生保の銀行窓販、一時払い保険商品の新契約高が7年ぶりに5兆円越え。

6月27日の日本経済新聞朝刊に、生命保険の銀行窓販の動向に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 保険の銀行窓販が伸びている。保険料をまとめて納める一時払い商品の販売額は2022年度に7年ぶりに5兆円を超えた。世界的な金利上昇で利回りが改善した米ドルなど外貨建が活況だった。最も将来の保険金支払いに備えて保険料の一部を積み立てる制度※が始まり、販売増が短期的には収益を押し下げる構図になっている。>

※管理人補足:2022年4月1日をもって、健全な競争環境の整備と契約者保護の観点から、外貨建保険も「標準責任準備金制度」の対象となりました。これにより、保険会社は保険料の基礎率である予定利率や積立利率の設定に慎重になっていると考えられます。

とのことです。

【管理人の感想】
外貨建ての一時払保険商品は、円建保険商品に比べて高い予定利率や積立利率が設定できるため、退職金の受け皿として積極的に提案されてきました。

しかし、「市場価格調整」を採用しているなど、保険商品の仕組みが分かりやすいとはいいがたく、契約締結後に苦情を申し出たり、代理店である銀行や引受先の保険会社と、契約者・被保険者およびその家族との間で紛争に至ったりするケースが報告されています。

個人的には、どうしても保険金を用意する必要があって、円建の保険商品では希望に沿えない(健康上の理由で加入できないなど)というケースを除いて、「為替の動向」という不確実性を内包している外貨建保険で、保険金を用意する必要性はないと考えています。

しばしば資産運用の手段としても…という理屈を耳にしますが、それなら米国債を購入した方がよほど効率よく資産運用できるでしょうから、それも無理があると考えています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

【保険、銀行窓販7年ぶり5兆円越え 昨年度、外貨建がけん引】
 保険の銀行窓販が伸びている。保険料をまとめて納める一時払い商品の販売額は2022年度に7年ぶりに5兆円を超えた。世界的な金利上昇で利回りが改善した米ドルなど外貨建が活況だった。最も将来の保険金支払いに備えて保険料の一部を積み立てる制度が始まり、販売増が短期的には収益を押し下げる構図になっている。

 22年度の銀行窓口における一時払い保険の販売額は、21年度から約1.7倍の約5兆5000億円。20年度に比べると2倍近くに伸びた。5兆円を超えたのは、日銀がマイナス金利政策を導入した15年度以来、7年ぶりとなる。

 けん引役は米ドル建てを中心とした外貨建だ。22年度の販売額は前の年度比1.8倍の約3兆9000億円だった。22年前半から海外金利が上昇したことに伴い、積立利率が改善したことが大きい。

 第一生命ホールんディングス(HD)傘下の第一フロンティア生命保険の場合、米ドル建てで10年運用する主力商品の利率が4%を超えている。22年の当初より2%以上高い。同社の23年3月期決算は保険料等収入が前の期比74%増の約2兆6000億円と期初の想定を上回る好調ぶりだった。

 販売は好調だが、単年度の収益にはむしろ悪影響となる。将来の保険金支払いに備えるため、集めた保険料の一部を責任準備金として積み立てる制度の対象に外貨建保険も加わったためだ。第一生命HDでは責任準備金の積み増しが増え、有価証券の売却損益も含めると約500億円利益を押し下げた※。

※管理人補足:令和3年4月23日から5月24日にかけて、「標準責任準備金制度にかかる告示の一部改正(案)」に寄せられたパブリックコメントの中に、日経記事よりも精度の高いコメントがあります。以下抜粋したものです。

< 外貨建保険に対する標準責任準備金制度の適用は、これにより、標準利率より高い利率での運用を謳う保険会社においても、初年度の責任準備金負担の重さから、保険契約者に提示する予定利率を抑えることが想定され、健全な競争環境の整備ひいては契約者の保護に資するものと理解しております。>

 外貨建てに見劣りしていた円建ての妙味も戻りつつある。22年度の販売額は18年度比2.6倍超の約1兆6000億円だった。22年末から国内の長期金利も上昇し、日本生命保険や明治安田生命保険は23年1月に予定利率を引き上げた。

 外貨建保険については、金融庁は実態を「見える化」するために販売金融機関に対し、顧客の損益状況や銘柄別のリスク・リターンの成果指標の策定も求めている。業界側も22年から資格制度の運用を始めるなど販売改革に着手した。

 23年度は外貨建ての需要が一服し、円建ての販売が伸びるとの見方が多い。住友生命保険の高尾延冶・執行役常務は「円建て、ドル建てトフルラインアップの商品を用意する中で、市場環境や顧客ニーズに合わせて販売ボリュームを確保したい」と語る。5月末時点での販売額は円建て、外貨建てともに相対的な金利の高さを受けて、業界全体で前年同期比プラスになっている。

