保険金等支払い時の備え。いざというときは家族が請求手続き。

4月16日の日本経済新聞朝刊に、生命保険の指定代理請求制度など、契約者・被保険者本人以外の家族が契約内容の照会や、保険金等の支払い請求ができる制度に関する記事がありました。

【管理人の感想】
記事が取り上げているのは、家族情報登録制度、指定代理請求制度、保険契約者代理制度の3つです。

このうち、家族情報登録制度は契約内容の照会ができる制度で、指定代理請求制度と保険契約者代理制度は家族が契約者・被保険者本人に代わって、保険金等の請求ができる制度です。

また、保険契約者代理制度は契約者本人に代わって保険契約の解約もできる制度です。

記事でも書かれていますが、こうした制度は契約者・被保険者本人に正常な判断力があるうちに保険会社に申し出て制度が利用できるようにしておくことが大事です。

指定代理請求制度は、医療保険やがん保険、リビングニーズ特約等で契約前に約款で説明を受け、契約締結時に付加しておいた方も多いかと存じます。どのようなときに指定代理請求が可能なのかは約款に記載されていますので、定期的に確認してください。

家族情報登録制度は、契約後に保険会社から書面が送られてきて登録を申し出たという方も多いかと存じます。管理人は母の契約でこの手続きを行いました。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年4月16日朝刊-

【認知症、家族が保険手続き】
「せっかく加入しても、保険金の請求ができなければ意味がない」。こう話すのはファイナンシャルプランナー(FP)の清水香氏。80代の両親がそれぞれ契約する医療保険で、3月に代理人登録をしてもらったという。両親は今のところ健康状態に大きな問題はないが、認知症などを今後患って保険金を請求できなくなるといった事態に備えるためだ。

保険に加入する高齢者は増えている。生命保険文化センターの調査では、医療保険や医療特約に加入する80歳以上の世帯は2021年に8割超と18年の6~7割から増加した。「80代でも契約できる終身タイプの医療保険が増えたことが影響している」と清水氏は語る。

一方、厚生労働省の調査によると認知症の患者は25年で推計約700万人と65歳以上の約5人に1人を占める見通し。何らかの保険に加入しながら認知症になる人も多くなりそうだ。

ただし保険会社は個人情報保護の観点から、原則として契約者以外に契約の有無や内容を開示しない。保険の手続きも契約者や被保険者本人がするか、成年後見制度を利用する場合に限られる。このため契約者などが認知症になると、家族が保険の存在や内容を知ることが難しくなったり、必要な手続きができなかったりする恐れがある。

そこで選択肢の一つになるのが清水氏も利用する「指定代理請求制度」だ。病気やけがなどで被保険者の判断能力がなくなった際に備えて代理人を決めておけば※、万一の際に被保険者に代わって保険金の請求と請求に必要な情報を照合することができる。

※管理人補足:指定代理請求制度は「被保険者の判断能力がなくなった」ということに限った制度ではありません。病名の告知がされていないなど保険会社が認めるやむを得ない事情に該当すれば利用できる制度です。詳細は約款で確認してください。

指定代理請求制度と並んで多くの保険会社が導入しているのが「家族情報登録制度」。事前に登録した家族などが契約内容を教えてもらえる。契約者の判断能力が十分で、登録する家族の同意があることなどが条件となる。18年に導入したかんぽ生命保険は「高齢の新規契約者のほとんどが利用する」(契約サービス部)という。

生命保険の保険金は請求しないと受け取れないため、契約があることを知っていれば請求漏れを防ぐことができる。入院などで治療費がかかっても給付金を代理で請求することは基本的にできないが、各社が個別のケースに応じて対応することが多いため問い合わせてみるといいだろう。

大手生保の一部がここ数年で導入し始めた「保険契約者代理制度」は、あらかじめ登録した家族などが代理人として契約内容の照会や住所変更、解約などをすることができる。22年4月に金融機関の窓口販売商品から同制度を始めた日本生命保険では「高齢の親などが加入する保険の手続きを代行したいといった問い合わせが増加傾向にあることに対応した」(お客様サービス部)と説明する。

同社の制度で登録できるのは主に3親等以内の親族で、契約者本人が家族を1人指定し、氏名や連絡先などを登録する。手続きが完了すると登録家族にも通知を送る。日生のほか住友生命保険や朝日生命保険などが導入している。

家族情報登録、指定代理請求、保険契約者代理制度はいずれも契約者や被保険者に判断能力があるうちに手続きをする必要がある。もし手続きをする前に認知症になったり、亡くなったりしたりしたらどうすればいいのか。

こうした場合に家族の保険契約の有無を一括で確認できるのが「生命保険契約紹介制度」。生命保険協会が21年7月から運営している。法定相続人や3親等以内の親族などが利用でき、紹介する際には戸籍や診断書等の書類を提出する。利用料が1回3000円(税込み)かかるが、生保42社に契約があるかどうかがわかる。

契約がある場合に家族などが保険会社に連絡すれば個別で対応する。ただし手続きには時間がかかるため、「加入している保険の種類や受取人、保険証券の保管場所などを本人と家族が事前に共有することが大切」(FPの田中香津奈氏)という。

損害保険でも生保と同様の仕組みを設ける例がある。東京海上日動火災保険の「親族連絡先制度」は、配偶者や2親等以内の親族を登録すれば契約者に代わって契約内容を確認できる。損害保険ジャパンは被保険者に面会などで確認してから配偶者などに代理請求を認める場合がある。「被保険者が手続できない場合の代理請求については商品の約款に記載するのが一般的。まず約款を確認したい」と日本損害保険協会では話す。

以上です。

↑、3月に撮影した大島桜。

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