子供の独立は、生命保険の契約内容を見直す機会。

7月29日の日本経済新聞朝刊に、生命保険の見直しに関する記事がありました。

記事によりますと、

< FPの柳沢美由紀氏は「50代は生命保険の見直しをするのに適した時期」と話す。子供の独立で教育費がかからなくなったり、貯蓄が若いころに比べて増えたりするなどして、万一の際に必要な保障額が少なくなりやすいためだ。会社員なら定年後に収入が減ることを見据えて保険料を抑え、老後の家計の負担を軽くすることも期待できる。>

とのことです。

【管理人の感想】
日経の記事では、

< 「子供が大学を卒業したので生命保険の保障はもっと少なくていいのではないか。」関東地方に住む50代前半の男性Aさんは妻とともにファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねた。Aさんは会社員で、妻はパート勤務をしている。これまでは入院で1日1万円の給付金が出る医療保険や入院・手術などで給付されるがん保険のほか、Aさんが亡くなった場合に妻が月に20万円を受け取る収入保障保険に加入。妻も入院日額1万円の医療保険やがん保険に入り、世帯で月約3万円の保険料を払っていた。

 しかし教育費に備える必要がなくなったため、保険を見直すことにしたという。FPの助言を受けて、まず収入保障保険は妻の生活費の不足分を改めて計算し、受給額を月13万円に引き下げた。医療保険は夫婦も入院日額を5000円に減額し、がん保険も保険料が低めで、所定の治療を受けている期間は給付金が出る「都度給付型」に変更した。世帯の保険料は計約2万円と1万円ほど少なくなった。>

という見直しのモデルケースを設定していました。

う~ん…お粗末ですね。遺族年金と配偶者の収入を差し引いても

①子供が就職するまでは最大で毎月20万円の不足が生じていた。

②子供が就職した後でも、毎月13万円不足。

いやはや…収支のバランスがとんでもないことになっている家庭だなと思ってしまいました。また、加入済みのがん保険を解約して、治療給付型のがん保険に乗り換えたとありますが、これもおかしな話です。

30代前半で加入していたがん保険だったと仮定すると、20年ほど経過しているわけですから、保険料はその分高くなっており、乗り換えれば保険料の圧縮効果は小さく、世帯保険料が1万円ほど少なくなるということは考えにくいです。

診断給付金+入院給付金+手術給付金+先進医療給付金などで保障が構成されているがん保険は、確かに治療(化学療法や放射線治療)が入院から通院へとステージが変化した現状に即していない面もありますが、診断給付金の支払事由は変化がないですし、手術給付金や入院給付金、先進医療給付金も全く使えないというわけではありません。

それならば、既存のがん保険に治療給付型の主契約の保障を追加するだけでいいのではないでしょうか。

また、記事においては更新型の保障についての言及もありました。確かに更新型の保険は、保障内容をそのままの状態で更新すれば、保険料が高くなります。

しかし、「更新=保険料の上昇」というのは誤解です。更新時に保障額を引き下げてから保障を更新する「減額更新」の手続きを行えば、保険料の上昇は抑えられるか、支払保険料の減額にもつながります。

なお、更新型の保障を「定期保険特約」+「医療保障」+「就労不能状態に死亡保障をセットしたもの」などと組み合わせてしまうと、更新を迎えた際に、年齢によっては更新後の保険料が思っていた以上に高くなってしまい、保険料の負担と保障のバランスをどうするか頭を悩ませることになりかねません。

更新型の保障はシンプルにすることが重要だと考えています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2023年7月29日朝刊-

【子が独立、生命保険見直す】

 「子供が大学を卒業したので生命保険の保障はもっと少なくていいのではないか。」関東地方に住む50代前半の男性Aさんは妻とともにファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねた。Aさんは会社員で、妻はパート勤務をしている。これまでは入院で1日1万円の給付金が出る医療保険や入院・手術などで給付されるがん保険のほか、Aさんが亡くなった場合に妻が月に20万円を受け取る収入保障保険に加入。妻も入院日額1万円の医療保険やがん保険に入り、世帯で月約3万円の保険料を払っていた。

 しかし教育費に備える必要がなくなったため、保険を見直すことにしたという。FPの助言を受けて、まず収入保障保険は妻の生活費の不足分を改めて計算し、受給額を月13万円に引き下げた。医療保険は夫婦も入院日額を5000円に減額し、がん保険も保険料が低めで、所定の治療を受けている期間は給付金が出る「都度給付型」に変更した。世帯の保険料は計約2万円と1万円ほど少なくなった。

 生命保険文化センターの調査によると、生命保険の世帯加入率は50台で約94%と最も高くなっている(個人年金保険を含む)。結婚や出産といったライフイベントを経験する人が多い30代から上昇し始め、50代でピークになったあと下落に転じる傾向がある。

 FPの柳沢美由紀氏は「50代は生命保険の見直しをするのに適した時期」と話す。子供の独立で教育費がかからなくなったり、貯蓄が若いころに比べて増えたりするなどして、万一の際に必要な保障額が少なくなりやすいためだ。会社員なら定年後に収入が減ることを見据えて保険料を抑え、老後の家計の負担を軽くすることも期待できる。

 では必要な保障額はどう把握すればいいだろうか。選択肢となるのが家族の家計を支える働き手が亡くなったあとに必要となる支出と収入の見込み額を確認すること。支出から収入を差し引いて支出が上回るなら、差額が生命保険で備える保障額となる。

 支出は残された家族の生活費や住宅費のほか、老後の医療・介護に備える予備費を見込む。一方、収入は家族が受け取る遺族年金などの公的保障や亡くなった人の勤務先の死亡退職金、貯蓄額などを確認する。遺された配偶者の収入も合算する。現在契約している保険の保障総額が必要額を上回る場合は保障が過剰な状態で、保険を見直す余地がありそうだ。

 原則として同じ保障内容で契約が続くが、保険料は更新時の年齢で再計算し、年齢が上がるとともに上昇する。契約者が申し出なければ一般的に自動継続になるため、交信を望まなければ手続きをする必要がある。高齢になるほど更新の際の保険料上昇幅は大きくなることが多く、「更新型に加入している場合は保険料が契約満了まで一定の保険に変える方がいい」と柳沢氏は話す。

 がん保険も確認しておきたい。がん保険の主な契約の保障内容は現在、都度給付型のほか、がんと診断されたときに100万円などまとまった金額を出す「診断給付型」が増えている。以前は入院・手術に備える「入院給付型」が主流だったが、最近は入院期間が短くなり、通院で治療するケースが少なくないことが背景にある。

 入院給付型は入院日数に応じて入院日額が出る保障が中心。入院期間が短期化しているため、治療費を十分に賄えない可能性もある。「若いころ契約したがん保険が現在のがん治療の動向にあっているかをチェックすることが大切」とFPの平野雅章氏は話す。

 保険診療の医療費には、毎月の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度がある。年収500万円なら自己負担上限額は通常約万円で、加入する健康保険によっては付加給付でさらに負担が減るケースがある。医療保険の保障が過剰なら入院1日あたりの給付額を減らすといったことも一案だろう。

 保障を減らす際は終身保険や養老保険など解約返戻金があるタイプの保険なら、「払済保険」への変更という方法がある。保障の期間は変えずに保険金額を減らし、変更後は保険料を払う必要がなくなる。最低限の保障を確保したい場合に選択肢になりそうだ。

以上です。

↑春の河原で吸水中のナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。

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