 外貨建て保険については「ほかの運用商品との比較説明が行われておらず、顧客のポートフォリオ全体における位置づけが不明確」(金融庁)といった課題も依然残っている。金融機関には適切な販売体制の構築や手数料など情報開示の充実が求められる。

以上です。

↑ハナダイコンにやってきたキアゲハ・春型の♂(4月撮影)。

がん給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年1~3月の裁定概要集(PDF)に、がん給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款に定めるがんに該当しないことを理由に、がん給付金が支払われなかったことを不服として、既払込保険料の返還等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 卵巣がんにより入院し、子宮付属器腫瘍摘出術を受けたことから、平成16年9月に代理店を通じて契約したがん保険にもとづき、がん給付金を請求したが、約款に定めるがんに該当しないとして、がん給付金が支払われなかった。しかし、以下等の理由により、既払込保険料を返還してほしい。

(1)契約に際し、募集人から、がんと診断された場合には、どんながんでも給付金が支払われると説明されている。

(2)給付金の不支払通知が届いたため、募集人に電話したところ、がんの診断書が出ているなら支払われると回答された。

(3)給付金不支払通知は、一貫して不親切で分かりづらく、担当者から電話があった際に分かりやすく説明するよう求めたものの、弁護士や医師を紹介すると回答されるのみで、理由が分からないまま数ヵ月が経過し精神的苦痛を受けた。

…この事案は既に和解が成立しています。

<保険会社の主張>によると、申立人が診断されたのは、「卵巣がん(Endometrioid borderline tumor)」とありますが、これだけは何を言っているのかさっぱり分かりません。

調べてみたところ、申立人の卵巣癌は「類内膜境界悪性腫瘍」というものでした。複数の医療機関のHPで確認したところ、以下のことが分かりました。

①卵巣癌のひとつである上皮性腫瘍に分類される。

②組織学的には良性に近い所見でありながら悪性腫瘍に似た経過を示す。悪性と良性の中間的な性質を持つ。

では、なぜがん保険の給付金支払事由非該当となったのか?

申立人の疾患である「類内膜境界悪性腫瘍」が、約款記載の「対象となる悪性新生物」が準拠する、「ICD-10分類C51-C58 女性生殖器の腫瘍<悪性新生物>」に含まれていないため

-と管理人は推測しています。

今回の件に限らず、主治医の診断書には「悪性」「がん」と記載されているにもかかわらず、給付金の支払事由非該当なった事例はしばしば見受けられます。

お客様と保険会社の間での支払いを巡るトラブルを防ぐには、約款を契約前に十分な時間的余裕をもって、丁寧に説明し、説明箇所にはマーカーを引き、付箋をつけて手交することが重要ですね。

<事案の内容>

以下、裁定事案の内容です(令和5年1~3月分裁定概要集P1~2より転載)。

[事案2021-273]既払込保険料返還請求
・令和5年1月26日 和解成立

<事案の概要>
 約款に定めるがんに該当しないことを理由に、がん給付金が支払われなかったことを不服として、既払込保険料の返還等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 卵巣がんにより入院し、子宮付属器腫瘍摘出術を受けたことから、平成16年9月に代理店を通じて契約したがん保険にもとづき、がん給付金を請求したが、約款に定めるがんに該当しないとして、がん給付金が支払われなかった。しかし、以下等の理由により、既払込保険料を返還してほしい。

(1)契約に際し、募集人から、がんと診断された場合には、どんながんでも給付金が支払われると説明されている。

(2)給付金の不支払通知が届いたため、募集人に電話したところ、がんの診断書が出ているなら支払われると回答された。

(3)給付金不支払通知は、一貫して不親切で分かりづらく、担当者から電話があった際に分かりやすく説明するよう求めたものの、弁護士や医師を紹介すると回答されるのみで、理由が分からないまま数ヵ月が経過し精神的苦痛を受けた。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人が診断された、「卵巣がん(Endometrioid borderline tumor)」は、約款上のがん(悪性新生物・上皮内新生物)に該当しない。

(2)契約にあたり、募集人が、どんな種類のがんも、がんと診断されたら給付金の支払対象になると説明した事実はなく、説明に使用したパンフレットについても、全てのがんが給付金支払対象であると誤認されるような記載はない。

(3)募集人は、申立人から不支払理由について問い合わせがあった際にも、給付金が出るとは言っていない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、申込時の状況等を把握するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、募集人の誤説明による既払込保険料の返還は認められないものの、以下の理由により、和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)給付金の不支払通知の内容は、申立人の卵巣がんが、約款所定の悪性新生物の診断確定に該当しないといった趣旨の短い説明と約款上行の添付にとどまり、申立人が「卵巣がん」と診断を受けている中で、がん保険の給付金支払対象外となることに得心することは困難であったと思われる。

