がん保険と自由診療について。

今回は、少しづつ増えてきた「自由診療を保障するがん保険」と「自由診療」について書いて参ります。

管理人が現在勤務している乗り合い募集代理店で取り扱っている生命保険会社のがん保険のうち、3社のがん保険は主契約に組み込む形や特約で「自由診療」を保障対象としています。

では、そうしたがん保険は「すべての自由診療」を保障対象とするのか?

答えはNOです。

では、保障される「自由診療の定義」とは?と申しますと、弊社が取り扱っている3社のがん保険のうち、外資系生保のがん保険の場合は以下のように定めています。

<支払事由>
診断確定されたガンの治療を目的として、下記①②のいずれかの療養で入院又は通院*1をされたとき

患者申出療養*2または評価療養

②特定病院において行われる所定の自由診療

ただし、次の療養は除きます。
・先進医療による療養

・乳房再建術や乳輪・乳頭再建術などの形成再建手術

・遺伝子パネル検査(上記②の場合)

*1.治療処置を伴わない薬剤・治療材料の購入・受け取りのみの通院は、「治療を目的とする療養が行われる通院」に該当しません。

*2.療養を受けた日現在、公的医療保険制度に定める療養の給付に関する規定において給付対象となっている療養など、厚生労働大臣が定める患者申出療養でなくなっているものは除きます。

〇特定病院とは
療養を受けた時点で、厚生労働大臣が指定し、もしくは厚生労働大臣による承認を受けた病院、または公益社団法人日本臨床腫瘍学会によって認定研修施設と認められた施設で、以下の通りです。

最新の対象となる特定病院は厚生労働省又は日本臨床腫瘍学会のホームページを参照ください。なお、これらと同等と会社が認めた病院または診療所を含みます。

◇がん診療連携拠点病院等
・都道府県がん診療連携拠点病院

・地域がん診療連携拠点病院

・国立研究開発法人国立がん研究センター

・特定領域がん診療連携拠点病院

・地域がん診療病院

・小児がん拠点病院

・小児がん中央病院

・がんゲノム医療中核拠点病院

・がんゲノム医療拠点病院

・がんゲノム医療連携病院

・特定機能病院

◇日本臨床腫瘍学会認定研修施設:公益社団法人日本臨床腫瘍学会によって認定研修施設と認められた施設

では、民間クリニックが自由診療として行っている免疫細胞療法(ANK細胞療法など)は?と申しますと…論外ですね。そもそも、民間クリニックが行っている免疫細胞療法や代替療法(フコイダン等)は、エビデンスが乏しいあるいはまったくない代物(インチキ)です。

免疫細胞療法は一時期先進医療として行われていましたが、治療効果がないため先進医療から削除されました。そのひとつであるANK細胞療法(NK細胞を体外で培養・活性化させて体内に戻し、がんを攻撃させるというもの)が何故治療効果が得られなかったのかについては、2013年に東北大学が科学的に解明しています。

↑よそ様のキバナコスモスにやってきたホシホウジャク(9月撮影)。

手術給付金等の支払いを巡る裁定事案(故意または重大な過失。和解成立)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年4~6月の裁定概要集(PDF)に、手術給付金等の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 故意または重大な過失を理由に、手術給付金等が支払われなかったことを不服として、手術給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年11月に橋梁から落下した事により、外傷性くも膜下出血、肺挫傷、右尺骨近位骨幹部解放骨折等を受傷し、令和5年2月まで入院して複数回手術を行ったため、平成21年9月に契約した医療保険にもとづき手術給付金を請求したところ、自分の故意または重大な過失を理由に給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、手術給付金等を支払ってほしい。

(1)自分は、いつも使っている歩道ではなく、間違えて反対側の歩道ないし車道を歩行していたものであって、うっかり道を間違えることは、わずかな注意だけで防ぎきれるものではなく、重大な過失には相当しない。

(2)飲酒後かつ仕事の疲れ、眠気等もあった状態で、注意力が散漫になった結果、うっかり車道を歩いてしまったことは、自分の過失であるかもしれないが、重大な過失には該当しない。

(3)自分には、車道から反対側の車道に移動しようとしてガードレールを乗り越えたという認識はなく、あくまで、危険回避のために車道から歩道に移動しようとしてガードレールを乗り越えようとしたものであるから、この点からも重大な過失には相当しない。

(4)保険会社の主張は、調査会社の調査員が自分と面談した際の報告書の内容を基礎としているところ、同報告書には、自分が実際には話していない誤った内容が報告されており、問題である。

この事案は和解が成立しています。

申立人は橋梁から河川敷に転落してしまったようですが、よく助かったものです。

今回の事案で問題となったのは、調査員の報告書が不適切なものであって、それをもとに給付金の支払可否の決定がなされたことです。調査による報告書は支払可否に大きく影響するものなのですから、それを不適切なものするとは言語道断でしょう。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年4~6月裁定概要集P28~30より転載)。

