、個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比125.2%、138.3%、144.3%といずれも二桁の増加でした。同社は元々変額個人年金保険が強かったのですが、2年前に投入した変額個人年金保険も好調を維持していますね。

医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比73.4%と二桁の落ち込みでした。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記プレスリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…763万3000件 前年同期末比97.7%

・個人年金保険…139万3000件 前年同期末比131.2%

・個人保険+個人年金保険…902万7000件 前年同期末比101.7%

2)契約高
・個人保険…55兆6072億円 前年同期末比103.9%

・個人年金保険…9兆811億円 前年同期末比137.1%

・個人保険+個人年金保険…64兆6884億円 前年同期末比107.6%

・団体保険…1兆3318億円 前年同期末比92%

・団体年金保険…38億円 前年同期末比84.2%

〇新契約
1)件数

・個人保険…24万件 前年同期比85%

・個人年金保険…28万6000件 前年同期比125.2%

・個人保険+個人年金保険…52万7000件 前年同期比103%

2)契約高
・個人保険…5兆1904億円 前年同期比116.4%

・個人年金保険…2兆1042億円 前年同期比138.3%

・個人保険+個人年金保険…7兆2947億円 前年同期比122%

・団体保険…60億円 前年同期比148.3%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9166億円 前年同期末比101%

・個人年金保険…2588億円 前年同期末比135.2%

・個人保険+個人年金保険…1兆1754億円 前年同期末比106.9%

 うち医療保障・生前給付保障等…2134億円 前年同期末比98.4%

2)新契約
・個人保険…561億円 前年同期比104.8%

・個人年金保険…585億円 前年同期比144.3%

・個人保険+個人年金保険…1147億円 前年同期比121.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…67億円 前年同期比73.4%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、四半期純利益
・保険料等収入…1兆2753億円 前年同期比117.9%

・保険金等支払金…7605億円 前年同期比107%

・経常利益…189億円 前年同期比29%

・四半期純利益…112億円 前年同期比13.8%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1331億円 前年同期比187.1%

・ソルベンシー・マージン比率…2006.2% (1994.7%)

以上です。

↑成虫越冬から目覚めたルリタテハ(今月撮影)。

アフラックの第3四半期業績。

2月14日、アフラック生命保険はHPにて、2023年度第3四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
2/14・ニュースリリース 2023年度第3四半期報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少続く

個人保険の保有契約件数、がん保険及び医療保険の保有契約件数は今期も減少していました。

また、個人保険及び医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料ですが、こちらも減少していました。なかなか保有契約件数の減少が止まりませんね。

2.がん保険及び医療保険の新契約は伸びず。個人保険及び第三分野の新契約年間保険料が増加。
個人保険全体の新契約件数は、前年同期比95.1%でした。がん保険の新契約件数は前年同期比99.4%、医療保険の新契約件数は前年同期比92.4%でした。

一方、個人保険の新契約年換算保険料は、前年同期比111.3%、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は111%とどちらも二桁の増加でした。

死亡保障分野とがん保険・医療保険以外の第三分野商品の新契約が好調だったようです。がん保険は、新商品の効果がいったん落ち着いたのでしょう。医療保険の減少率は小さくなったと思います。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数 ( )内は前年度実績
・個人保険…2253万1000件 (2306万件)

・個人年金保険…32万9000件 (32万7000件)

・個人保険+個人年金保険…2286万1000件 (2338万8000件)

 うちがん保険…1444万4000件 (1479万6000件)

 うち医療保険…556万4000件 (568万4000件)

〇新契約件数
・個人保険…60万8000件 前年同期比95.1%

 うちがん保険…41万8000件 前年同期比99.4%

 うち医療保険…13万件 前年同期比92.4%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…1兆2197億円 (1兆2486億円)

・個人年金保険…979億円 (929億円)

・個人保険+個人年金保険…1兆3177億円 (1兆3416億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…9934億円 (1兆141億円)