(2)申立人からの説明要望により保険会社から送付された書面では、約款上の「悪性新生物および上皮内新生物」の定義を説明したうえで、支払対象となる「がん」と申立人がそれに該当しないことを説明し、資料として約款、ICD-10(疾病、傷害および死因統計分類提要)、ICD-10(国際疾病分類 腫瘍学)の各抜粋を添付している。しかし、説明は専門用語で短く記載されており、一般の契約者が容易に理解できる内容とは言い難く、資料として添付された専門書の抜粋には補足説明がなく、ICD-10に至っては英文で、これを読んだ申立人が得心するどころかかえって混乱し、保険会社に不信感を強めたことが想像できる。

(3)支払担当者としては、より噛み砕いた内容の補足説明を記載する、自らまたは募集人より口頭補足説明を行うなど、より詳細かつ丁寧な説明をすべき状況であった。

(4)上記(1)(2)の2通の書面は、申立人が理解することが相当程度困難なものであったこと、また、給付金請求から2通目が送付されるまで半年以上が経過しており、このような対応が本紛争の原因となったと考えられる。

以上です。

↑春の河原の片隅で翅を休めるナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。

オリックス生命の2022年度決算。

5月30日、オリックス生命保険はHPにて、2022年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/30・プレスリリース 2022年度決算(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約高が減少に転じる

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比100.3%、99%、101.6%と保有契約高を除いて増加していました。収入保障保険といった定期の保障性商品が減少したことが、保有契約高の減少の要因のようです。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年度末比100.6%と微増でした。

2.新契約は不調
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比83.3%、79.6%、91.8%といずれも減少でした。為替が円安に振れたことによる、米ドル建終身保険の契約が落ち込んだことが不調の一因のようです。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年度比88.7%と二桁の減少でした。商品改定を行った医療保険は、販売が堅調だったとのことですが、新契約を前年度比増にするまでには至らなかったようです。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記プレスリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…489万5000件 前年度末比100.3%

・個人年金保険…9万4000件 前年度末比95.9%

2)契約高
・個人保険…14兆1185億円 前年度末比99%

・個人年金保険…2693億円 前年度末比82.9%

・団体保険…7986億円 前年度末比108.5%

〇新契約
1)件数

・個人保険…27万6000件 前年度比83.3%

2)契約高
・個人保険…7985億円 前年度比79.6%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…3378億円 前年度末比101.6%

・個人年金保険…410億円 前年度末比94.7%

・個人保険+個人年金保険…3788億円 前年度末比100.9%

 うち医療保障・生前給付保障等…2135億円 前年度末比100.6%

2)新契約
・個人保険…265億円 前年度比91.8%

・個人保険+個人年金保険…265億円 前年度比91.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…153億円 前年度比88.7%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…4532億円 前年度比101.1%

・保険金等支払金…2873億円 前年度比119.3%

・経常利益…▲94億円 (▲117億円)

・当期純利益…▲89億円 (▲103億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績および数値。 ▲はマイナス
・基礎利益…▲69億円 (▲67億円)

・ソルベンシー・マージン比率…1004.9% (1275.9%)

以上です。

↑春限定の蝶・ミヤマセセリの♂(4月撮影)。

アフラックの2022年度決算。

5月23日、アフラック生命保険はHPにて、2022年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/23・ニュースリリース 2022年度決算報告(案)(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少続く

がん保険の保有契約件数は、前年度末比98%。医療保険の保有契約件数は、前年度末比98.1%とどちらも減少が続きました。保有契約が増加に転じませんね。

がん保険と医療保険に続く第三分野商品の柱となる保険商品が出てこないと、保有契約の増加にまだまだ時間がかかるかもしれません。

2.がん保険の新契約が伸びる
がん保険の新契約件数は前年度比112.7%と二桁の増加でした。新商品の効果が出ていることがうかがえます。個人保険全体の新契約件数を引き上げていました。

一方、医療保険の新契約件数は前年度比75%と2割以上の減少でした。商品改定による保障内容強化がなされているのに、新契約増加に結び付きませんね。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数
・個人保険…2291万件 前年度末比98.1%

・個人年金保険…32万7000件 前年度末比100.8%

・個人保険+個人年金保険…2323万8000件 前年度末比98.1%

 うちがん保険…1469万5000件 前年度末比98%

 うち医療保険…564万6000件 前年度末比98.1%

〇新契約件数
・個人保険…83万1000件 前年度比103.4%

 うちがん保険…55万1000件 前年度比112.7%

 うち医療保険…17万7000件 前年度比75%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…1兆2392億円 前年度末比97.7%

・個人年金保険…937億円 前年度末比101.4%

・個人保険+個人年金保険…1兆3329億円 前年度末比98.2%

 うち医療保障・生前給付保障等…1兆67億円 前年度末比97.9%

2)新契約
・個人保険…503億円 前年度比104.7%

・個人保険+個人年金保険…503億円 前年度比104.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…448億円 前年度比102.5%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益
・保険料等収入…1兆2942億円 前年度比98%

・保険金等支払金…1兆1471億円 前年度比142.1%

・経常利益…4978億円 前年度比135.7%

・当期純利益…3546億円 前年度比136%

〇三利源 ( )内は前年度実績
・危険差損益…1685億円 (2362億円)