[事案2023-291]手術給付金等支払請求
・令和6年6月30日 和解成立

<事案の概要>
 故意または重大な過失を理由に、手術給付金等が支払われなかったことを不服として、手術給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年11月に橋梁から落下した事により、外傷性くも膜下出血、肺挫傷、右尺骨近位骨幹部解放骨折等を受傷し、令和5年2月まで入院して複数回手術を行ったため、平成21年9月に契約した医療保険にもとづき手術給付金を請求したところ、自分の故意または重大な過失を理由に給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、手術給付金等を支払ってほしい。

(1)自分は、いつも使っている歩道ではなく、間違えて反対側の歩道ないし車道を歩行していたものであって、うっかり道を間違えることは、わずかな注意だけで防ぎきれるものではなく、重大な過失には相当しない。

(2)飲酒後かつ仕事の疲れ、眠気等もあった状態で、注意力が散漫になった結果、うっかり車道を歩いてしまったことは、自分の過失であるかもしれないが、重大な過失には該当しない。

(3)自分には、車道から反対側の車道に移動しようとしてガードレールを乗り越えたという認識はなく、あくまで、危険回避のために車道から歩道に移動しようとしてガードレールを乗り越えようとしたものであるから、この点からも重大な過失には相当しない。

(4)保険会社の主張は、調査会社の調査員が自分と面談した際の報告書の内容を基礎としているところ、同報告書には、自分が実際には話していない誤った内容が報告されており、問題である。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)車道と車道の間にある隙間を仕切っていたガードレールを乗り越えて反対側の車道に移動することは危険であると認識できるし、隙間の幅も2~3mほどあり、隙間を見落とすことは考えにくいため、一般人が、わずかに注意すれば転落事故発生の危険があることは容易に予想・予見ができ、その結果、中央のガードレールを乗り越えることを注視して、危険を避けることは可能であった。

(2)よって、申立人は著しく注意を欠いた行動の結果により河川敷に転落したものであって、本事故は、申立人の「重大な過失」を原因として発生したと考えられるため、手術給付金等については免責事由が認められる。

(3)仮に、本事故の状況が申立人の主張のとおりだとしても、橋梁は肩側車道が3車線の広い道路であり、この車道を歩いて進んでいたことは事故に遭う危険の高い行為と考える。また、車道と歩道はガードレールで区別された構造となっており、転落地点まで車道を歩いていることに気付かなかったことは極めて考えづらい状況である。さらに、申立人が、ガードレールを乗り越えて歩道に戻ろうと考えたのだとしても、実際には、その先に歩道はなく隙間があったのだから、申立人はこのことに容易に気付くことができ、わずかな注意をすれば転落は回避できるものと考えるため、いずれにせよ、重大な過失が認められる。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本事故の状況等を把握するため、申立人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の請求は認められないが、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意を得られたので、手続を終了した。

(1)事故当時の状況や申立人の怪我の部位などについて、保険会社が委託した調査会社の調査員による申立人の聴取結果の報告が適切に行われていなかったことがうかがえるところ、保険会社が、そのような不適切な報告書に依拠した事実認定を行い、申立人に対して給付金の不支給を通知したことが、申立人に不信を抱かしめ、本件紛争の一因となった面があることは否めない。

以上です。

↑9月上旬に撮影したアキアカネ♂。

金融庁がFPパートナーに対し報告徴求命令を発出-日経報道。

9月6日の日本経済新聞朝刊に、訪問型の大手保険乗合募集代理店であるFPパートナーに対し、報告徴求命令を発出したとの記事がありました。

記事によると、

< 金融庁が6日、大手保険代理店のFPパートナーに保険業法に基づく報告徴求命令を出したことが分かった。同社に多額の広告費を支払った生命保険会社の保険商品を優先して顧客に勧めていたと指摘されている問題について、販売実態などの報告を求めたとみられる。>

とのことです。

【管理人の感想】

10月13日時点で、FPパートナーは今回の報道に関する公式コメントを出していません。また、金融庁も報告徴求命令を発出したというコメントを出していません。

したがって、報道が事実かどうかは不明です。

なお、FPパートナーと生命保険各社の広告費用に関しては、6月18日配信の東洋経済オンラインにおいて、

<「マネードクター」の名称で保険代理店事業を展開するFPパートナーと、保険販売(募集)を委託している生命保険各社との取引を巡って、金融庁が実態調査に乗り出していることが分かった。

 調査の対象となっているのはFPパートナーの代理申請会社(幹事会社)となっている東京海上日動あんしん生命のほか、アフラック生命保険会社、SOMPOひまわり生命保険、メディケア生命保険、はなさく生命保険など。