2)新契約
・個人保険…425億円 前年同期比111.3%

・個人保険+個人年金保険…425億円 前年同期比111.3%

 うち医療保障・生前給付保障等…382億円 前年同期比111%

〇保険料等収入、保険金等支払金、四半期純利益
・保険料等収入…9684億円 前年同期比100%

・保険金等支払金…9270億円 前年同期比143.9%

・四半期純利益…3147億円 前年同期比148.7%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…3334億円 前年同期比121.9%

・ソルベンシー・マージン比率…1202.7% (874.2%)

以上です。

↑よそ様の畑で栽培されているアブラナ科の花にやってきた天狗蝶(2月撮影)。

追加契約のがん保険の保障が始まりました。

前回の続きです。

3月6日、SOMPOひまわり生命の代理店システムにて、追加契約のがん保険の保障が開始されたとの通知がありました。こうした通知があるのはありがたいですね。

通知を確認したのが、群馬の本店で全体会議の直前だったため、お客様には本日、第1回目の保険料引き去りが来月から開始されることの通知も合わせて、電話連絡しました。

↑季節を飛び越えて初夏の陽気となった2月下旬に撮影したキタテハ秋型。

入院給付金の支払いを巡る裁定事案(告知義務違反による契約解除及び支払事由非該当)。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年7~9月の裁定概要集に、入院給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 告知義務違反により契約を解除され、入院給付金が支払われなかったことを不服として、入院給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 糖尿病および高血圧症により令和4年1月から同年2月まで入院したため、令和3年11月に契約した組立型保険にもとづき、入院給付金を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され、給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、入院給付金を支払ってほしい。

(1)契約以前に脂肪肝やアルコール性肝炎になったことはあるが、告知書の質問事項には当たらないと考えて告知しなかったため、本契約が解除されることはやむを得ない。

(2)主治医からは、血圧が200近くになっていて命にかかわると言われて入院しており、また、糖尿病については、病院へ確認した際の電話を募集人も聞いていたにもかかわらず、保険会社からHbA1c値を実際より少なく記載したのではないかなどと言われ、納得がいかない。

この事案は和解が成立しています。おそらく、高血圧症による入院期間の一部については、入院給付金の支払いがなされたものと思われます。

ちょっと嫌な見方ですが…申立人の申込は「逆選択(健康状態が良くない人が、積極的に保険契約を申し込むこと)」だと思ってしまいます。

<事案の内容>

以下、裁定事案の内容です(令和5年7~9月裁定概要集・P43~44より転載)。

[事案2022-330]入院給付金支払請求
・令和5年9月8日 和解成立

<事案の概要>
 告知義務違反により契約を解除され、入院給付金が支払われなかったことを不服として、入院給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 糖尿病および高血圧症により令和4年1月から同年2月まで入院したため、令和3年11月に契約した組立型保険にもとづき、入院給付金を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され、給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、入院給付金を支払ってほしい。

(1)契約以前に脂肪肝やアルコール性肝炎になったことはあるが、告知書の質問事項には当たらないと考えて告知しなかったため、本契約が解除されることはやむを得ない。

(2)主治医からは、血圧が200近くになっていて命にかかわると言われて入院しており、また、糖尿病については、病院へ確認した際の電話を募集人も聞いていたにもかかわらず、保険会社からHbA1c値を実際より少なく記載したのではないかなどと言われ、納得がいかない。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人は、契約前に、アルコール性肝炎および脂肪肝を原因として受診・入院していた。また、令和3年7月に受けた糖尿病に関する検査の結果、HbA1c値が7.7%であったが、申立人は、告知事項について、アルコール性肝炎および脂肪肝の受診歴を告知せず、また、HbA1cの値を7.0%と回答しており、正しく回答していなかったことから、告知義務違反により本契約を解除した。

(2)本入院の糖尿病について、申立人の病状は日常生活に支障をきたすものではなく、重篤な合併症も発生していない。また、本入院は、教育入院に該当するものではなく、「自宅等での治療の困難なため」という要件を欠いており、約款上の「入院」には該当しない。