・費差損益…814億円 (786億円)

・利差損益…1259億円 (457億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…3759億円 前年度比104.3%

・ソルベンシー・マージン比率…889.1% (944.2%)

以上です。

↑吸水中のスジグロシロチョウ♂(4月撮影)。

ソニー生命の2022年度決算。

5月23日、ソニー生命保険はHPにて2022年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/23・ニュースリリース 2022年度決算(案)のお知らせ(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は順調に増加

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比98.9%、103%、101.1%となっており、保有契約がマイナスでした。

一方、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比133.6%、136.3%、132.6%といずれも二桁の増加でした。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年度末比101%とこちらも増加でした。

個人保険の保有契約件数がマイナスに転じた理由が気になりますが、保有契約は今期も順調に増加したようです。

2.個人保険の新契約は落ち込む
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比90.6%、119.6%、97.7%と契約件数及び年換算保険料がマイナスでした。

一方、個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比150.3%、149.5%、132.6%といずれも二桁の増加でした。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年度比89.5%と二桁のマイナスでした。同社は医療保険の新契約引受を既に終了(医療保険の販売を終了しています)しているので、今後もこの分野は前年度割れが続くかもしれません。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより、抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…777万1000件 前年度末比98.9%

・個人年金保険…113万8000件 前年度末比133.6%

・個人保険+個人年金保険…891万件 前年度末比102.3%

2)契約高
・個人保険…53兆9448億円 前年度末比103%

・個人年金保険…7兆1610億円 前年度末比136.3%

・個人保険+個人年金保険…61兆1059億円 前年度末比106%

・団体保険…1兆4101億円 前年度末比92.3%

・団体年金保険…44億円 前年度末比83%

〇新契約
1)件数

・個人保険…36万8000件 前年度比90.6%

・個人年金保険…31万3000件 前年度比150.3%

・個人保険+個人年金保険…68万2000件 前年度比110.8%

2)契約高
・個人保険…6兆2709億円 前年度比119.6%

・個人年金保険…2兆1125億円 前年度比149.5%

・個人保険+個人年金保険…8兆3835億円 前年度比126%

・団体保険…80億円 前年度比95%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9080億円 前年度末比101%

・個人年金保険…2064億円 前年度末比132.6%

・個人保険+個人年金保険…1兆1144億円 前年度末比105.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…2157億円 前年度末比101%

2)新契約
・個人保険…712億円 前年度比97.7%

・個人年金保険…572億円 前年度比176.1%

・個人保険+個人年金保険…1285億円 前年度比121.9%

 うち医療保障・生前給付保障等…115億円 前年度比89.5%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益
・保険料等収入…1兆4738億円 前年度比107%

・保険金等支払金…9117億円 前年度比136.1%

・経常利益…953億円 前年度比177.7%

・当期純利益…1007億円 前年度比529%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1196億円 前年度比90.5%

・ソルベンシー・マージン比率…2046.1% (2191.1%)

以上です。

↑春の彼岸で一気に見頃を迎えた彼岸桜(3月撮影)。

働く女性のがんへの備え。まず50万円超?-日経報道。

5月13日の日本経済新聞朝刊に、働く女性ががんになった際の備えに関する記事がありました。

記事によりますと、

< …

 国立がん研究センターの統計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性が65.5%、女性が51.2%(2019年)と男性の方が高い。ところが20~50代の年齢で見ると、がん患者は女性の方が多い。特に30~40代は女性が男性の2倍以上に上る。また厚生労働省の19年の調査では、仕事を持ちながらがんで通院する人は44.8万人で、約6割を女性が占める。60歳未満に限ると女性は男性の3倍以上になる。

女性は男性より早めにがんに備える必要がありそうだ。がんになると治療費などがかさむだけでなく、それまでのように働けなくなって収入が減ることも多く、家計への影響が大きい。

 …

 厚労省の医療給付実態調査(20年度)でがんの医療費を見ると、乳がんは入院で約59万円で入院外(外来など)が約5万9000円、子宮がんは約64万円と約3万3000円。保険適用前の金額なので3割負担の現役世代なら窓口で払うのは、乳がんが約18万円と約1万8000円、子宮がんは約19万円と約1万円になる。医療費の負担を抑える健康保険の高額療養費制度を利用できれば、入院・入院外合わせても10万円未満で収まるケースもありそうだ。

 ただ治療にかかる費用は病院に払う医療だけではない。差額ベッド代や食事代の一部、診断書作成料といった「病院に支払うその他のお金」、交通費や健康食品、医療用かつら(ウィッグ)など「病院以外に支払うお金」も必要になる。これらはいずれも保険適用外だ。乳がんの経験者であるファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子氏は「治療によっては脱毛や皮膚障害などが発生する。外見が気になる女性は個室を希望したり、高額なウィッグを作ったりして医療費以外の出費が男性より膨らみやすい」と説明する。>

