MVAを利用した外貨建て保険に対し、金融庁が募集上の留意点と保険商品審査上の留意点を改正。

8月27日、金融庁はHPにて、MVA(「市場価格調整」などと翻訳されています)を利用した、外貨建て保険商品の募集上の留意点と、保険商品審査上の留意点の改正を公表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。

別紙2・「保険会社向けの総合的な監督指針 本編」一部改正(新旧対照表。PDF)

【管理人の感想】
1.改正の概要

改正の概要は以下の通りです(金融庁HPより転載)。

<1.保険契約の募集上の留意点

契約締結前交付書面の主な項目に、解約時の手数料が及ぼす影響(解約時の保険料積立金に対して控除される割合)を追加。

2.保険商品審査上の留意点等

解約時の手数料を定める場合、解約に伴い発生する費用との整合性やリスク管理の高度化等に照らして、合理的かつ妥当な水準に設定し、保険契約者にとって不当に不利益なものとなっていないかを確認する旨を明示。>

管理人を含む、外貨建て保険を募集できる営業職員・社員に直接影響するのは「保険契約の募集上の留意点」です。MVAは契約締結前交付書面や契約のしおり・約款に記載されていますが、理解することがとても困難です。

今回の改正で、保険会社は金融の専門用語と数式の塊という難解なMVAを、例示等を使って、契約者が理解できるように記載しなくてはなりません。

2.パブリックコメントから学ぶMVAの導入目的
今回の改正に対して、金融庁には複数のパブリックコメントが寄せられていました。

その中には、MVAが導入された目的に言及したものもあり、とても参考になりました。保険会社は代理店向けの資料や募集文書にこうしたことも明記してほしいものです。

【監督指針 本編(一部)の改正内容】
以下、保険会社向けの総合的な監督指針 本編(一部)の改正内容です(上記別紙2.より抜粋転載)。

Ⅱ-4-2-2 保険契約の募集上の留意点

(1)略

(2)法第294条、第300条の2関係(情報提供義務)
①~②(略)

③準金融商品取引法第37条の3関係
ア.(略)

イ.契約締結前交付書面に関し、「契約概要」と「注意喚起情報」について、書面を作成し、交付しているか。

なお、契約締結前交付書面の主な項目は以下のとおりとする。

(略)

(ア)~(外貨建て保険)(略)
(MVA(Market Value Adjustment)(注)を利用した商品)
l.市場金利に応じた運用資産の価格変動を解約返戻金額に反映させる保険であることの説明

m.保険契約の締結から一定の期間内に解約された場合、解約返戻金が市場金利に応じて計算されるため、損失が生ずることとなるおそれがあること

n.解約返戻金額の計算基礎を設定する時期と解約時期の間に生じる金利変動や、解約に伴う運用資産の売却にかかる取引費用等に備えるための係数を定める場合、その係数が及ぼす影響(解約時の保険料積立金に対して控除される割合の例示等)※新設

Ⅳ 保険商品審査上の留意点

Ⅳ-1 共通事項

Ⅳ-1-9 保険契約者等(顧客を含む。)への説明事項
低解約返戻金型商品、無選択型商品、MVA(本監督指針Ⅱ-4-2-2(2)③イ、(ア)の「MVA」を言う。以下同じ)を利用した商品および転換に類似する取扱い等については、商品内容などを保険契約者等に十分に説明する方策が講じられているか。

(削除)

Ⅳ-5 保険数理

Ⅳ-5-2 責任準備金

(1)・(2)(略)

(3)MVAの仕組みを持つ商品の責任準備金については、保険料積立金と解約返戻金とのいずれか大きい額を積み立てることとなっているか。

(2)MVAを利用した商品について、解約返戻金額の計算基礎を設定する時期と解約時期の間に生じる金利変動や、解約に伴う運用資産の売却にかかる取引費用等に備えるために係数を定める場合、その係数については、リスク管理の高度化や解約に伴って見込まれる取引費用との整合性等に照らして、合理的かつ妥当な水準に設定し、保険契約者にとって不当に不利益なものとなっていないか。※新設

以上です。

↑5月に撮影したミズイロオナガシジミ。

 

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