オリックス生命の第1四半期業績。

8月12日、オリックス生命保険はHPにて、2021年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。

  • 8/12・プレスリリース 2021年度第1四半期報告(PDF)

    【管理人の感想】
    1.保有契約は堅調に増加

    個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、いずれも前年同期末比で増加していました。

    また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料も、前年同期末比で増加していました。

    保有契約は堅調に増加したことがうかがえます。

    2.新契約は依然として減少
    個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で92.2%、84.8%、95.7%と減少していました。

    また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比で90.4%とこちらも減少していました。

    新契約の減少幅は小さくなったものの、依然として減少を抑えられなかったことがうかがえます。

    【主要業績の内容】
    以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記プレスリリースより抜粋・転載)。

    〇保有契約 ( )内は前年度実績
    1)件数

    ・個人保険…482万2000件 (458万1000件)

    ・個人年金保険…10万3000件 (11万4000件)

    2)契約高
    ・個人保険…14兆1014億円 (13兆3438億円)

    ・個人年金保険…3752億円 (4519億円)

    ・団体保険…6816億円 (6120億円)

    〇新契約
    1)件数

    ・個人保険…9万3000件 前年同期比92.2%

    2)契約高
    ・個人保険…2715億円 前年同期比84.8%

    〇年換算保険料
    1)保有契約 ( )内は前年度実績

    ・個人保険…3233億円 (3000億円)

    ・個人年金保険…451億円 (490億円)

    ・個人保険+個人年金保険…3684億円 (3490億円)

    うち医療保障・生前給付保障等…2075億円 (1909億円)

    2)新契約
    ・個人保険…78億円 前年同期比95.7%

    ・個人保険+個人年金保険…78億円 前年同期比95.7%

    うち医療保障・生前給付保障等…49億円 前年同期比90.4%

    〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
    ・保険料等収入…1068億円 前年同期比104.4%

    ・保険金等支払金…605億円 前年同期比123.3%

    ・当期純利益…▲12億円 (▲32億円)

    〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績及び数値。▲はマイナス
    ・基礎利益…0億円 (▲46億円)

    ・ソルベンシーマージン比率…1534% (1500.4%)

    以上です。

↑5月下旬に撮影したナミアゲハ・夏型♂の吸水行動。

 

アフラックが介護保険の新商品を発表。

8月6日、アフラック生命保険はHPにて、介護保険の新商品を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/6ニュースリリース <アフラックのしっかり頼れる介護保険>の発売について(PDF)

【管理人の感想】
1.介護保険の改定

今回発表された新商品は、現行のスーパー介護保険Vプランの保障内容を大幅に改定して、認知症を含む要介護状態に絞り込んだものと考えています。

がん保険、医療保険の商品改定が繰り返されてきましたが、新契約件数は落ち込みが続いています。介護保険も認知症を含む要介護状態に保障を絞り込んだ他社商品との競争力は低くなっていたように思います。

第三分野が主力で第一分野は強くない同社ですから、ここで介護保険の刷新を行い、何とか巻き返したいところでしょうね。

2.介護保障は年金タイプで通算10回まで
保障は

①公的介護保険制度に基づき、要介護3以上の状態に該当していると認定されているとき、介護年金を通算10回まで受け取れます。また、要介護2以上の状態に該当しているとき、要介護1以上の状態に該当していると認定されているときは、一時金を1回限り受け取れます。

②満65歳未満の場合、保険会社所定の介護状態に該当したとき、介護年金を通算10回まで受け取れます。また要介護2一時金が1回限り、要介護1一時金が1回限り受け取れます。

これは、より自己負担が重くなる要介護状態にメインの保障を絞り込むことで、保険料の低廉化を図ったのでしょう。

3.保険料払い込み免除の条件
今回の新商品では保険料払込免除の取り扱いがあり、その条件は

①要介護1一時金の支払事由に該当した場合

②所定の高度障害状態になった場合

③不慮の事故によるけがによって180日以内に所定の身体障害状態になった場合

となっています。

【公式コメントの内容】
以下、アフラックの公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

【<アフラックのしっかり頼れる介護保険>の発売について】

アフラック生命保険株式会社(代表取締役社長:古出 眞敏)は。公的介護保険制度を踏まえた合理的な保障設計を特長とした<アフラックのしっかり頼れる介護保険>を9月21日に発売します。

