がん治療の費用と保険での備え方。がん保険の保障内容に差。各社横並びは過去の話。

2月5日の日本経済新聞・朝刊に、がん治療の費用とがん保険での備え方に関する記事がありました。

記事によりますと、

< がんになると高額な治療費が必要になったり、働けなくなって収入が減ったりすることがある。こうした経済的なリスクに対応するには「まず国の公的保障や勤務先の制度が基本になる」とファイナンシャルプランナー(FP)の黒田ちはる氏は説明する。

代表が健康保険の高額療養費制度だ。1ヵ月の医療費を抑える公的な制度で、「がんになっても保険適用の標準治療を受ければ、一般的な所得水準の人は1ヵ月の自己負担を8万~9万円程度に抑えることができる」(黒田氏)。

治療費については部位や進行度合いなどによって変わるが、一般に年間100万円が目安とされる。高額療養費の自己負担の合計に入院時の差額ベッド代や食事代などを合わせるとほぼ同じ金額になる。加えて仕事に支障をきたしたときの備えも必要とされる。

会社員や公務員には勤め先の制度も加わる。人によっては傷病手当金を受け取ることができたり、健保組合などから付加給付があったりするので負担は小さくなる。こうした保障が自分はどれぐらいあるかを知った上で、不足分などを預貯金や民間の保険でカバーする。「預貯金の目安は扶養家族の数や住宅ローンの有無などで変わるが、生活費の3~6ヵ月分は準備したい」とFPの黒田尚子氏は話す。

自営業やフリーランスで働く人や専業主婦らはベースとなる保障が会社員などに比べると薄く、その分、預貯金や保険の必要性が高まる。また、「治療が長引くことが不安だったり、自由診療などの治療の選択肢を増やしておきたかったりするなら、保険で備えるのもよい」とFPの加藤梨里氏は言う。生命保険文化センターの調査では、がん保険や医療保険などのがん特約に加入する人は増えており、21年は世帯主で60.1%、配偶者で43.6%となっている。

がん保険の加入を考えるならトレンドを知っておきたい。「以前は手術とそれに伴う入院に備える入院給付金が主流だったが、通院へのシフトなど治療の変化を受けて変わってきている」(加藤氏)。現在は入院給付金と切り離し、がん診断時に一定額を給付する「一時金給付タイプ」と、治療のたびに給付金を出す「都度給付タイプ」に分けることができる。>

とのことです。

【管理人の感想】
がん保険の保障内容ですが、最初は診断給付金等はなく、がん死亡保障を中心とするものでした。診断給付金が保障として登場したのは1990年代に入ってからのことです。団塊の世代の方たちが加入しているのはこの頃のものです。

当時はまだ、上皮内新生物は保障の対象外で、悪性新生物のみを保障するものでした。上皮内新生物が保障されるようになったのは2000年末から2001年にかけて登場したがん保険からです。先進医療を保障するようになったのもこの頃からです。

その後、第三分野への国内生保の参入が全面解禁され、損保系生保を中心に「診断給付金の複数回払い」「上皮内新生物と悪性新生物の診断給付金額を同額」といった、対アフラックを意識した保険商品が次々に登場しました。

とはいえ、保障の仕組みは「診断給付金」を主契約に「入院」「手術」「退院後の通院」「先進医療」を特約として選択付加する、で大きな差はありませんでした。

しかし、外資系生保M社が治療給付型の終身がん保険を投入し、状況に変化が生じます。その後、ダイレクト販売を強みとする生保からも治療給付型の保険商品が投入され始め、損保系生保からも投入されました。

保障の内容も、自由診療を保障範囲に含めるものが出てきています。

がん治療の現状に沿った保障内容のものを…というのであれば、治療給付型を中心に比較検討したほうがよいでしょう。個人的には、経口投与の抗がん剤も抗ガン治療の保障に含まれるかどうかを比較の基準にすることを推奨します。

また、悪性新生物と診断された場合に、以後の保険料の払い込みが免除される特約が付加できるのかも確認しておくことを勧めます。

すでに加入していて保障内容が古くなっている場合は、新しい保険商品への切り替え(ただし、90日間の不担保期間があるので慎重に検討してください)や専用の特約を付加して(これはアフラック限定)保障内容を強化することを推奨します。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年2月5日朝刊-

【がん費用、保険での備え方】
「同い年の友人が最近がんになり、他人事とは思えなくなった」と話すのは東京都に住む40代の男性会社員のAさん。がんになると治療に多くのお金がかかったり、仕事に影響したりすると聞き「がん保険に入っておいた方がいいだろうか」と心配する。

がんを患う人は増えている。厚生労働省の「患者調査」では悪性新生物(がん)の総患者数は201年に180万人近くに達し、3年前に比べて約1割増加した。がんは一般に年齢が上がると患者数が増えるので、増加の理由には高齢化があるとされる。