(3)本入院の高血圧症について、申立人は脳や心臓・腎臓等に重篤な合併症は発症しておらず、治療内容も、薬物治療と食事療養(カロリー制限)のみであり、通院で治療可能なものであり、同様に約款上の「入院」には該当しない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時と入院時の状況と和解を相当とする事情の有無を確認するため、申立人に対して事情聴取を行った。また、独自に外部の専門医の意見を求め医学的判断の参考にした。

2.裁定結果
 上記手続の結果、以下の理由により、和解により解決を図るのが相当であると判断し。和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)糖尿病については、入院して治療する必要性を認めることはできないが、高血圧症については、主治医が申立人に入院治療を指示した入院当日から、血圧が140程度に落ち着いた翌日の2日間は、入院して治療する必要性を否定できない。

(2)告知義務違反の対象となったアルコール性肝炎、脂肪肝、糖尿病に関する検査の結果(HbA1c7.7%)と高血圧症の間に、因果関係はない。

以上です。

↑節分に撮影した福寿草。

一部の早期乳がんの治療に「切らない治療」という選択肢が加わりました。

令和5(2023)年12月15日、国立がん研究センターはHPにて、一部の早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)の保険適用取得を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
12/15・国立がん研究センタープレスリリース早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法による切らない治療が薬事承認・保険適用を取得 先進医療制度下で実施した医師主導特定臨床研究の成果を活用

ラジオ波焼灼療法(RFA)とは、腫瘍に高周波のラジオ波帯を通電し、電子の流れで生じるジュール熱により組織を焼灼する治療法です。2004年に肝がんへの同療法が保険適用となり、その後肺がんや小径腎がん、悪性骨腫瘍、骨盤内悪性腫瘍などに対する同療法が保険適用になっています(引用:日経メディカル「がんナビ」)。

早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法の適用基準を検索したところ、日本乳癌学会がHP上で一般向けの指針を発表*していました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
ラジオ波焼灼療法適正使用指針(一般向け)(PDF)

また、治療の実施医療機関も合わせて公表*されていました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
日本乳癌学会 市民のみなさまに知ってほしい情報

2月19日時点での実施医療機関は以下の通りです。

  • 北海道大学病院(北海道)
  • 群馬県立がんセンター(群馬県)
  • 埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県)
  • 東京歯科大学市川総合病院(千葉県)
  • 千葉県がんセンター(千葉県)
  • 国立がん研究センター東病院(千葉県)
  • 国立がん研究センター中央病院(東京都)
  • がん・感染症センター都立駒込病院(東京都)
  • 国立病院機構東京医療センター(東京都)
  • けいゆう病院(神奈川県)
  • 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)
  • 岐阜大学医学部附属病院(岐阜県)
  • 大阪国際がんセンター(大阪府)
  • 岡山大学病院(岡山県)
  • 広島市立広島市民病院(広島県)
  • 国立病院機構 四国がんセンター(愛媛県)
  • 熊本大学病院(熊本県)

薬価が高い新薬の保険適用承認や新たな先進医療だけでなく、各癌学会が科学的根拠に基づいて推奨する最新の治療(標準治療)の進化・拡充にもっと注目する必要性を感じました。

↑よそ様のキバナコスモスにやってきたヒメアカタテハ(昨年9月撮影)。

入院給付金等の支払いを巡る裁定事案(始期前発病を理由に不支払)。

生命保険協会が取りまとめた令和5年7~9月の裁定概要集(PDF)に、入院給付金等の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 責任開始期前発病を理由に給付金が支払われなったことを不服として、入院給付金および手術給付金の支払い等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 子宮筋腫の治療のため、令和3年9月に入院し腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術を受けたことから、令和2年12月に乗合代理店を通じて契約した終身医療保険にもとづき、入院給付金、入院一時金、手術給付金を請求したところ、責任開始期前発病を理由に不支払となった。しかし、以下の理由により、入院給付金、入院一時金、手術給付金を支払ってほしい。

(1)加入前に、募集人に健康診断結果(以下「健診結果」)を提出し、全ての病歴を伝えている。特に子宮筋腫については以前より指摘があり経過観察であったため、この健康状態で加入できる保険を提案してほしいと伝えていた。