とのことです。

【管理人の感想】
これは管理人のお客様から数年前に聞いた話です。

そのお客様の勤務先に、がんの通院治療をしながら働いている社員がおり、その方は「限度額適用認定証」など、公的保険制度の使えるものはすべて使って経済的負担の軽減を図っているものの、「(負担が)苦しい」とこぼしていたそうです。

働きながら治療できるようになったとはいえ、治療費負担軽減の備えだけでは十分とは言えないということでしょう。

さて、今回の記事は治療費の負担軽減の手段として、医療保険(女性疾病特約やがん診断一時金特約等を付加したプラン)を取り上げていました。記事に登場するのはオリックス生命保険と三井住友海上あいおい生命保険の医療保険です。

女性疾病特約と一口に言っても、保障範囲はかつてのように女性特有の疾病で入院した際に、給付金日額が上乗せされるというだけではありません。

乳房再建術や、子宮、卵巣への手術に対する給付金支払に加え、抗がん剤治療の副作用に伴う脱毛に給付金を支払うものまであります。もちろんがん保険にも、抗がん剤治療の副作用に伴う脱毛に給付金を支払うものがあります。

また記事には登場しませんが、一部の生命保険会社では、三大疾病による所定の状態も就労不能保険の保障範囲に加えるプランを用意しています。そうしたプランも「がん保障」として検討されてはいかがでしょうか。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-2023年5月13日 日本経済新聞朝刊-

【働く女性、がん治療に備え―まず50万円超、生活費も貯蓄】

 東京都内に住む女性会社員のAさん(40)は昨年受けた人間ドックで精密検査が必要といわれ、病院を受診したところ「乳がん」と診断された。医師から切除手術と抗がん剤治療を勧められた。近く手術を受ける予定だが、一人暮らしのAさんは「貯金が少なく、十分な備えがない」。医療費の負担や仕事への影響を気にしている。

 国立がん研究センターの統計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性が65.5%、女性が51.2%(2019年)と男性の方が高い。ところが20~50代の年齢で見ると、がん患者は女性の方が多い。特に30~40代は女性が男性の2倍以上に上る。また厚生労働省の19年の調査では、仕事を持ちながらがんで通院する人は44.8万人で、約6割を女性が占める。60歳未満に限ると女性は男性の3倍以上になる。

女性は男性より早めにがんに備える必要がありそうだ。がんになると治療費などがかさむだけでなく、それまでのように働けなくなって収入が減ることも多く、家計への影響が大きい。

 まずはどんながんが多く、治療にいくらかかるか知っておきたい。現在、女性の罹患で最も多いのは乳がんで約9人に1人がかかるとされる。その後、大腸がん(結腸がんなど)、肺がん、胃がん、子宮がんと続く。20~40代の若い世代では、乳がんに加え、子宮がんの一種である子宮頸がん、卵巣がんといった女性特有のがんが多い。

 厚労省の医療給付実態調査(20年度)でがんの医療費を見ると、乳がんは入院で約59万円で入院外(外来など)が約5万9000円、子宮がんは約64万円と約3万3000円。保険適用前の金額なので3割負担の現役世代なら窓口で払うのは、乳がんが約18万円と約1万8000円、子宮がんは約19万円と約1万円になる。医療費の負担を抑える健康保険の高額療養費制度を利用できれば、入院・入院外合わせても10万円未満で収まるケースもありそうだ。

 ただ治療にかかる費用は病院に払う医療だけではない。差額ベッド代や食事代の一部、診断書作成料といった「病院に支払うその他のお金」、交通費や健康食品、医療用かつら(ウィッグ)など「病院以外に支払うお金」も必要になる。これらはいずれも保険適用外だ。乳がんの経験者であるファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子氏は「治療によっては脱毛や皮膚障害などが発生する。外見が気になる女性は個室を希望したり、高額なウィッグを作ったりして医療費以外の出費が男性より膨らみやすい」と説明する。

 こうした病院以外に支払うお金なども考慮すると「1年目は治療費として50~100万円、さらに収入減にも備えるなら生活費3~6ヵ月分の預貯金を準備しておくとよい」(黒田氏)。負担を減らす公的な制度がすぐに利用できなかったり、手続きに時間がかかったりすることもある。数ヵ月間、治療に専念できる経済的備えがあれば、がん診断後の不安も和らげることができる。

 「働く女性は勤め先の健康保険の給付や福利厚生、休暇制度を事前に確認しておきたい」と看護師でFPの黒田ちはる氏は助言する。健保組合によっては独自に医療費の上限額を決めて超えた金額を払い戻す「付加給付」を導入している。高額療養費に上乗せする仕組みなので戻ってくる金額が多くなる。健保には働けなくなったときに月収の3分の2に相当する額を1年6ヵ月間支給する傷病手当金もある。またウィッグの費用を助成する自治体も多いので調べておくとよい。

