新型コロナウイルス感染症に対する公費と自助(民間生命保険)について。

0月15日の日本経済新聞朝刊に、新型コロナウイルス感染症における公費と自助(民間生命保険)に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 新型コロナウイルスは「第7波」が落ち着き、小康状態が続いている。だが、冬に向けて再び感染者が増えるとも想定される。完全な感染終息を期待せず、日常生活への影響を抑える「withコロナ」へと社会にも変化が出てきた。コロナに感染したときの医療費などの自己負担や給付について改めて確認してみた。

ただ、そもそも新型コロナに感染した場合の医療費には公的な支援が手厚く、自己負担は限られるといえる。

一般的なケースで見てみよう。まず発熱などの症状があり、新型コロナへの感染の疑いがあれば、かかりつけ医などの医療機関を受診する。この際の初診料などは健康保険の対象で、自己負担は原則として3割になる。個々で医師が感染の有無を調べる「PCR検査」や「抗原検査」の必要があると判断したとする。これらの検査費用は健康保険と公費での負担になり、自己負担はゼロになる。

さらに検査結果が陽性となった場合、保健所などがコロナの療養機関として認める期間は医療費は全額、健康保険と公費負担で賄うため自己負担はゼロだ。入院したり、病院の代わりにホテルなどの宿泊施設で療養したりする場合も、基本的な食費や滞在費は公費負担になる。

治療で自己負担となるのは、肺のコンピューター断層撮影装置(CT)検査といった感染の有無を調べる以外の検査など。それも健康保険の対象なら自己負担は3割で済む。1ヵ月当たりの医療費が膨らんだ場合は高額療養費制度により自己負担の上限額が8万円程度(一般的な収入の場合)に抑えられる。なお、入院や宿泊施設での療養期間中の衣類や歯ブラシなどの日用品や洗濯などの費用は自己負担となる。これは通常の入院と同じだ。>

とのことです。

【管理人の感想】
民間生命保険の対応は、すでに39の生命保険会社が発表しているように、「みなし入院」における入院給付金や入院一時金の支払い対象を妊産婦など、重症化リスクが高い人たちに限る変更を行っています。

2020年に金融庁からの要請が出されたことに伴い、生命保険各社は特例として入院給付金の支払事由の解釈を弾力的に運用し、入院給付金や入院一時金の支払いについて、宿泊施設や自宅で療養を余儀なくされた人も対象としてきました。

しかし新型コロナウイルスの変異に伴い、重症患者よりも軽症や無症状の患者の割合が多くなりました。

軽症患者や無症状の患者は、

「医師の治療が必要であり、かつ自宅等での治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念する」

という入院の定義に該当する状態にはないといえますから、特例の対象から外して当然かと思います。

また、新型コロナウイルス感染症への保障に特化した保険商品が相次いで販売停止となり、引き受けていた少額短期保険会社が業務改善命令を受けました。

これについては、統計が固まっていない新型感染症を単体で保険契約として引き受けた時点で、見通しが甘すぎたとしか言いようがありません。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年10月15日朝刊-

【コロナ感染「費用」を確認】
新型コロナウイルスは「第7波」が落ち着き、小康状態が続いている。だが、冬に向けて再び感染者が増えるとも想定される。完全な感染終息を期待せず、日常生活への影響を抑える「withコロナ」へと社会にも変化が出てきた。コロナに感染したときの医療費などの自己負担や給付について改めて確認してみた。

神奈川県内に住む会社員男性(50)は最近、自身が加入する生命保険会社に問い合わせの電話をかけた。新型コロナ感染者への医療保険の支払条件を厳しくすると報道で知ったためだ。保険会社の回答は「今後は自宅療養なら給付の対象がになる」というもので、落胆したという。

このほど変わったのは「入院給付金」の支払い条件だ。生命保険協会に加盟する生保42社のうち、39社が新型コロナの感染者に支払う入院給付金の対象を大幅に絞った。9月25日までに感染が判明した場合は軽症で自宅療養でも給付金を受け取れる。9月26日以降に感染が分かった場合は新基準が適用される。

