終身医療保険の契約を巡る裁定事案(契約取り消しを求めて申立て)。

生命保険協会が取りまとめた、令和4年10~12月の裁定概要集(PDF)に、終身医療保険の新契約を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 募集人の不適切な行為等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 平成30年1月に乗合代理店を通じて契約した終身医療保険について、以下等の理由により、契約を取り消して既払込保険料を返還してほしい。

(1)代理店担当者から勧誘の電話があり、断ったにもかかわらず、翌日自宅を訪問してきた。契約するつもりがないことを伝えたものの、しつこく勧誘を受けたため、契約した。

(2)自分は85歳と高齢であったが、契約時、同居していた子の同席がなかった。

(3)平成28年10月及び12月に契約した他社の終身保険とがん保険は、苦情を申し出たところ、契約取消となった。

この事案は既に和解が成立しています。

<裁定の概要>を読む限り、募集人の行為が高齢者に対する募集ルールに違反していることは明白です。

そもそも、募集人が高齢者に対する募集ルールを守るつもりがあったのか疑わしいといえるでしょう。代理店と募集人双方に厳しい処分があってしかるべき事案だと思います。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和4年10~12月裁定概要集・P7~8より転載)

[事案2021-300]新契約取消請求
・令和4年10月21日 和解成立

<事案の概要>
 募集人の不適切な行為等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 平成30年1月に乗合代理店を通じて契約した終身医療保険について、以下等の理由により、契約を取り消して既払込保険料を返還してほしい。

(1)代理店担当者から勧誘の電話があり、断ったにもかかわらず、翌日自宅を訪問してきた。契約するつもりがないことを伝えたものの、しつこく勧誘を受けたため、契約した。

(2)自分は85歳と高齢であったが、契約時、同居していた子の同席がなかった。

(3)平成28年10月及び12月に契約した他社の終身保険とがん保険は、苦情を申し出たところ、契約取消となった。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の主張に応じることはできない。

(1)代理店担当者は、以前より申立人から、既契約の保険料が高いため抑えたいとの希望を聞いていたため、申立人に了承を得たうえで訪問し、勧誘を行っている。

(2)契約にあたって、申立人に家族の同席を依頼したところ、同居している子は働いているため同席が難しいと回答された。

(3)契約手続後、申立人に電話で確認した際、申込内容が自身の意向にあっていること、家族に本契約の話をしていることを回答している録音記録が存在する。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の状況等を把握するため、申立人および申立人の子に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、募集人の不適切な行為等を理由とした契約の取消しは認められないものの、以下の理由により、和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)契約時、申立人は85歳であり、相当程度、判断能力が減退していたことが推測できる。

(2)代理店担当者は、電話にて、保険料が安くなると勧誘して面談の約束を取り付けたが、実際の面談の際には、電話で話した保険料の2倍を上回る金額の商品を勧めており、申立人の判断能力が減退していることを利用して、本申込みに至っている。

(3)代理店担当者は、電話にて申立人の家族に同席を求めたが、申立人の家族が同席できないと回答したにもかかわらず訪問している。代理店担当者は、家族が同席できる日に訪問することが望ましかったといえ、代理店担当者による家族同席の依頼は極めて形式的である。

以上です。

↑昨年6月に撮影したカブトムシ♂。

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