死亡保険金等(養老保険)の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和4年4~6月の裁定概要集(PDF)に、死亡保険金等(養老保険)の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
告知義務違反により契約が解除されたことを不服として、解除の取消しと死亡保険金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
被保険者が大動脈解離により入院し、出血性ショックで死亡したため、平成31年3月に契約した養老保険の医療特約にもとづき、死亡保険金および疾病入院保険金を請求したところ、告知義務違反により契約が解除となった。しかし、以下の理由により、解除を取り消して、死亡保険金および疾病入院保険金を支払ってほしい。

(1)告知書の内容からは、5年以上前の大動脈解離の事実記載の必要性はないと考えるのが一般的である。

(2)大動脈解離は持病に類するものではなく、再発も予想されにくい病気である。

…この事案は既に裁定が終了しています。

結論を申しますと、契約解除は当然です。

大動脈解離は医的査定結果が厳しい病のひとつです。加入時に告知していれば、謝絶(引受不可)となっていたでしょう。

大動脈解離とは、大動脈の血管に傷が生じたことで、内膜・中膜・外膜という3つの血管層の内の、内膜(ないまく)と中膜(ちゅうまく)の間に血液が流れ込んで内膜と中膜との間が裂けてしまう病気です。

故・石原裕次郎さんやドリフターズのメンバー・加藤茶さんが発症しました。

上行大動脈や弓部大動脈、下行大動脈、腹部大動脈といった場所によって、胸部の激痛など症状が多様といわれています。

上行大動脈に解離が生じたものを「スタンフォードA型」、下行大動脈に解離が生じたものを「スタンフォードB型」と言います。スタンフォードA型は緊急手術を要するものがほとんどで、一般的に予後不良と言われています。

【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和4年4~6月裁定概要集・P46より転載)。

[事案2021-211]死亡保険金等支払請求
・令和4年5月17日 裁定終了

<事案の概要>
告知義務違反により契約が解除されたことを不服として、解除の取消しと死亡保険金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
被保険者が大動脈解離により入院し、出血性ショックで死亡したため、平成31年3月に契約した養老保険の医療特約にもとづき、死亡保険金および疾病入院保険金を請求したところ、告知義務違反により契約が解除となった。しかし、以下の理由により、解除を取り消して、死亡保険金および疾病入院保険金を支払ってほしい。

(1)告知書の内容からは、5年以上前の大動脈解離の事実記載の必要性はないと考えるのが一般的である。

(2)大動脈解離は持病に類するものではなく、再発も予想されにくい病気である。

<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)被保険者は、平成26年11月に大動脈解離により入院し、以後定期的に通院治療をしている。

(2)死亡保険金の支払事由が、解除の原因となった事実にもとづくため、死亡保険金を支払うことはできない。

(3)疾病入院保険金については、発病が特約の保険期間外のため支払うことはできない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本件にかかる経緯等と和解を相当とする事情の有無を確認するため、申立人および申立人子に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
上記手続きの結果、契約解除の取消しおよび死亡保険金等の支払いは認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑5月に撮影したアオハダトンボ・♀。

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