本来、入院給付金の支払いは「病院に入り、常に医師の管理下で治療に専念すること」が条件。だが新型コロナウイルスに感染すると、比較的軽症で自宅などで療養する場合でも「みなし入院」として入院給付金の対象になっていた。感染拡大当初に医療機関の病床圧迫を避けるための金融庁の要請を踏まえての「特例」だった。9月26日以降は(1)65歳以上の高齢者(2)入院が必要な人(3)新型コロナウイルス感染症の治療薬を投与する必要がある(4)妊婦-を条件に変えた。

新型コロナウイルス感染症に対応する保険の見直しは相次いでいる。大手損害保険も医療保険などの加入者には、みなし入院に対して保険金を払っていたが、生保と同様に9月下旬から支払い対象を絞った。

ネット経由などで販売が拡大した「コロナ専用保険」では販売停止が相次いでいる。医師に陽性と診断されたら保険金が出る分かりやすさで支持を集めたが、第7波での陽性者数が想定を上回り、保険金の支払い件数が増加。収支のバランスが崩れたことが主因とみられている。

損が保険ジャパンは8月にスマホ決済「Pay Pay(ペイペイ)」を通じて販売していた保険「コロナお見舞金」の販売を停止した。今年に入り新契約の保険料を引き上げたり保険金の減額をしたりしたが、収支悪化に歯止めがかからなかった。なお、すでに契約済みの保険は満期まで契約時の内容で補償されるという。

入院給付金の制度変更は対象外となる契約者からみれば心理的な影響は小さくないだろう。商品によっては陽性と診断されれば数万円から数十万円を受け取れるためだ。ただ、そもそも新型コロナに感染した場合の医療費には公的な支援が手厚く、自己負担は限られるといえる。

一般的なケースで見てみよう。まず発熱などの症状があり、新型コロナへの感染の疑いがあれば、かかりつけ医などの医療機関を受診する。この際の初診料などは健康保険の対象で、自己負担は原則として3割になる。個々で医師が感染の有無を調べる「PCR検査」や「抗原検査」の必要があると判断したとする。これらの検査費用は健康保険と公費での負担になり、自己負担はゼロになる。

さらに検査結果が陽性となった場合、保健所などがコロナの療養機関として認める期間は医療費は全額、健康保険と公費負担で賄うため自己負担はゼロだ。入院したり、病院の代わりにホテルなどの宿泊施設で療養したりする場合も、基本的な食費や滞在費は公費負担になる。

治療で自己負担となるのは、肺のコンピューター断層撮影装置(CT)検査といった感染の有無を調べる以外の検査など。それも健康保険の対象なら自己負担は3割で済む。1ヵ月当たりの医療費が膨らんだ場合は高額療養費制度により自己負担の上限額が8万円程度(一般的な収入の場合)に抑えられる。なお、入院や宿泊施設での療養期間中の衣類や歯ブラシなどの日用品や洗濯などの費用は自己負担となる。これは通常の入院と同じだ。

新型コロナで仕事を休んだ場合の補償も確認しておきたい。まず、会社員などが業務によって感染したことが明らかな場合は、労働者災害補償保険(労災保険)の対象になる。療養のために仕事を休み、賃金が支払われなかった場合は、休業4日目から給与の8割程度の給付を受けられる。飲食店で接客業務をしていて、客に集団感染があった場合などは認められる可能性が高い。

労災の対象にならない場合、健康保険に加入する会社員は、傷病手当金を受け取れる。賃金が支払われない場合は休業4日目から、給与の約3分の2をもらえる。ファイナンシャルプランナーの内藤真弓氏は「企業によっては独自の給付を用意してる例もある。勤務先の内容を確認しておきたい」と話す。

国民健康保険には、通常傷病手当金はないが、新型コロナの感染の場合は傷病手当金を受け取れる場合がある。パートやアルバイトなど短時間労働でも給与をもらい、勤務先の健康保険に加入していない場合は、多くの自治体の国民健康保険で傷病手当金の支給対象になる。ただし、フリーランスや自営業者の場合は支給される自治体が少ない。その場合は、民間の所得補償保険への加入で備えることも一案になる。

以上です。

↑、5月に撮影したイチモンジチョウ・♂。

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