 金融庁が生保各社に報告を求めている項目は、①FPパートナーへの広告料の支払い状況と同広告料が適正と判断した根拠、②営業社員(募集人)候補の紹介数、③リーズ(見込み客)情報の提供数、④出向者の状況、⑤そのほかの本業支援の状況、と大きく5つある。

 特に①の広告料については、相場や実態に見合わない不適正な料金を支払っていないか、アフラックやひまわり生命に対して「詳細に報告するよう求めている」(ひまわり生命関係者)という。

 金融庁は、調査によってFPパートナーへの過剰な便宜供与や実質的な利益供与の疑いが強まった場合は、生保各社やFPパートナーへの立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れている模様だ。>

という報道がありました。さらに、この件は生命保険協会が会員各社に調査票を送ることにもなりそうです。9月7日の日経電子版に

< 生命保険協会は加盟社の生命保険各社に対し、保険代理店に対する便宜供与の実態を調べるよう要請する。代理店が生命保険会社から広告陽の名目で多額の金銭を受け取り、顧客のニーズに合っていない保険商品を勧めていた疑いが浮上しているためだ。実態の把握を通じて、商慣行の健全化につなげたい考えだ。

 10月上旬を期限とし、近く加盟社に調査票を送る。金融庁にも回答の内容を報告する。

 生保各社に回答を求める質問はおよそ20項目に及ぶ。「業務委託費や広告費、協賛金などの名目で役務の対価としての実態がない金銭を受給しているか」「自社の保険商品だけを取り扱うことを条件に(代理店へ支払う)手数料を加算していないか」などだ。生保協には約40社が加盟している。

 生保協が調査に乗り出すのは、便宜供与と疑われかねない事例が出てきているためだ。「マネードクター」を運営する大手代理店のFPパートナーが、保険会社から市場の実態と離れた多額の広告費を受け取っていたことが明らかになっている。各社の広告費の有無やその水準が、FPパートナー側が顧客に勧める商品に影響を及ぼしていた可能性がある。保険会社が広告費などの名目で便宜を供与していたとすれば、顧客の意向に沿った提案をゆがめる恐れが強まる。>

との記事がありました。仮にそうした報道が事実で、広告費の多寡が推奨商品の選定を左右していたとなれば、金融庁から行政処分が下されるかもしれません。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-2024年9月6日 日本経済新聞朝刊-

【金融庁、FPパートナーに報告命令】

 金融庁が6日、大手保険代理店のFPパートナーに保険業法に基づく報告徴求命令を出したことが分かった。同社に多額の広告費を支払った生命保険会社の保険商品を優先して顧客に勧めていたと指摘されている問題について、販売実態などの報告を求めたとみられる。

 同社はファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員が家計の相談に乗る「マネードクター」を運営する。社員が職場や自宅に赴く訪問型の代理店として業界最大手で、東証プライム市場に上場している。

 金融庁はFPパートナーが生保から多額の広告費を受け取り、広告費の多寡が推奨商品を左右したのではないかと問題視している。保険業法で代理店は複数の保険会社の商品を比べて説明する「比較推奨」のための情報提供が義務づけられている。

 金融庁と生命保険協会は生保各社に対し、代理店への便宜供与の実態を調べるよう近く要請する方針だ。FPパートナー以外でも代理店が生保から広告費の名目で多額の金銭を受け取り、顧客のニーズに合っていない保険商品を勧めていた疑いが浮上している。

以上です。

↑よそ様のキバナコスモスにやってきたナミアゲハ夏型の♂(8月撮影)。

特定疾病保険金の支払いを巡る裁定事案(支払事由非該当)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年4~6月の裁定概要集(PDF)に、特定疾病保険金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款上の支払事由に該当しないことを理由に、特定疾病保険金が支払われなかったことを不服として、保険金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年9月に腺がんの診断が確定したため、平成22年1月に契約した終身保険にもとづき特定疾病保険金を請求したところ、上皮内がんは約款上の支払事由に該当しないとして、保険金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、特定疾病保険金を支払ってほしい。

(1)上皮内がんは上皮から基底膜までに存在し、粘膜固有層から粘膜筋板に存在するのが粘膜内がんであるが、診断書の記載は、上皮内がんではなく粘膜内がんである。

(2)平成26年に約款が改定され、大腸の粘膜内がんは含まれないことが記載されたが、契約当時の約款には、「上皮内がんを除く」との記載だけで「粘膜内がんを除く」との記載がないので、粘膜内がんは支払対象である。仮に保険会社が、契約時に粘膜内がんを除去する意図があったとしても、その意図を自分が推認することは不可能である。

この事案は裁定が終了しています。

特定疾病保険の契約締結前に最も注意しなくてはならないのが、こうした支払事由非該当となるケースについての説明です。

申立人は大腸の粘膜内がん(腫瘍が最も内側の粘膜上皮やそのすぐ外側の粘膜固有層、粘膜固有層の外側の粘膜筋板のいずれかにとどまっており、粘膜下層にまで浸潤していない状態)なので、切除しきってしまえば再発や転移の恐れがほぼない上皮内がんに分類されます。