 こうした制度を知ったうえで蓄えが足りなかったり、治療が長引くのが不安だったりするなら民間の保険が選択肢になる。若い女性では預貯金が十分でないとか、貯金があっても教育費や住宅ローンの返済などで使い道が決まっている場合があり、保険の必要性が高そうだ。

 女性向け医療保険は、女性特有や女性に多い病気に対する保障を厚くした商品だ。通常の医療保険に女性向けの特約を付加するものもある。乳房や子宮、妊娠・出産に関する症状などの入院・手術の費用をカバーする。がんは乳がんや子宮がんに限らず、大腸がんや胃がんなどほかの部位も対象になる。

 「キュア・レディ・ネクスト」はオリックス生命保険の女性向け医療保険。1日あたりの入院日額を通常の医療保険に5000円上乗せし「個室に入りたい女性のニーズにも応えられる」と説明する。上乗せ分を合わせた日額1万円の一般的なプラン(1入院の支払限度日数60日)だと保険料(月額、終身払い)は30歳で2145円、40歳は2410円。がんと診断されたときなどに一時金(50万円)が出る特約を付けると2940円、3435円になる。

 三井住友海上あいおい生命保険の医療保険「&LIFE 医療保険A(エース)セレクト」に「女性疾病給付特約」を付けると入院給付金が2倍になる。入院10日目まで一律10万円が出るプラン(同60日)は月額の保険料(終身)が30歳で2560円で40歳は2675円。50万円の一時金が出る「ガン診断給付特約」を付けると3147円、3461円になる。

 女性向けの医療保険は保障が分厚い分、通常の医療保険より保険料は高めだ。加入は30~40代が中心。がんだけではなく、妊娠・出産のリスクや他の病気に備えたいという女性も多いようだ。

以上です。

新型コロナウイルス感染症に伴う、入院給付金支払額は約9860億円。支払事由の95%以上は「みなし入院」。

5月9日の日本経済新聞朝刊に、新型コロナウイルス感染症に伴う入院給付金の支払額などに関する記事がありました。

記事によると

< 日本生命保険など生命保険各社は8日から、新型コロナウイルスの感染者が自宅で療養する「みなし入院」でも入院給付金を支払う特例を廃止した。新型コロナの法律上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行したことに伴う措置だ。各社が2023年3月末までに支払った新型コロナによる入院給付金は1兆円弱にのぼる。

 …

 実際に入院した場合には引き続き給付金を受け取れる。新型コロナへの感染を理由に死亡した場合に保険金を割増で受け取れる特約※も、多くの会社では8日から対象外となった。

 生命保険協会によると各社が23年3月までに支払った新型コロナによる入院給付金は約9860億円でそのうち95%以上がみなし入院となっている。支払のピークは既に過ぎているが、各社の23年3月期の業績に影響を与えたとみられる。>

※災害死亡給付特約等のことを指しています。

とのことです。

【管理人の感想】
新聞報道や生命保険各社のニュースリリースなどですでにご承知のことと存じますが、5月8日を以て、感染症法における新型コロナウイルス感染症の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更されました。

これに伴い、昨年9月から、対象を絞り込んで運用されてきた、入院給付金の特別取り扱いなどが終了しました。また、同時に災害死亡保険金等の支払対象からも、新型コロナウイルス感染症は除外されました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の治療薬が薬価面で高額であること等、季節性インフルエンザと同じ病になったわけではないと指摘する意見があります。

油断することなく日常生活を送りたいものです。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

【生保、コロナ給付1兆円弱。 3月時点 「みなし入院」特例は廃止】
 日本生命保険など生命保険各社は8日から、新型コロナウイルスの感染者が自宅で療養する「みなし入院」でも入院給付金を支払う特例を廃止した。新型コロナの法律上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行したことに伴う措置だ。各社が2023年3月末までに支払った新型コロナによる入院給付金は1兆円弱にのぼる。

 7日までは、①65歳以上②入院を必要とする③新型コロナウイルス感染症の治療薬を投与する必要がある③妊婦-のいずれかに該当する場合にみなし入院の支払対象となっていた。8日以降に新型コロナウイルス感染症と診断された場合には支払いの対象外となる。

 実際に入院した場合には引き続き給付金を受け取れる。新型コロナへの感染を理由に死亡した場合に保険金を割増で受け取れる特約も、多くの会社では8日から対象外となった。

 生命保険協会によると各社が23年3月までに支払った新型コロナによる入院給付金は約9860億円でそのうち95%以上がみなし入院となっている。支払のピークは既に過ぎているが、各社の23年3月期の業績に影響を与えたとみられる。

以上です。

↑道端の馬酔木にやってきた越冬明けの天狗蝶(3月撮影)。

入院・手術給付金等の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和4年10~12月の裁定概要集(PDF)に、入院・手術給付金等の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 給付金請求をしたところ、医療機関への確認に同意するよう求められたこと等を不服として、入院・手術給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 子宮筋腫により入院し手術を受けたことから、令和元年5月に契約した組立型保険にもとづき入院給付金等を請求したところ、調査会社による調査を実施するための同意書の提出を求められた。しかし、以下等の理由により、同意書を提出することなく、入院・手術給付金および遅延損害金並びに精神的苦痛に対する慰謝料を支払ってほしい。

