日本生命、入院給一時金の給付上限を改定?日経報道。

8月5日の日本経済新聞朝刊に、日本生命の医療保障に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 日本生命保険は9月26日から、入院給付金の一時金を最大40万円から30万円に引き下げる方針だ。新型コロナウイルスの流行が続く中、契約した直後に給付金の請求が届くなど不正が疑われる事例も生じているためだ。医療保険の引き受けも一部で見合わせた。感染第7波の請求が本格化するのを前に、同様の措置に踏み切る生命保険会社が増える可能性もある。>

とのことです。

【管理人の感想】
この記事を書いている時点(8月17日)で、日本生命保険はこの報道に関する公式コメントを発表していません。したがって、今回の報道が正式に決定した事実かどうかは不明です。

ただ、日本生命に限らず、弊社が代理店委託契約を締結している某外資系生保からも、逆選択を疑われる事例(自発的な申し込み。特定の保険商品の指定(比較検討の推奨を拒否)。特に医療保険の複数商品への申し込み。保険金・給付金の高額設定、高額な年収の申告等)が確認されていること等の情報が上がってきています。

また、保障開始直後に給付金(入院一時金)の請求があれば、当然保険会社は告知義務違反を疑い、医的調査を行います(これは新型コロナウイルス感染症に限った話ではありません)。

告知義務違反が確認されれば、当然契約は解除され給付金は一切支払われません。

告知義務違反がなくても、被保険者の収入に比べて著しく高額な給付金額の設定があったりすれば、保険会社は重大事由による契約解除を行います。

告知義務違反や申し込みの給付金額に不自然な点がなくとも、保障開始直後の入院一時金請求の発生率に不自然な点が認められれば、保険会社は入院一時金の上限額を引き下げることになるでしょう。

かつて、レーシック手術を受ける予定があるにもかかわらず医療保険に申し込み、保障開始直後に手術を受け、手術給付金を受け取って解約するという悪質な事例が多くの保険会社で発生したため、保険会社は手術給付金の保障内容を変更して、レーシック手術を手術給付金の支払事由から除外-ということがありました。

今後も悪質な事例が続けば、入院一時金の保障内容が改訂され、①入院給付金日額が1万円未満なら5倍または10倍のいずれか、②入院給付金が1万円を超える場合は5倍のみーといった内容になるかもしれません。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年8月5日朝刊-

【日本生命、入院給付金の上限下げへー一時金30万円に、コロナ対応】

日本生命保険は9月26日から、入院給付金の一時金を最大40万円から30万円に引き下げる方針だ。新型コロナウイルスの流行が続く中、契約した直後に給付金の請求が届くなど不正が疑われる事例も生じているためだ。医療保険の引き受けも一部で見合わせた。感染第7波の請求が本格化するのを前に、同様の措置に踏み切る生命保険会社が増える可能性もある。

コロナ禍で入院給付金の請求が相次ぎ、支払業務に支障が生じる事態になっている。制度の持続性を保ち、契約者間の公平感を確保するためにも給付金の減額に踏み切る必要があると判断した。

病気やけがで働けなくなった際の収入を補填する保険商品でも、1ヵ月あたりの一時金を最大20万円から10万円に下げる方向だ。

給付金を受け取ろうと、あえて医療保険などに入ろうとする人もいる。こうした不正を防ぐには保険の引受時により慎重を期す必要があると判断し、4日から契約を控える措置に乗り出した。

以上です。

↑、眠りについたツマキチョウ・♀(5月撮影)。

6月の新型コロナウイルス感染症に対する生保各社の入院給付金支払額、単月としては過去最高額を更新。

8月2日の日本経済新聞朝刊に、新型コロナウイルス感染症に対して生命保険各社が支払った、6月分の給付金支払額についての記事がありました。

記事によりますと、

< 新型コロナウイルスの感染者が相次ぐなか、生命保険会社による入院給付金の支払額が急増している。生命保険協会によれば、今年6月の支払額は640億円と単月として過去最高を更新した。契約者が保険会社に給付金を請求するのは感染から1~2ヵ月後とされる。

これから感染第7波の影響が顕在化してくると支払額は一段と膨らみそうだ。>

とのことです。

【管理人の感想】
これだけ給付金の支払額が増えれば、当然支払い査定にも大きな負担がかかります。

そのため、新型コロナウイルス感染症による入院給付金の支払い日数は、平均で5営業日以内となっている一方で、それ以外の傷病による給付金支払いには遅延が生じているという情報が保険会社から入ってきています。