そのため、申立人のケースは支払事由非該当となるため、特定疾病保険金を支払うことはできません。

では、現在も上皮内がんは一切支払対象外なのか?と申しますと、そうではありません。保険会社によっては上皮内がんを支払対象としていることもあります。

乗合募集代理店を利用して保険相談をされるときは、そうしたことを比較することも重要です。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年4~6月裁定概要集・P41~42より転載)

[事案2022-322]特定疾病保険金支払請求
・令和6年6月25日 裁定終了

<事案の概要>
 約款上の支払事由に該当しないことを理由に、特定疾病保険金が支払われなかったことを不服として、保険金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年9月に腺がんの診断が確定したため、平成22年1月に契約した終身保険にもとづき特定疾病保険金を請求したところ、上皮内がんは約款上の支払事由に該当しないとして、保険金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、特定疾病保険金を支払ってほしい。

(1)上皮内がんは上皮から基底膜までに存在し、粘膜固有層から粘膜筋板に存在するのが粘膜内がんであるが、診断書の記載は、上皮内がんではなく粘膜内がんである。

(2)平成26年に約款が改定され、大腸の粘膜内がんは含まれないことが記載されたが、契約当時の約款には、「上皮内がんを除く」との記載だけで「粘膜内がんを除く」との記載がないので、粘膜内がんは支払対象である。仮に保険会社が、契約時に粘膜内がんを除去する意図があったとしても、その意図を自分が推認することは不可能である。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)大腸がんについては、粘膜内にとどまるものは「上皮内がん」または「粘膜内がん」と表現されるのが一般的であり、がんの進行度を判定する基準として国際的に活用されている国際対がん連合(UICC)による最新の「TNM悪性腫瘍分類第8番」においても、結腸及び直腸のがんの壁深達度(T)については、「Tis 上皮内がん:粘膜固有層に浸潤」の分類があり、「Tis」は「がん細胞が粘膜固有層(粘膜内)に限局し、粘膜筋板から粘膜下層への進展を伴わない」上皮内がんとして定義されていることから、「大腸粘膜内がん」はTisに分類され、「上皮内がん」の扱いになっている。

(2)「大腸がん取扱規約第9版」「本規約とTNM分類の対照表」においても、「Tis がんが粘膜内にとどまり、粘膜下層に及んでいない」と記載されている。

(3)平成26年10月に、約款に「悪性新生物に大腸の粘膜内がんは含まれない」と追記したが、当該変更は「大腸粘膜内がん」の約款上の解釈を変更したものではない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、保険金請求当時の状況を確認するため、申立人に対して事情聴取を行った。また、独自に外部の専門医の意見を求め医学的判断の参考にした。

2.裁定結果
 上記手続の結果、特定疾病保険金の支払いは認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑♀を警護するノコギリクワガタ♂の大歯型に挑むノコギリクワガタ♂の小歯型(5月撮影)。

オリックス生命の第1四半期業績。

8月15日、オリックス生命はHPにて、2024年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/15・ニュースリリース 2024年度第1四半期決算報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少続く

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料のうち、保有契約件数と契約高が前年同期末比で減少していました。一方、保有契約年換算保険料は増加していました。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料ですが、こちらも前年同期末比で減少していました。

終身保険以外の保障性商品や第三分野商品の新契約の落ち込みが続いたことで、保有契約の減少に歯止めがかかっていないことがうかがえます。

2.新契約の落ち込み続く
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で85.4%、89.2%、95%といずれも減少していました。一部の死亡保障(終身保険)が料率改定を行ったことで、引き続き好調だったようですが、それ以外の保障性商品の新契約の落ち込みが続いたことがうかがえます。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料ですが、前年同期比63.1%と二桁の減少でした。医療保険やがん保険がかつての競争力を発揮できない状況であることがうかがえます。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約 ( )内は前年度実績
1)件数

・個人保険…479万5000件 (487万6000件)

・個人年金保険…5万1000件 (9万3000件)

2)契約高
・個人保険…14兆1220億円 (14兆1987億円)

・個人年金保険…2258億円 (2613億円)

・団体保険…8307億円 (8037億円)

〇新契約
1)件数

・個人保険…4万4000件 前年同期比85.4%

2)契約高
・個人保険…1972億円 前年同期比89.2%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…3440億円 (3402億円)

・個人年金保険…276億円 (406億円)

・個人保険+個人年金保険…3717億円 (3808億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…2122億円 (2146億円)

2)新契約
・個人保険…58億円 前年同期比95%

・個人保険+個人年金保険…58億円 前年同期比95%

 うち医療保障・生前給付保障等…22億円 前年同期比63.1%

〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益
・保険料等収入…1128億円 前年同期比103.7%