(2)本手術は、本契約締結後にかかりつけ医ではない医師に受診した際、腹腔鏡下手術が可能なうちに行った方が良いと勧められて決めたものである。

(3)告知書入力時に、判断に悩む箇所があり募集人に質問したところ、「すべて『いいえ』で大丈夫です」と言われたためその通りに入力した。その結果、誤った告知書になった。

この事案は既に和解が成立しています。

管理人個人の見解ですが、当該募集人の医的情報の取扱いには??です。申立人から子宮筋腫について告げられたのであれば、生命保険会社の担当者に連絡して、告知項目に該当するか否かやどのように告知すればいいのかを確認しておくべきでした。

また、説明健診結果の写しを預かるのであれば、引き受けの可否や特別条件の有無等を、契約締結前に保険会社から回答してもらう「事前査定(仮査定)」を行うべきでした。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和7~9月裁定概要集・P35~36より転載)。

[事案2022-198]入院給付金等支払請求
・令和5年7月7日 和解成立

<事案の概要>
 責任開始期前発病を理由に給付金が支払われなったことを不服として、入院給付金および手術給付金の支払い等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 子宮筋腫の治療のため、令和3年9月に入院し腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術を受けたことから、令和2年12月に乗合代理店を通じて契約した終身医療保険にもとづき、入院給付金、入院一時金、手術給付金を請求したところ、責任開始期前発病を理由に不支払となった。しかし、以下の理由により、入院給付金、入院一時金、手術給付金を支払ってほしい。

(1)加入前に、募集人に健康診断結果(以下「健診結果」)を提出し、全ての病歴を伝えている。特に子宮筋腫については以前より指摘があり経過観察であったため、この健康状態で加入できる保険を提案してほしいと伝えていた。

(2)本手術は、本契約締結後にかかりつけ医ではない医師に受診した際、腹腔鏡下手術が可能なうちに行った方が良いと勧められて決めたものである。

(3)告知書入力時に、判断に悩む箇所があり募集人に質問したところ、「すべて『いいえ』で大丈夫です」と言われたためその通りに入力した。その結果、誤った告知書になった。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人から募集人に対して、子宮筋腫で経過観察中である旨を伝えられた事実はなく、システムの「機微情報(体況等)」欄にも記載がない。事実確認の結果、申立人が医療機関への受診状況を全て募集人に伝えたわけではなく、仮に募集人に告げられていたとしても、募集人には告知受領権がないので告知したことにはならない。

(2)本入院、本手術の対象である子宮筋腫は、責任開始日より前に存在していた。

(3)申立人は、子宮筋腫に関する指摘が記載された健診結果の写しを募集人に渡したが、これは単に保険提案の資料として預かったものであって、当社に送付されておらず、当社は子宮筋腫について一切認識していない。そもそも、この健診結果からは、告知時点においても子宮筋腫が存在し経過観察がなされていた事実を読み取ることはできない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約申込当時の状況および和解を相当とする事情の有無を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の子宮筋腫は責任開始期前に発病したものであることが認められるものの、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)本件では、契約前に募集人が申立人の健診結果の写しを預かっていたが、この健診結果は商品選択のための資料としてのみ使用され、保険会社には健診結果の内容は伝えられていなかった。健診結果には、子宮筋腫に関する指摘が記載されており、申立人がそのような体況を前提に加入できる保険を探しているということは募集人も知っていたため、その意向に応えるためにも、健診結果の内容は保険会社と共有することが望ましかったと言える。

(2)募集人は、健診結果に記載された病歴を前提にしても保険に加入できるのかどうかに加えて、子宮筋腫について給付金が出るのかについても特に丁寧に説明するべきであったが、募集人の事情聴取によれば、子宮筋腫については責任開始期前発病となるので今後の治療について給付金を請求できない可能性があることを明確には説明しなかったとのことで、この点につき、募集人の説明は不十分であったと言わざるを得ない。

以上です。

↑百日草にやってきたナミアゲハ夏型の♂(昨年9月撮影)。

オリックス生命の第2四半期業績。

11月29日、オリックス生命保険はHPにて、2023年度第2四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
11月29日・ニュースリリース 2023年度第2四半期(上半期)決算報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は減少。