(1)子宮筋腫で経過観察中であったが、医師から子宮筋腫についての特別の危険性を指摘されたことや何らかの処置を受けたことはないから、告知は不要である。

(2)仮に告知が必要であったとしても、告知にあたって募集人からは「特別な治療を行っていないのであれば問題ない」と不告知教唆または告知妨害を受けている。

【管理人の感想】
この事案は既に和解が成立しています。

申立人の子宮筋腫は、告知すべき病気のひとつとして告知書に記載されていて、それを告知しなかった以上、告知義務違反となるのは当然でしょう。

募集人も申立人から聞いていたのですから、病気の状態や経過観察に至る経緯などをできるだけ詳細に告知するようアドバイスすべきだったと思います。

保険会社は、保険金や給付金の請求時に必要があれば事実確認を行い、その際、契約者・被保険者・保険金や給付金の受取人に対して同意を求めます。もし、正当な理由なく事実確認を妨げたり、同意を拒めば、事実確認が終わるまで保険会社は保険金や給付金を支払いません。

事実確認等についてはご契約のしおりに以下のように明記※されています。

※N・F生命保険会社の終身医療保険のケース。

〇事実の確認

・当社の担当者または当社が委託した担当者が、ご契約のお申込内容やご請求内容などについて確認させていただく場合があります。また、治療の経過・内容、事故状況などについて、医療機関等に確認する場合があります。

・その場合、お支払いや保険料払込の免除ができるか否かの判断および内容の決定までに、確認先の事情により異なりますが、1ヵ月程度お時間をいただくことがあります。

・確認の実施にあたりましては、当社から改めて通知させていただきます。


〇お支払いまでにかかる期間

・給付金等の支払金は、請求に必要な不備のない書類が当社に着いた日の翌日からその日を含めて5営業日以内にお支払います。

・ただし、事実の確認等が必要なときは、請求に必要な不備のない書類が当社に着いた日の翌日からその日を含めて60日以内にお支払います。

・また、事実の確認等を行うための特別な照会や調査が必要なときは、請求に必要な不備のない書類が当社に着いた日の翌日からその日を含めて180日以内にお支払いします。

※事実の確認等に際し、保険契約者・被保険者・給付金の受取人が正当な理由なくその確認等を妨げ、又は確認等に応じなかったときは、当社はこれにより確認等が遅延した期間の遅滞の責任を負わず、事実の確認が終わるまで給付金をお支払いしません。

※保険料払込の免除についても、給付金等のお支払いに準じたお取り扱いとなります。

さて、今回の事案は入院・手術給付金等が支払われた上で、告知義務違反が認められ女性疾病特約が解除されています。

この取り扱いは

給付金の支払事由や保険料払込の免除事由が、解除の原因となった事実によらない場合には、給付金をお支払いし、または保険料のお払込みを免除します。

という規定に基づくものです。しかし今回の事案は、給付金の支払事由が解除の原因となった事実のはずです。そのようなケースでは、契約解除で給付金等は支払われず、既に支払った場合は返還を求めます。

【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和4年10~12月裁定概要集・P38~39より転載)。

[事案2020-331]入院・手術給付金等支払請求
・令和4年12月8日 和解成立

<事案の概要>
 給付金請求をしたところ、医療機関への確認に同意するよう求められたこと等を不服として、入院・手術給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 子宮筋腫により入院し手術を受けたことから、令和元年5月に契約した組立型保険にもとづき入院給付金等を請求したところ、調査会社による調査を実施するための同意書の提出を求められた。しかし、以下等の理由により、同意書を提出することなく、入院・手術給付金および遅延損害金並びに精神的苦痛に対する慰謝料を支払ってほしい。

(1)子宮筋腫で経過観察中であったが、医師から子宮筋腫についての特別の危険性を指摘されたことや何らかの処置を受けたことはないから、告知は不要である。

(2)仮に告知が必要であったとしても、告知にあたって募集人からは「特別な治療を行っていないのであれば問題ない」と不告知教唆または告知妨害を受けている。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)医療機関への確認について申立人の同意が得られないため、告知義務違反への該当有無及び支払事由の発生有無を判断するための確認ができない。

(2)申立人によれば、告知日より前に婦人科検診を受診し、子宮筋腫の指摘を受け、3年ほど定期検診を受けるように言われたとのことであり、これを前提とした場合、告知義務違反があったことになる。

(3)申立人によれば、平成30年2月に市の無料検診を受診し、小さい筋腫があると指摘を受けて、その後半年に1回検査を受けていたとのことであり、これを前提とした場合、責任開始期前に発症したと判断され、約款上の支払対象に該当しない可能性がある。