・保険金等支払金…622億円 前年同期比101%

・当期純利益…1億円 前年同期比6%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…70億円 前年同期比117.9%

・ソルベンシー・マージン比率…1009.8% (1054.9%)

以上です。

↑多くの原始的な特徴を持つ蜻蛉・ムカシヤンマ♂(5月撮影)。

ソニー生命の第1四半期業績。

8月15日、ソニー生命保険はHPにて、2024年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/15・ニュースリリース 2024年度第1四半期業績のご報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は堅調に増加

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比で97.3%、104.7%、102%と件数が減少したものの契約高と年換算保険料は増加していました。

死亡保障商品が堅調に増加したことがうかがえます。

また、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比で131.4%、139.2%、135.4%といずれも二桁の増加でした。変額個人年金保険が好調を維持したことがうかがえます。

医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末比で98.6%と減少していました。既に自社の医療保険の新契約を終了しているため、今後も徐々に減少していくものと思われます。

2.新契約も好調
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で98.9%、108.9%、125.3%と件数が減少となったものの、契約高と年換算保険料は増加していました。

こちらも死亡保障商品が契約を増やしたことがうかがえます。

個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で138%、153%、135.4%といずれも二桁の増加でした。変額個人年金保険が好調を維持したことがうかがえます。

医療保障・生前給付保障等の新契約年間保険料は、前年同期比で96.9%と減少していました。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…751万5000件 前年同期末比97.3%

・個人年金保険…159万1000件 前年同期末比131.4%

・個人保険+個人年金保険…910万7000件 前年同期末比101.9%

2)契約高
・個人保険…57兆5376億円 前年同期末比104.7%

・個人年金保険…10兆7156億円 前年同期末比139.2%

・個人保険+個人年金保険…68兆2532億円 前年同期末比109%

・団体保険…1兆2641億円 前年同期末比91.5%

・団体年金保険…34億円 前年同期末比81.3%

〇新契約
1)件数

・個人保険…7万4000件 前年同期比98.9%

・個人年金保険…11万3000件 前年同期比138%

・個人保険+個人年金保険…18万8000件 前年同期比119.3%

2)契約高
・個人保険…1兆8021億円 前年同期比108.9%

・個人年金保険…8779億円 前年同期比153%

・個人保険+個人年金保険…2兆6800億円 前年同期比120.2%

・団体保険…36億円 前年同期比303.8%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9359億円 前年同期末比102%

・個人年金保険…2995億円 前年同期末比135.4%

・個人保険+個人年金保険…1兆2355億円 前年同期末比108.5%

 うち医療保障・生前給付保障等…2134億円 前年同期末比98.6%

2)新契約
・個人保険…207億円 前年同期比125.3%

・個人年金保険…231億円 前年同期比142.3%

・個人保険+個人年金保険…439億円 前年同期比133.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…21億円 前年同期比96.9%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、四半期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…4557億円 前年同期比131.3%

・保険金等支払金…2847億円 前年同期比131.3%

・経常利益…▲215億円 (48億円)

・四半期純利益…▲163億円 (26億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…366億円 前年同期比58.2%

・ソルベンシー・マージン比率…1791.5% (2034.1%)

以上です。

↑初夏の河原で翅を開いたアオハダトンボ♂(5月撮影)。

アフラックの第1四半期業績。

8月9日、アフラック生命保険はHPにて、2024年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/19・ニュースリリース 2024年度第1四半期報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少止まらず

個人保険の保有契約件数、がん保険、医療保険の保有契約件数はいずれも前年同期末比で減少していました。微減と言えるレベルですが減少に歯止めがかかっていません。

2.医療保険の新契約が増加に転じる
個人保険の新契約件数は前年同期比97.5%、がん保険の新契約件数は91.2%、医療保険は105.8%となっており、医療保険は昨秋に投入した新商品が好調だったのでしょう、増加に転じていました。

医療保険はブランドの刷新と保障内容の改定が既に決定しています。どこまで新契約に寄与するかが問われることになるでしょう。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数 ( )内は前年度実績
・個人保険…2223万2000件 (2278万7000件)

・個人年金保険…33万1000件 (32万8000件)

・個人保険+個人年金保険…2256万3000件 (2311万5000件)

〇新契約件数
・個人保険…19万5000件 前年同期比97.5%

 うちがん保険…12万9000件 前年同期比91.2%

 うち医療保険…3万8000件 前年同期比105.8%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…1兆2039億円 (1兆2328億円)

・個人年金保険…1011億円 (949億円)

・個人保険+個人年金保険…1兆3050億円 (1兆3277億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…9824億円 (1兆23億円)

