新型コロナウイルス感染症への入院給付金の請求が急増。支払の遅延も生じる。

4月19日の日本経済新聞朝刊に、新型コロナウイルス感染症への入院給付金支払の動向に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 新型コロナウイルスの第6波による感染拡大を受け、生命保険会社に対する入院給付金の請求が急増している。明治安田生命保険では直近の支払件数が第5波の影響を受けた昨年秋の約3倍に膨らんだ。査定の担当者を増やしても人手が追い付かず、5営業日以内とする支払いが遅れ始めた生保もある。重症化の懸念が小さくなる中、自宅で療養する軽症者に「みなし入院」として給付金を支払う是非を問う声も出始めている。>

とのことです。

【管理人の感想】
新型コロナウイルス感染症に伴う入院給付金の請求は各社とも増加しており、請求受付にもかなりの負担がかかっています。できる限り、速やかに請求を受け付けて書類を発送するために各社とも懸命に対応しており、頭が下がります。

なお保険商品は、今回のようなパンデミックで各種保険金、給付金の支払いが急増しても支払うべきものを支払い、保険財務が悪化することがないよう設定されています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年4月19日朝刊-

【入院保険金「第6波」で急増-明治安田、第5波の3倍に。人繰り苦慮で給付遅れも】
新型コロナウイルスの第6波による感染拡大を受け、生命保険会社に対する入院給付金の請求が急増している。明治安田生命保険では直近の支払件数が第5波の影響を受けた昨年秋の約3倍に膨らんだ。査定の担当者を増やしても人手が追い付かず、5営業日以内とする支払いが遅れ始めた生保もある。重症化の懸念が小さくなる中、自宅で療養する軽症者に「みなし入院」として給付金を支払う是非を問う声も出始めている。

病気やけがの治療で入院した患者に支払われる入院給付金は、生保が取り扱う医療保険につく保障だ。実際の入院から保険会社へ請求が届くまで時間差がある。現在は第6波で1日当たりの感染者が10万人を超えた2月以降の請求に対し、保険会社が書類の審査や支払いの対応に追われている。

明治安田生命では第5波の影響で支払いが増えた昨年10月に比べ、今年3月の支払い件数は約3倍の2万5000件程度に増えたという。住友生命保険も3月の請求が前月比で3倍以上に膨らんでおり、ほかの生保でも同じような状況だ。

保険金・給付金を支払うには、被保険者の診断書など書類を審査する必要がある。各社は支払いに備えて日ごろから一定の人員を抱えているが、想定を上回る請求で体制の見直しを急いでいる。

日本生命保険は他部署などからの応援で、平均の2倍近い300人規模に拡充した。別の大手も3割程度増やしたといい、「感染の第7波に備えてさらに人員の増強を検討しなければならない」(幹部)。

人繰りに苦慮する中、支払いが遅れるケースも出始めた。保険会社と契約者の約束を記載する約款では一般的に、請求が届いてから5営業日以内に保険金・給付金を支払うと定めている。これを過ぎると年3%の遅延利息を上乗せする必要がある。

ある大手生保の幹部は「支払の急増で支払いに5日以上を要する場合が増えてきた」と明かす。住友生命も「平時より遅れが多くなっているのは事実」と認める。日本生命は4月半ばから、支払い遅れが生じる可能性があることを一部の契約者に通知し始めた。

「入院給付金」と銘打っているが、実際に入院した患者からの請求は2割前後にとどまる。残りは新型コロナウイルスの陽性と要請と判定されても、自宅やホテルでの療養を余儀なくされた「みなし入院」が占める。医師に入院を勧められても、医療機関の逼迫で希望がかなわない人を実際に入院したとみなして給付金を支払う措置だ。

生命保険協会でも「宿泊・自宅療養証明書」を用意し、自治体や保健所の担当者による署名で保険金を申請できるよう手続きの簡素化を進めてきた。同協会によると、今年2月末時点の支払額は加盟42社の合計で580億円弱にのぼる。

第6波の中心であるオミクロン株は感染力が強い一方、重症化率は従来株より低い傾向にあることが分かっている。症状が軽く、数日で職場などに復帰できるような感染者でも給付を受けられる。ある生保首脳は「(季節性のインフルエンザでも)支払いを受けられない契約者が不公平感を強めるのではないか」と違和感を口にする。

それでも毒性の強い変異株の新型コロナウイルスがこれから流行しないとも限らない。15日に記者会見した生保協の高田幸徳会長(住友生命保険社長)は「(現段階でみなし入院中の)給付金としてお支払いするのがコンセンサスではないか」と措置の見直しに否定的な考えを示す。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類を「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」へ下げることについては議論がある。当面はみなし入院となる契約者・被保険者への支払いは続く。不公平さの解消と社会的な要請のはざまに揺れる生保の苦悩が強まっている。

以上です。

↑3月下旬に撮影した染井吉野。

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