(4)募集人が告知妨害または不告知教唆を行った事実は認められない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、告知時の状況等を把握するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続中、申立人からカルテ等の医的資料が提出された結果、入院・手術給付金等は支払われたが、告知義務違反があったとして女性疾病特約が解除された。

 裁定審査会では、申立人に告知義務違反が認められる一方、募集人による告知妨害または不告知教唆は認められないものの、以下の理由により、和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)募集人は、告知にあたって、申立人から子宮筋腫があることを聞いていたことを認めているが、同疾病が、告知が必要な病気として告知書に記載されていたことを踏まえると、募集人としては、申立人に対してもう少し丁寧な対応が望まれたと考える。

以上です。

↑3月下旬に撮影した枝垂桜。

生保各社、新型コロナウイルス感染症に伴う、入院給付金・保険金の特別取扱終了を決定。5月8日から「みなし入院」は支払い対象外。

新型コロナウイルス感染症を5月8日を以て、季節性インフルエンザと同じ、「5類感染症」に感染症法上の位置付けを変更する政府方針が示されたことに伴い、4月12日以降、生命保険各社は新型コロナウイルス感染症に伴う、入院給付金や保険金の特別取扱の終了を発表*しました。

*弊社が取り扱っている保険会社のひとつ、ソニー生命保険は4月13日にHP上で以下のように発表しました。

(新型コロナウイルス感染症) 保険金・給付金請求の特別取扱の終了について(PDF)

2020年に入院給付金や保険金の特例措置が各社共通で実施されてから約3年…感染症法上の位置付け変更を以て通常の取扱いになります。そのため、「みなし入院」は給付金の支払い対象外となります。

また、この位置付け変更に伴い、災害死亡保険金等の支払い対象から「新型コロナウイルス感染症を原因とする死亡」は除外されます。

なお、詳細はご自身が加入されている生命保険会社のHPで必ずご確認ください。

入院給付金等の支払いにおける特例措置は、新型コロナウイルス感染症に罹患した契約者・被保険者を経済的に支えることに大きく寄与したものと考えていますが、一方で、逆選択や入院一時金等の金額を著しく高額に設定して契約申し込みを行うーなどの問題が明らかになりました。

そのため、弊社が取り扱っている大手国内生保では自発的申し込みを事実上断る措置を出したほどです。

これから先、新型感染症のパンデミックが生じたら、再び入院給付金等の特別取扱が実施される可能性はあるでしょう。その際、生保各社は新型コロナウイルス感染症のときに生じた逆選択等のバッドリスク混入、あるいは混入の恐れをどう防ぐかが問われることにもなるかと思います。

↑成虫越冬から目覚め、吸水中のキタテハ・秋型(2月撮影)。

がん保険は「治療給付型」よりも「診断給付型」?同僚と議論。

今回は、所属代理店の全体会議の合間に同僚と行ったちょっとした議論について書いてまいります。

【がん保険は「治療給付型」よりも「診断給付型」?】
議論のきっかけは、同僚がしばしば契約を獲得してくる損保系生保のがん保険について、同僚は「治療給付型よりも診断給付型ですよ」と発言したことです。

同僚がなぜそのように考えているのかを尋ねたところ、「がん光免疫療法*は治療給付型では支払い対象にならない。保険会社の代理店担当者にも確認した。今後も新たな治療方法が承認される可能性があり、治療給付型では対応できない。診断給付型であれば、『診断確定』が給付金の支払い条件なので、治療方法にかかわらず受け取れるから。そもそも、治療給付型は治療の都度請求する必要があるので面倒」ということでした。

*「がん光免疫療法(アルミノックス治療)」とは、抗悪性腫瘍薬「アキャルックス」を点滴静脈注射により投与したのち、レーザー光照射によってがん細胞を破壊する治療法です。現在、「切除不能な局所進行性または局所再発の頭頚部癌」への治療が保険適用となっています。

しかし、本当に「治療給付型」では支払い対象とならないのか?管理人は治療を行っている医療機関の国立がん研究センター東病院のQ&A(PDF)や、順天堂大学医学部付属順天堂医院のサイトで治療方針等を確認してみました。

すると、投与する薬剤は光線過敏症の症状が出現することがあるため、入院が必要であることが分かりました。

管理人は、その点を踏まえ「治療給付型の支払事由の一つが『治療を目的とする入院』なのだから、光免疫療法も支払い対象になるのではないか?」と見解を述べました。

しかし、同僚は「将来、治療方法が変わり、入院が不要になれば出ないのではないか?だったら診断給付型でがん保険は十分」と譲りませんでした。

なお管理人は、「がん保険は治療給付型+診断給付金特約」です。

理由は、抗がん剤治療や放射線治療のステージが入院から通院へとシフトしていく中、入院給付を前提とした医療保険やがん保険では十分に対応できないと指摘されて、ここ数年でようやく治療給付型のがん保険が登場し、しかも比較選択できるようになったからです。

以上です。

↑カブトムシの喧嘩。画面上の個体が下側の個体にかち上げをくらわした瞬間(昨年7月撮影)。