2)新契約
・個人保険…139億円 前年同期比100.1%

・個人保険+個人年金保険…139億円 前年同期比100.1%

 うち医療保障・生前給付保障等…125億円 前年同期比100.4%

〇保険料等収入、保険金等支払金、四半期純利益
・保険料等収入…3264億円 前年同期比101.5%

・保険金等支払金…2331億円 前年同期比107.4%

・四半期純利益…910億円 前年同期比141%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1289億円 前年同期比123.6%

・ソルベンシー・マージン比率…1197% (921.7%)

以上です。

↑初夏の沢沿いのドクダミに留まるニホンカワトンボ♂の成熟個体(5月撮影)。

一部大手乗合代理店で、生保の広告費の多寡が推奨商品の選定を左右?日経報道。

7月17日の日本経済新聞朝刊に、一部の大手生損保乗合募集代理店における推奨商品選定について、生命保険会社からの広告費の多寡が推奨商品の選定を左右したのではないか?との記事がありました。

記事によると、

< 生命保険会社による保険代理店向けの広告出稿について金融庁が実態調査に動き始めた。一部の大手代理店が生保から多額の広告費を受け取っており、広告費の多寡が商品推奨を左右したとの懸念がある。アフラック生命保険などは出稿を取りやめた。顧客本位とは言い難い販売実態が明らかになれば、生保と代理店のもたれ合いにメスが入る可能性がある。

 大手代理店のFPパートナーとの取引がある生保を調査対象にする。FPパートナーはファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員が家計の相談に乗る「マネードクター」を運営する。社員が職場や自宅に赴く訪問型の代理店として業界最大手で、全国の拠点数は約150ヵ所。東証プライムに上場している。>

とのことです。

【管理人の感想】
今回の報道について、金融庁とマネードクターの公式HPを確認したのですが、どちらも報道が事実かどうかを裏付ける発表やコメントを出していませんでした(7月22日時点)。

全国展開している保険ショップなど規模の大きな特定代理店は、代理店手数料の多寡で推奨商品の選定が左右されているのではないか?という疑念が生じたことで、一定期間ごとに報告書を提出することが義務付けられる等、募集経緯の透明性向上などが求められました。

また、保険会社はそうした疑念が生じたこともあって、ボーナスコミッションを廃止するなど代理店手数料の体系を変更しました。

仮に今回の報道が事実であるならなんとも情けない話です。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2024年7月17日朝刊-

【生保の一部大手代理店向け広告、金融庁が調査 商品推奨の左右を懸念】

 生命保険会社による保険代理店向けの広告出稿について金融庁が実態調査に動き始めた。一部の大手代理店が生保から多額の広告費を受け取っており、広告費の多寡が商品推奨を左右したとの懸念がある。アフラック生命保険などは出稿を取りやめた。顧客本位とは言い難い販売実態が明らかになれば、生保と代理店のもたれ合いにメスが入る可能性がある。

 大手代理店のFPパートナーとの取引がある生保を調査対象にする。FPパートナーはファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員が家計の相談に乗る「マネードクター」を運営する。社員が職場や自宅に赴く訪問型の代理店として業界最大手で、全国の拠点数は約150ヵ所。東証プライムに上場している。

 アフラックは7月に入り、FPパートナーに対して広告出稿をやめる意向を伝えた。アフラックはFPパートナーに対し、2023年度に9600万円の広告費を支払っていた。

 数千万円の広告費を負担していたとみられる住友生命保険グループのメディケア生命保険や、東京海上日動あんしん生命保険も広告の出稿を中止する方針だ。SOMPOひまわり生命保険は6月に契約を終え、延長しなかったという。

 広告はFPパートナーの店舗にある電子掲示板やホームページに掲載する。通常取引の範囲を超えた過度の広告費の支払いは代理店への利益供与ともみなされかねない。

 複数の関係者によると、FPパートナーは特定の保険商品を販売すると営業担当者の評価を割り増しにするキャンペーンを実施していた。多額の広告費を支払う複数の保険会社の商品が対象になっていたという。

 割増評価する保険商品を優先的に取り扱う動機が働きやすくなり、公平な販売をゆがめかねない、との指摘がある。FPパートナーは、一部の保険会社や保険商品を営業上の理由などで恣意的に推奨している事実はない、としている。

 金融庁は2016年の改正保険業法で代理店に対し、年齢や家族構成などをもとに顧客に合った商品を提案するよう義務付けた。一つの商品だけを勧めず、複数の商品を比べて説明する「比較推奨」も求めてきた。

 金融庁はFPパートナーと取引のある生保に対し、不適正な広告費を支払っていないか聞き取り調査を実施していた。過度な広告費の支払いなどが比較推奨に反する保険販売につながっているとの懸念があり、金融庁はこのほど各社に追加のアンケートを送付し実態把握に動いている。

 かねて保険業界では、過剰な販売促進策や代理店への利益供与が不適切な販売実態をもたらしているとの批判が少なくなかった。広告出稿を巡る懸念も「FPパートナーに限った問題ではない」との見方があり、金融庁は聞き取りの結果によっては調査範囲を業界全体に広げる方針だ。