現在、日本では「人生100年時代」と言われるほどに長寿化が進んでおり、今後75歳以上の高齢者がますます増加することが見込まれています。また、高齢化とともに要介護認定者も増加していくことが予測され、大きな社会的問題となっています。

当社は「『生きるを』を創る。」というブランドプロミスにおいて、「がんをはじめとした病気やケガ、介護にまつわる不安を少しでも取り除き、自分らしく生きていただくためのお役に立ちたい」という「介護」に対する想いを掲げています。

今般、当社は、介護に関する社会的課題を解決するというCSV経営の実践と、長年掲げてきた当社のブランドプロミスを実践しお客様との約束を果たすために、<アフラックのしっかり頼れる介護保険>を発売します。

当社は、1974年に日本で初めてがん保険を提供するだけでなく、1985年には世界初の介護保険を発売するなど、社会環境とともに変わるお客様のニーズを汲み取りながら新たな価値を創造することで長年にわたってお客様の「生きる」を応援してきました。

今回発売する本商品をがん保険・医療保険に次ぐ柱と位置づけ、公的制度や医療環境の変化、お客様のライフステージごとのリスクに応じた「生きるための保険」をお届けする「アフラック式」の考え方のもと、最適な保障を幅広く提供していくことで、介護保険でもお客様の「生きる」を創るに一層取り組んでいきます。

◇<アフラックのしっかり頼れる介護保険>の特長
①お客様のニーズに合致した保障を提供

認知症に限定しない幅広い要介護原因を保障対象とし、継続的な年金タイプの保障で備えることができます。

②お求めやすい保険料を実現
介護にかかる期間や公的介護サービス利用時の自己負担額に整合した合理的な保障設計とすることで、お客様にとってお求めやすい保険料となっています。

③分かりやすい支払事由
公的介護保険制度と連動した明確でわかりやすい支払事由となっています。

以上です。

↑5月に撮影したダビドサナエ・♂。

医療保障における一時金の重要性。

今回は、3年前に発生した、とあるお客様への給付金請求事由の結末です。

結論から申しますと、お客様は4月下旬に逝去されました。理由は悪性脳腫瘍です。しかも最も悪性の膠芽腫でした。

給付金請求のご連絡をいただいたのは2018年の年明け早々でした。突然奥様に歩行障害の症状が現れ、医療機関を緊急で受診したところ、悪性脳腫瘍との診断確定が下され、直ちに入院・手術となったとのことでした。

保険会社が年末年始の休業期間中だったため、保険会社の業務が開始されてすぐに、入院・手術・三大疾病一時金といった給付金の請求を行いました。

後日、摘出手術と放射線、抗がん剤を組み合わせた標準治療が行われ、歩行障害が残ったものの、言語機能などに支障がなく無事退院されたと聞いたときはホッとしました。

この時、管理人は悪性脳腫瘍(グレード2から4の総称)のうち、悪性度が低いグレード2の腫瘍かな?と楽観視していました。

しかし、それから3年余りが経過した今年の4月下旬、お客様から奥様が亡くなったとのお電話をいただきました。ショックでした。お電話をいただいて2日後、奥様が加入していた保険の手続きについて打ち合わせするためご自宅を訪問しました。

そこで、ご主人から奥様が治療していたのは悪性脳腫瘍の中でも最も質の悪い、グレード4の膠芽腫であったことを打ち明けられました。もう、運が悪すぎたとしか言いようがありません。

ご主人から闘病生活の話を伺った後、奥様が契約していた医療保険は死亡保障がないため解約手続きを行う。ご主人の保険契約の保険金受取人変更の手続きを行う、といった保険契約の手続きの説明を行いました。

