がんによる収入減少に備える手段。

6月4日の日本経済新聞・朝刊に、がんによる収入減少に備える手段に関する記事がありました。

記事によりますと、

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国立がん研究センターの統計によると、がん患者の多くは高齢者。しかし、働く人が多い20~64歳も約25%を占める。厚生労働省の推計では、仕事を持ちながらがんで通院する人は44.8万人(2019年、70歳以上も含む)。10年から4割近く増えている。

東京都の調査では、働くがん患者で収入が「減った」ケースは少なくない。患者本人で約半分。生体全体でも3分の1に上った(がん患者の就労等に関する実態調査)。夫婦でどちらかががんになれば、配偶者も看病などで就労が制限されやすいためとみられる。

長期の闘病や収入減といった事態では、まず社会保障や勤め先の制度が支えとなる。それで足りない分については、貯蓄や民間保険で補うのが基本的な考えだ。>

とのことです。

【管理人の感想】
今回の記事において、がんに罹患したことに伴う収入減少への備えとして、取り上げられている民間生保の保険は「がん保険」と「就業不能保険」です。

ん~…残念ながら両者とも「がんに罹患したことに伴う収入減少への備え」としては使いにくいかと思います。

まず「がん保険」ですが、がんの治療を受けたときなどの費用を補完する保険商品ですから、がん罹患による収入減少の備えには力不足です。

「就業不能保険」は「国民年金法に定める障害等級1級または2級」や「5大疾病による入院等」など、保険会社所定の就業不能状態に該当すれば支払われる月払給付金を受け取ることで、傷病手当金や障害者年金の上乗せとして生活を支える保険商品ですから、がん罹患による収入減少への備えとして使うにはハードルが高いです。

では、どんな保険商品であれば「がん罹患による収入減少への備え」となるのか?と申しますと、数少ない選択肢のひとつとしてソニー生命保険の「三大疾病収入保障保険」があげられます。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2022年6月4日朝刊-

【がんの収入減に備える―まずは貯蓄、長期化は保険で】
日本で2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるとされる。近年は医療の進歩などで生存率が上がり「死の病」から「長く付き合う病」へと変わりつつある。がんで長く治療を受けるようになると費用が膨らみやすく収入が減るケースも多い。いざというときに利用できる制度を確認し、必要な備えをしておきたい。

都内に住む会社員の男性(42)はパートで働く妻、2人の子と暮らす。4ヵ月前から腹痛や下痢が続いたので検査を受けたところ、大腸癌(S上結腸癌)と診断された。医師によれば入院して手術の後、半年程度の抗がん剤治療が必要という。手術や治療も心配だが、最も気になるのは仕事や収入への影響だ。「長く働けなくなれば、妻のパート収入だけでは生活できない」

国立がん研究センターの統計によると、がん患者の多くは高齢者。しかし、働く人が多い20~64歳も約25%を占める。厚生労働省の推計では、仕事を持ちながらがんで通院する人は44.8万人(2019年、70歳以上も含む)。10年から4割近く増えている。

東京都の調査では、働くがん患者で収入が「減った」ケースは少なくない。患者本人で約半分。生体全体でも3分の1に上った(がん患者の就労等に関する実態調査)。夫婦でどちらかががんになれば、配偶者も看病などで就労が制限されやすいためとみられる。

長期の闘病や収入減といった事態では、まず社会保障や勤め先の制度が支えとなる。それで足りない分については、貯蓄や民間保険で補うのが基本的な考えだ。

ファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子氏は「普段から初年度の治療費100万円と生活費3~6ヵ月分の預貯金を用意しておきたい」と話す。がんと診断されても、すぐに公的な制度を利用できなかったり、手続きに時間がかかったりしたりすることがある。数か月間治療に専念できるたくわえがあれば、診断直後の不安を減らせる。独身者よりも家族がいる人、会社員よりも自営業者、住宅ローンがない人よりもある人は、金額を多くしたほうが無難だろう。

公的な制度には「負担を減らす」と「収入を補填する」の2つがある。前者の代表が高額療養費制度で、後者が傷病手当金や障害年金など。高額療養費制度は1ヵ月あたりの医療費の自己負担額に上限を設けるもので、その人の収入により上限額が変わる。上限に達する月が度々あれば、上限額を下げるルールもある。

傷病手当金は会社員や公務員らが対象で、病気などで働けなくなった日の4日目から月収3分の2に相当する額を支給する。以前の支給期間は開始日から1年6ヵ月だったが、今年1月から通算で1年6ヵ月に変わった。いったん仕事に復帰した後、再び休むようなケースでも不利にならない。

病気になった人の休暇や働き方の制度は休職や病気休暇、短時間勤務など勤め先により様々だ。収入の減り方も制度の使い方などにより変わってくる。休暇には悠久のものもあれば、無給のものもある。「傷病手当金を申請する前に、制度をどう使うか勤め先とよく相談したい」と社会保険労務士の近藤明美氏は助言する。

傷病手当金の後は障害年金が選択肢になる。障害年金は原則、初診日から1年6ヵ月(障害認定日)たっても障害状態が続く場合に請求する。自営業者らが対象となる障害基礎年金の受給額は1級が年97万2250円で2級が同77万7800円(22年度)。会社員などが対象の障害厚生年金は1級から3級まであり、金額は働いた期間やその時の月収で変わる。

ただ、障害年金の受給者のうちがんを理由とするケースは全体の1%にとどまる。その中で最も多い障害厚生年金の3級の場合、最低保障額は年58万3400円となっており、「一般に傷病手当金より少ない」(社労士の近藤氏)点には気を付けたい。

60代なら老齢年金を本来の65歳から繰り上げて受給を始め、収入を確保するのも手だ。この方法では年金額は65歳からの需給より下がり、その水準が生涯続くというデメリットもある。

傷病手当金や障害年金を受給できても、一般に金額はがんになる前の収入より少ない。「収入が減った分は貯蓄や保険で賄う必要がある」(FPの黒田氏)。特に公的な保障が薄い自営業者は、備えが欠かせない。貯蓄以外の備えの一つががん保険。治療費などの支出増に対応するのが主目的だが、収入減もカバーできる。主にがんと診断されたときに一定額を給付する「一時金タイプ」は当面の生活費などに充てることができる。治療の度に給付金を出す「都度給付タイプ」は長く通院で治療するようなケースで役立つ。

長期間働けなくなった時に10万円など決まった額の給付金を毎月受け取る就業不能保険もある。10年から就業不能保険を販売するライフネット生命保険では加入は20~40代が中心。「21年度の給付金支払いは420件で3割弱ががん。支払期間が1年半以上になった事例もある」という。

注意点は60日や180日などの免責期間があり、原則としてすぐに給付金が出ないこと。また給付の条件が「入院」「自宅療養」「障害等級1級か2級」など、がん保険など比べてハードルが高いとの指摘もある。FPの加藤梨里氏は就業不能保険について「がん保険や医療保険とは別に、収入減が長期化した備えとして検討したい」と話している。

以上です。

↑5月上旬に撮影したニホンカワトンボ・♀。

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