 生保が直接雇用する営業職員を通じた保険加入は減り、代理店は有力な販売チャネルになってきた。生命保険文化センターによると、代理店を経由した保険加入は21年度に全体の約15%を占めた。自前の営業職員を持たないは生保は代理店に販売を依存し、「過度な利益供与を生みやすい」との見方がある。

 代理店との距離感は保険業界の長年にわたる課題でもある。自動車保険金の不正請求を繰り返していた旧ビッグモーターは整備工場を金、事故車の紹介数に応じて自動車損害賠償責任(自賠責)保険の契約を損害保険会社に割り振っていた。販売力のある代理店に対する保険会社の監督・指導が機能しなかった典型例だ。

 かつて生保では表彰や研修の名目で、代理店の営業担当者を旅行に案内するような慣行さえあった。こうした露骨な便宜供与こそ減ってきたが、顧客本位をゆがめかねない行為は後を絶たない。業界の自浄能力が問われている。

以上です。

↑ナガサキアゲハ♂の吸水行動(4月撮影)。

大手生保の営業職員数がここ10年の間で最少にー日経報道。

7月5日の日本経済新聞朝刊に、大手生命保険会社の営業職員数の変化に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 大手生命保険会社の営業職員数が減少している。2023年度末時点での大手4社の営業職員数は約15万人と、直近ピークの20年度末から1割減り、この約10年間で最も少なくなった。日本生命保険は5万人を割り込んだ。新規の採用難や転職者の増加が背景にある。今後も減少傾向は続くとみられ、各社は人工知能(AI)を活用するなどして人手不足に備える。>

とのことです。

【管理人の感想】
かつては大量採用大量脱落が当たり前とさえ言われてきた生保の営業職員ですが、管理人が記憶している限りでは、生保10社が業務改善命令を受けた、保険金や各種給付金の支払いミス(支払不足、支払漏れ、支払額過剰)を機に、採用人数を絞り採用後の教育をそれまで以上に高度化して、契約継続率向上を重視する評価制度に移行するなど「量から質へ」と徐々に転換して、早期の離職率改善を実現してきました。

しかし、ここ数年の人材確保の課題はそうしたこととはまた別の問題のようです。

今回の記事を読む限り、大手生保各社は一定の水準を確保するための採用人数のラインを下回る状況となっているようです。他業種との人材確保競争が激しさを増していることもあって、そう簡単に解消しないでしょうね。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2024年7月5日朝刊-

【生保営業職員、10年で最少】

 大手生命保険会社の営業職員数が減少している。2023年度末時点での大手4社の営業職員数は約15万人と、直近ピークの20年度末から1割減り、この約10年間で最も少なくなった。日本生命保険は5万人を割り込んだ。新規の採用難や転職者の増加が背景にある。今後も減少傾向は続くとみられ、各社は人工知能(AI)を活用するなどして人手不足に備える。

 日本生命、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の営業職員数を集計した。23年度末時点の営業職員数は15万3427人と、データを遡ることのできる11年度末以降で最少だった。ピーク時の20年度末では17万人以上が在籍していた。

 日本生命の23年度末の営業職員数は約4万7000人と、20年度末比で14%減った。5万人を割るのは11年度以降で初めてだ。第一生命はオフィス長を含めた生涯設計デザイナー数が2割減の約3万7000人、住友生命は1割減の3万2000人だった。

 新規の採用数も過去10年以上に渡って減少傾向が続く。15年度以降は年3万人を下回り、23年度はおよそ2万人に縮小した。日本生命は3年前まで1万人前後を採っていたが、足下では7000人を下回るようになった。

 背景には人材の獲得競争の激化がある。新型コロナウイルス禍後は飲食業などの求人が増え、生保の営業職員の応募者が少なくなった。より良い条件を求めて転職する人もいる。大手生保の幹部は「数年前と比べると新規採用が難しくなった」と話す。

 全国の使者に所属して自宅や職場を訪問販売する営業職員は、銀行窓口やインターネット、保険ショップで契約する人が増えた今でも生保の主力の販売チャネルだ。生命保険文化センターによると、営業職員経由の保険商品の販売は全体の5割超を占める。

 各社は営業職員の定着率を高めようと、待遇改善に力を入れてきた。日本生命は24年度に営業職員の賃金を平均7%程度引き上げる。7%の賃上げは2年連続になる。他社も7%程度の賃上げを実施する方針だ。

 人材の獲得競争が激化する中、他産業でも賃上げの動きが広がる。人手不足は金融業界だけにとどまらず、今後も採用難は続く公算が大きい。人海戦術による営業に限界が見えるなか、各社が力を入れるのがAIやデジタル技術の活用だ。