説明を終えた時、ご主人から医療保険の各種給付金、特に三大疾病一時金が役に立ったといわれました。複数回の支払事由に該当したため、初回以降も給付金を受け取ったとのことでした。

当時の予算の都合上、がん保険単体の加入を断念したため、がん保障を少しでも…と付加した特約でした。その特約の給付金がお客様にとって重要な役割を果たしたことを知り、一時金の重要性を改めて実感しました。

↑5月に撮影したアオサナエ・♂。

抗がん剤治療給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた令和3年1~3月の裁定概要集(PDF)に、抗がん剤治療給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
投与を受けた薬剤が、約款所定のものではないことを理由に給付金が支払われなかったことを不服として、抗がん剤治療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
甲状腺乳頭がんの治療を目的としてチラージンの投与を受けたため、平成30年5月に契約したがん保険にもとづき抗がん剤治療給付金を請求したところ、チラージンは保障の対象となる約款所定の薬剤には該当しないとして、支払われなかった。しかし、以下の理由により、抗がん剤治療給付金を支払ってほしい。

(1)診断書にはチラージンについて、抗がん剤・ホルモン療法である旨が記載されており、約款にも、保障対象にホルモン療法を含む旨の記載がある。また、医師からは、術後の凝ったがんの発育・抑制を目的に、ホルモン療法としてチラージンを5年間服用するという説明を受けており、チラージンが保障対象外となるのは問題である。

(2)約款において、チラージンが保障対象外の薬剤である旨の定めはない。

(3)給付金は毎月支払われるものであるが、1回目は支払われた。

…この事案はすでに裁定が終了しています。

申立人が罹患した甲状腺乳頭がんは、甲状腺がんの中で最も多く、進行がゆっくりであることが多いそうです。

このがんは、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)で増殖します。

治療の原則は手術によるがんの切除で、がんの広がり程度で、甲状腺の摘出範囲を決めるそうです。

進行の程度で甲状腺全摘出術後に追加治療を行い、その一つであるホルモン補充療法は、脳下垂体のTSH分泌を抑制するよう、甲状腺ホルモン剤(チラージンS錠)を通常より多く投与します。申立人が受けたのはこの治療であると思われます。

保険会社はチラージンを保障対象外の薬剤としていますが、個人的には、標準治療をもれなく保障するようにしてほしいですね。

【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和3年1~3月裁定概要集・P35より転載)。

[事案2020-146]給付金支払請求
・令和3年3月8日 裁定終了

<事案の概要>
投与を受けた薬剤が、約款所定のものではないことを理由に給付金が支払われなかったことを不服として、抗がん剤治療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
甲状腺乳頭がんの治療を目的としてチラージンの投与を受けたため、平成30年5月に契約したがん保険にもとづき抗がん剤治療給付金を請求したところ、チラージンは保障の対象となる約款所定の薬剤には該当しないとして、支払われなかった。しかし、以下の理由により、抗がん剤治療給付金を支払ってほしい。

(1)診断書にはチラージンについて、抗がん剤・ホルモン療法である旨が記載されており、約款にも、保障対象にホルモン療法を含む旨の記載がある。また、医師からは、術後の凝ったがんの発育・抑制を目的に、ホルモン療法としてチラージンを5年間服用するという説明を受けており、チラージンが保障対象外となるのは問題である。

(2)約款において、チラージンが保障対象外の薬剤である旨の定めはない。

(3)給付金は毎月支払われるものであるが、1回目は支払われた。

<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人に投与されたチラージンは、保障対象外の薬剤である。

(2)保障対象とならない薬をすべて約款に規定しなければならない義務はない。

(3)1回目の抗がん剤治療給付金の支払いは誤払いである。

<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本手術の状況等を把握するため、申立人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
上記手続きの結果、チラージンは保障の対象となる約款所定の薬剤に該当するとは認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続きを終了した。

以上です。

5月に撮影したホソミイトトンボ・♂の越冬型。