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料のうち、保有契約件数と契約高は前年同期末比で減少していました。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末比で減少していました。

保有契約はちょっと苦しい状況ですね。

2.新契約高が増加。
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で64.4%、102.4%、84.5%と新契約高が増加に転じていました。米ドル建終身保険の料率改定が功を奏したようです。

ただ、新契約件数と年換算保険料は二桁の落ち込みで、新契約件数は3割以上の減少でした。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は前年同期比で79%とこちらも二桁の落ち込みでした。医療保険やがん保険の新契約が苦しい状況であることが窺えます。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約 ( )内は前年度実績
1)件数

・個人保険…485万8000件 (490万7000件)

・個人年金保険…9万2000件 (9万6000件)

2)契約高
・個人保険…14兆1866億円 (14兆4547億円)

・個人年金保険…2514億円 (3025億円)

・団体保険…8007億円 (7458億円)

〇新契約
1)件数

・個人保険…9万8000件 前年同期比64.4%

2)契約高
・個人保険…4238億円 前年同期比102.4%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…3409億円 (3398億円)

・個人年金保険…401億円 (422億円)

・個人保険+個人年金保険…3810億円 (3820億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…2155億円 (2175億円)

2)新契約
・個人保険…118億円 前年同期比84.5%

・個人保険+個人年金保険…118億円 前年同期比84.5%

 うち医療保障・生前給付保障等…66億円 前年同期比79%

〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…2219億円 前年同期比100.7%

・保険金等支払金…1218億円 前年同期比87.3%

・当期純利益…24億円 (▲105億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績および数値。▲はマイナス
・基礎利益…125億円 (▲94億円)

・ソルベンシー・マージン比率…984.5% (1007.8%)

以上です。

↑ベニシジミを捕食したシオカラトンボ♀(昨年8月撮影)。

アフラックの第2四半期業績。

11月21日、アフラック生命保険はHPにて、第2四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
11月21日・ニュースリリース 2023年度第2四半期(上半期)報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少続く

個人保険の保有契約の多くを占める、がん保険と医療保険の保有契約件数は、今期も前年同期末比で減少しており、個人保険の保有契約件数全体も減少していました。

なかなか、保有契約件数の増加に転じることができていません。

2.新契約ではがん保険が好調を維持
個人保険の新契約件数の多くを占めるがん保険と医療保険の新契約件数は、がん保険では前年同期比108.5%と増加していた一方、医療保険では前年同期比78.9%と2割以上の落ち込みでした。

医療保険も新商品が登場したので、新契約件数を伸ばしたいところでしょうね。

【主要業績の内容】
〇保有契約件数 ( )内は前年度実績

・個人保険…2266万9000件 (2316万1000件)

・個人年金保険…32万9000件 (32万6000件)

・個人保険+個人年金保険…2323万8000件 (2348万8000件)

 うちがん保険…1453万8000件 (1486万4000件)

 うち医療保険…559万1000件 (571万2000件)

〇新契約
・個人保険…40万6000件 前年同期比98.4%

 うちがん保険…28万8000件 前年同期比108.5%

 うち医療保険…7万7000件 前年同期比78.9%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…1兆2266億円 (1兆2549億円)

・個人年金保険…964億円 (919億円)

・個人保険+個人年金保険…1兆3230億円 (1兆3469億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…9981億円 (1兆189億円)

2)新契約
・個人保険…280億円 前年同期比116.4%

・個人保険+個人年金保険…280億円 前年同期比116.4%

 うち医療保障・生前給付保障等…251億円 前年同期比114%

〇経常利益、基礎利益
・経常利益…2219億円 前年同期比120%

・基礎利益…2281億円 前年同期比126.2%

〇三利源 ( )内は前年度実績
・危険差益…1038億円 (897億円)

・費差損益…441億円 (378億円)

・利差損益…801億円 (531億円)

〇ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・ソルベンシー・マージン比率…1063.7% (924.3%)

以上です。

↑小寒に開花した水仙。