 第一生命は生成AIが営業職員を支援する「デジタルバディ」を開発を進め、26年度までに全国での導入を目指す。顧客の生活や資産の状況に合わせた提案を営業職員に推奨するといった機能を付与する。AIが自動回答するチャットツールの開発にも取り組み、対面以外にデジタルでの顧客接点を広げる。

 日本生命は24年度にAIが営業職員を補助するシステムを全国で導入した。公式LINEなどを通じて収集した顧客情報やアンケートへの回答状況、営業職員との通話時間などをAIが分析し、顧客の特性を可視化する。分析結果に応じて最適な契約内容や営業方針を職員に示す。住友生命もAIによる提案支援システムの構築に取り組み、24年度下期の投入を予定する。

 AIやデジタル技術の活用は、営業職員の雇用に直結するテーマでもある。ある大手生保の首脳は「デジタル技術などが進展すれば、営業職員を現状の規模で維持する必要はなくなる」と話す。大量の営業職員を抱え、販売目標を課しながら契約を獲得する手法は転換期を迎えつつある。

以上です。

↑ハナダイコンにやってきたクマバチ♀(4月撮影)。

先進医療給付金の支払いを巡る裁定事案(告知義務違反による契約解除)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年1~3月の裁定概要集(PDF)に先進医療給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 告知義務違反を理由に契約が解除され、先進医療給付金が支払われなかったことを不服として、解除の無効と先進医療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 肝細胞がんに対する重粒子線治療を受けたことから、令和3年6月に契約した医療保険にもとづき先進医療給付金を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され、給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、解除を無効として先進医療給付金を支払ってほしい。

(1)告知義務違反となるようであれば「保険には加入しなくていい」と募集人に言って、本契約の契約手続きをした。

(2)自分はB型肝炎に罹患しており、平成27年に肝細胞がんが再発し、平成28年に重粒子線による治療を行っているが、これ以降の治療や検査の経緯を募集人に話しており、告知している。

この事案は裁定不調で手続きが終わっています。

「保険会社の主張」を読むと、申立人は医療保険の申込時にB型慢性肝炎に関する告知をしています。この時点でなぜ医療保険の契約が成立したのかがわかりません。

慢性B型肝炎は、医療保険に限らず生命保険の契約が非常に難しい疾患のひとつです。ある生命保険会社の引き受け査定の目安では、全期間で引受謝絶となっています。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年1~3月裁定概要集・P47~48より転載)。

[事案2023-130]先進医療給付金支払請求
・令和6年2月2日 裁定不調

<事案の概要>
 告知義務違反を理由に契約が解除され、先進医療給付金が支払われなかったことを不服として、解除の無効と先進医療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 肝細胞がんに対する重粒子線治療を受けたことから、令和3年6月に契約した医療保険にもとづき先進医療給付金を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され、給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、解除を無効として先進医療給付金を支払ってほしい。

(1)告知義務違反となるようであれば「保険には加入しなくていい」と募集人に言って、本契約の契約手続きをした。

(2)自分はB型肝炎に罹患しており、平成27年に肝細胞がんが再発し、平成28年に重粒子線による治療を行っているが、これ以降の治療や検査の経緯を募集人に話しており、告知している。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人は、B型慢性肝炎に関する告知をしているが、肝がん治療後に定期的にCTやMRIなどで肝細胞がん再発の有無を外来で確認しており、この肝細胞がんに関する事実を告知していない。

(2)募集人は、契約締結の際、申立人から、平成28年の重粒子線の治療後は、がんの再発もなく、通院もしていないと聞いており、肝細胞がん治療後の治療や検査の経緯については申立人から聞いていない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、治療時の状況等を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続の結果、先進医療給付金の支払いは認められないが、以下の理由により、本件は和解による解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、申立人から和解案を受諾するとの回答を得られなかったため、手続を終了した。

(1)募集人は、申立人から、B型肝炎に罹患しており、7、8年前には肝細胞がんが再発して先進医療を受けたことの説明をされたことは認めており、7、8年前にがんに罹患したということであれば、5年以内にがんのフォローにて通院検査している可能性は高く、募集人も、通常であればがんの手術後や治療後に何年かは診察などをすると思ってはいたなどと陳述している。

(2)本契約のタブレットによる告知方法においては、手書きでの記入とは異なり、病状に付随する事情を申立人のみの操作によって容易に追記することができないことからすれば、本契約の告知方法に不慣れな契約者が肝細胞がん治療後の通院・検査の記載を失念するということも全く理解できないわけではない。

(3)本件では、正確な告知書作成経緯が不明ではあるとしても、申立人が重篤な病気に罹患していることを知っている募集人としては、少なくとも、相当慎重に告知書作成手続を行うことが望ましかったが、募集人の事情聴取の結果によってもそれをうかがうことはできなかった。

以上です。

↑吸水行動中のナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。