ただ近年は医療の進歩などで生存率が上がり、「がん=死」のイメージは以前より低下している。治療は入院から通院(外来)にシフトしており、入院患者数が減少する一方で、通院患者数は増加している。厚労省によれば仕事を持ちながらがんで通院する人も10年の32.5万人から19年には44.8万人と4割近く増えた。

がんになると高額な治療費が必要になったり、働けなくなって収入が減ったりすることがある。こうした経済的なリスクに対応するには「まず国の公的保障や勤務先の制度が基本になる」とファイナンシャルプランナー(FP)の黒田ちはる氏は説明する。

代表が健康保険の高額療養費制度だ。1ヵ月の医療費を抑える公的な制度で、「がんになっても保険適用の標準治療を受ければ、一般的な所得水準の人は1ヵ月の自己負担を8万~9万円程度に抑えることができる」(黒田氏)。

治療費については部位や進行度合いなどによって変わるが、一般に年間100万円が目安とされる。高額療養費の自己負担の合計に入院時の差額ベッド代や食事代などを合わせるとほぼ同じ金額になる。加えて仕事に支障をきたしたときの備えも必要とされる。

会社員や公務員には勤め先の制度も加わる。人によっては傷病手当金を受け取ることができたり、健保組合などから付加給付があったりするので負担は小さくなる。こうした保障が自分はどれぐらいあるかを知った上で、不足分などを預貯金や民間の保険でカバーする。「預貯金の目安は扶養家族の数や住宅ローンの有無などで変わるが、生活費の3~6ヵ月分は準備したい」とFPの黒田尚子氏は話す。

自営業やフリーランスで働く人や専業主婦らはベースとなる保障が会社員などに比べると薄く、その分、預貯金や保険の必要性が高まる。また、「治療が長引くことが不安だったり、自由診療などの治療の選択肢を増やしておきたかったりするなら、保険で備えるのもよい」とFPの加藤梨里氏は言う。生命保険文化センターの調査では、がん保険や医療保険などのがん特約に加入する人は増えており、21年は世帯主で60.1%、配偶者で43.6%となっている。

がん保険の加入を考えるならトレンドを知っておきたい。「以前は手術とそれに伴う入院に備える入院給付金が主流だったが、通院へのシフトなど治療の変化を受けて変わってきている」(加藤氏)。現在は入院給付金と切り離し、がん診断時に一定額を給付する「一時金給付タイプ」と、治療のたびに給付金を出す「都度給付タイプ」に分けることができる。

一時給付は主契約が「がん診断給付金」などで、がんが見つかった時にまとまった金額を支払う。その後も定期的に給付金が出る商品も多い。給付金の額は100万円などと大きいので、治療費だけでなく生活費などに充てることもできそうだ。ただし、月々の保険料は高めになる。

FWD生命保険の「FWDがんベスト・ゴールド」は、初めてがんと診断されたときに最大300万円のがん診断給付金が出る。以後も条件を満たせば年1回、何度でも支給する。取り扱いが多い給付金100万円のプランの保険料(終身払い)は、40歳男性が月4218円、50歳男性は同6835円となっている。

一方の都度給付は放射線や抗がん剤などの治療給付金が主契約で、該当する治療を受けた月などに5万~10万円程度を支給する商品が多い。給付は小刻みで金額も比較的小さいので、月々の保険料は低くなる。ただ、所定の治療を受けないと給付金は出ない。

チューリッヒ生命保険の「終身がん保険プレミアムZ」は、月10万~30万円の「抗がん剤治療給付金」と国内未承認の抗がん剤治療も保障する「自由診療抗がん剤治療給付金」の2本立て。抗がん剤治療10万円とその2倍の自由診療抗がん剤治療のコースの保険料(終身払い)は、50歳男性で月1240円となる。

一時給付と都度給付のどちらかを選ぶかはその人の状況などで変わる。自営業などの公的な保障が薄い人なら、まとまった金額が出る一時金給付のほうが安心感を得られるかもしれない。金額が大きく使い勝手もよいが、頻繁に出るわけではないので計画的に使える人が望ましい。会社員で勤務先の保障も厚ければ、都度給付で通院治療に備えるとよいとの見方もある。高額療養費の自己負担額などを踏まえ、比較的少ない保険料で合理的に備えることができる。

「がん保険を考える際は、健康に対する向き合い方も重要になる」(黒田尚子氏)。生活習慣が影響するとされるがんは、規則正しい生活や運動で罹患(りかん)するリスクが低下するといわれる。定期的に検診を受け予防にも努めれば、がん保険の必要性や選び方も変わる可能性がある。

以上です。

↑2月に撮影したツチイナゴ。

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