ただ、保険会社職員・社員も営業担当者も速やかな給付金請求と支払いを実施すべく懸命に努力しておりますので、何卒ご理解いただきたいです。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年8月2日朝刊-

【生保の入院給付金、支払額最高-6月、コロナ影響】

新型コロナウイルスの感染者が相次ぐなか、生命保険会社による入院給付金の支払額が急増している。生命保険協会によれば、今年6月の支払額は640億円と単月として過去最高を更新した。契約者が保険会社に給付金を請求するのは感染から1~2ヵ月後とされる。

これから感染第7波の影響が顕在化してくると支払額は一段と膨らみそうだ。

入院給付金は各社が取り扱う医療保険につく保障で、病気やけがの治療で入院した場合に受け取れる。加盟42社の支払額を生保協会がこのほど取りまとめた。

最新の6月分では支払額が640億円と1年前の12倍に増えた。3月(403億円)から急増し、4ヵ月続けて最高額を更新している。大手の関係者は「年度初めに見込んでいた想定の支払額を上回って推移している」と話す。

これまでの累計の支払額は入院給付金で2893億円に上る。このうち実際に入院しなくても給付金を受け取れる「みなし入院」と呼ばれる措置の支払額は92%を占める。死亡保険金の支払額は累計で1455億円だった。

第7波の請求はこれから本格化するため、各社は人員を増やすなどの対応策を強化している。住友生命保険は給付金の支払いにあたる人員を先月より40人多い190人へ増やす。第一生命保険も状況を見ながら人員の拡充を県とするとしている。

以上です。

↑翅を休めるジャコウアゲハ・♂(5月撮影)。

新型コロナウイルス感染症による入院給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた令和4年1~3月の裁定概要集(PDF)に、新型コロナウイルス感染症による入院給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
新型コロナウイルス感染症に罹患した際の、自滝療養機関の入院給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
新型コロナウイルス感染症に罹患し、令和3年1月に宿泊施設で療養(療養①)し、その後、同年2月に療養(療養②)したため、令和2年10月に契約した医療保険に基づき入院給付金を請求したところ、療養②について、入院の必要性が認められないとして給付金が支払われなかった。しかし、募集人から、新型コロナウイルス感染症による自宅療養についても、入院給付金が支払われるとの誤説明を受けたことから、療養②の入院給付金を支払ってほしい。それが認められない場合は、既払込保険料を返還してほしい。

…この事案はすでに裁定が終了しています。

そういえば…公共放送のデータ連動放送で、新型コロナウイスる感染症による「みなし入院」に対する入院給付金の支払いや、「10万円を受け取ることができた」といったその具体的な受給額の体験談を取り扱っていました。

確かに、入院一時金特約といった特約を付加していたり、入院給付金を日額ではなく、一時金で受給する契約であったりすれば、そうしたまとまった金額を受給することが可能です。

ただし、新型コロナウイルス感染症による「みなし入院」についての取り扱いについては、保険会社が所定の要件を定めており、その要件に該当しなければ本事案同様、給付金は支払うことはできません。

【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和4年1~3月裁定概要集・P14~15より転載)。

【事案2021-131】入院給付金支払等請求
・令和4年2月17日 裁定終了

<事案の概要>
新型コロナウイルス感染症に罹患した際の、自滝療養機関の入院給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
新型コロナウイルス感染症に罹患し、令和3年1月に宿泊施設で療養(療養①)し、その後、同年2月に療養(療養②)したため、令和2年10月に契約した医療保険に基づき入院給付金を請求したところ、療養②について、入院の必要性が認められないとして給付金が支払われなかった。しかし、募集人から、新型コロナウイルス感染症による自宅療養についても、入院給付金が支払われるとの誤説明を受けたことから、療養②の入院給付金を支払ってほしい。それが認められない場合は、既払込保険料を返還してほしい。

<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)本契約では、入院の必要性があるが、医療機関の事情等により入院ができず、自宅や宿泊療養施設で療養した場合に限定して支払を行う運用をしているところ、申立人が通院していた病院や保健所の見解等からすれば、療養②については入院の必要性があったとは認められない。

(2)募集人に誤説明があったとは考えられない。

<裁定の概要>
1.裁定の概要
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の状況等を把握するため、申立人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
上記手続の結果、療養②の入院給付金の支払いは認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続きを終了した。

以上です。

↑5月上旬に撮影したアサマイチモンジ・♂。