アフラックの第1四半期業績。

8月10日、アフラック生命保険はHPにて、2023年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/10・ニュースリリース 2023年度第1四半期報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約件数は減少続く

がん保険、医療保険の保有契約件数はどちらも減少が続き、その結果、個人保険全体の保有契約件数も減少が続いています。主力保障分野での保有契約減少が続くとは…かつて法人の専属代理店社員として働いていたものとして、寂しさを感じます。

保有契約年換算保険料は、個人保険全体で減少。医療保障・生前給付保障でも減少していました。

2.新契約は増加に転じる
がん保険の新契約件数は、前年同期比119.2%と二桁の増加でした。一方、医療保険の新契約件数は前年同期比73.3%と二桁の落ち込みでした。

しかし、個人保険全体の新契約件数は、前年同期比102.1%と減少に歯止めがかかり増加に転じました。

また、新契約年換算保険料は、個人保険全体で前年同期比121.7%、医療保障・生前給付保障で119.6%とどちらも二桁の増加でした。

新契約は状況が少しづつ改善しているようです。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数 ( )内は前年度実績
・個人保険…2278万7000件 (2324万7000件)

・個人年金保険…32万8000件 (32万5000件)

・個人保険+個人年金保険…2311万5000件 (2357万3000件)

 うちがん保険…1461万6000件 (1491万8000件)

 うち医療保険…561万5000件 (573万3000件)

〇新契約件数
・個人保険…20万件 前年同期比102.1%

 うちがん保険…14万2000件 前年同期比119.2%

 うち医療保険…3万6000件 前年同期比73.3%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…1兆2328億円 (1兆2610億円)

・個人年金保険…949億円 (906億円)

・個人保険+個人年金保険…1兆3277億円 (1兆3516億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…1兆23億円 (1兆22億円)

2)新契約
・個人保険…139億円 前年同期比121.7%

・個人保険+個人年金保険…139億円 前年同期比121.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…124億円 前年同期比119.6%

〇保険料等収入、保険金等支払金、四半期純利益
・保険料等収入…3214億円 前年同期比99.5%

・保険金等支払金…2171億円 前年同期比102.4%

・四半期純利益…645億円 前年同期比81.5%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1043億円 前年同期比120.4%

・ソルベンシーマージン比率…921.7% (946.7%)

以上です。

↑4月に撮影したジャコウアゲハ♂。

子供の独立は、生命保険の契約内容を見直す機会。

7月29日の日本経済新聞朝刊に、生命保険の見直しに関する記事がありました。

記事によりますと、

< FPの柳沢美由紀氏は「50代は生命保険の見直しをするのに適した時期」と話す。子供の独立で教育費がかからなくなったり、貯蓄が若いころに比べて増えたりするなどして、万一の際に必要な保障額が少なくなりやすいためだ。会社員なら定年後に収入が減ることを見据えて保険料を抑え、老後の家計の負担を軽くすることも期待できる。>

とのことです。

【管理人の感想】
日経の記事では、

< 「子供が大学を卒業したので生命保険の保障はもっと少なくていいのではないか。」関東地方に住む50代前半の男性Aさんは妻とともにファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねた。Aさんは会社員で、妻はパート勤務をしている。これまでは入院で1日1万円の給付金が出る医療保険や入院・手術などで給付されるがん保険のほか、Aさんが亡くなった場合に妻が月に20万円を受け取る収入保障保険に加入。妻も入院日額1万円の医療保険やがん保険に入り、世帯で月約3万円の保険料を払っていた。

 しかし教育費に備える必要がなくなったため、保険を見直すことにしたという。FPの助言を受けて、まず収入保障保険は妻の生活費の不足分を改めて計算し、受給額を月13万円に引き下げた。医療保険は夫婦も入院日額を5000円に減額し、がん保険も保険料が低めで、所定の治療を受けている期間は給付金が出る「都度給付型」に変更した。世帯の保険料は計約2万円と1万円ほど少なくなった。>

という見直しのモデルケースを設定していました。

う~ん…お粗末ですね。遺族年金と配偶者の収入を差し引いても

①子供が就職するまでは最大で毎月20万円の不足が生じていた。

②子供が就職した後でも、毎月13万円不足。

いやはや…収支のバランスがとんでもないことになっている家庭だなと思ってしまいました。また、加入済みのがん保険を解約して、治療給付型のがん保険に乗り換えたとありますが、これもおかしな話です。

30代前半で加入していたがん保険だったと仮定すると、20年ほど経過しているわけですから、保険料はその分高くなっており、乗り換えれば保険料の圧縮効果は小さく、世帯保険料が1万円ほど少なくなるということは考えにくいです。

診断給付金+入院給付金+手術給付金+先進医療給付金などで保障が構成されているがん保険は、確かに治療(化学療法や放射線治療)が入院から通院へとステージが変化した現状に即していない面もありますが、診断給付金の支払事由は変化がないですし、手術給付金や入院給付金、先進医療給付金も全く使えないというわけではありません。

それならば、既存のがん保険に治療給付型の主契約の保障を追加するだけでいいのではないでしょうか。

また、記事においては更新型の保障についての言及もありました。確かに更新型の保険は、保障内容をそのままの状態で更新すれば、保険料が高くなります。

しかし、「更新=保険料の上昇」というのは誤解です。更新時に保障額を引き下げてから保障を更新する「減額更新」の手続きを行えば、保険料の上昇は抑えられるか、支払保険料の減額にもつながります。

なお、更新型の保障を「定期保険特約」+「医療保障」+「就労不能状態に死亡保障をセットしたもの」などと組み合わせてしまうと、更新を迎えた際に、年齢によっては更新後の保険料が思っていた以上に高くなってしまい、保険料の負担と保障のバランスをどうするか頭を悩ませることになりかねません。

更新型の保障はシンプルにすることが重要だと考えています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2023年7月29日朝刊-

【子が独立、生命保険見直す】

 「子供が大学を卒業したので生命保険の保障はもっと少なくていいのではないか。」関東地方に住む50代前半の男性Aさんは妻とともにファイナンシャルプランナー(FP)のもとを訪ねた。Aさんは会社員で、妻はパート勤務をしている。これまでは入院で1日1万円の給付金が出る医療保険や入院・手術などで給付されるがん保険のほか、Aさんが亡くなった場合に妻が月に20万円を受け取る収入保障保険に加入。妻も入院日額1万円の医療保険やがん保険に入り、世帯で月約3万円の保険料を払っていた。

 しかし教育費に備える必要がなくなったため、保険を見直すことにしたという。FPの助言を受けて、まず収入保障保険は妻の生活費の不足分を改めて計算し、受給額を月13万円に引き下げた。医療保険は夫婦も入院日額を5000円に減額し、がん保険も保険料が低めで、所定の治療を受けている期間は給付金が出る「都度給付型」に変更した。世帯の保険料は計約2万円と1万円ほど少なくなった。

 生命保険文化センターの調査によると、生命保険の世帯加入率は50台で約94%と最も高くなっている(個人年金保険を含む)。結婚や出産といったライフイベントを経験する人が多い30代から上昇し始め、50代でピークになったあと下落に転じる傾向がある。

 FPの柳沢美由紀氏は「50代は生命保険の見直しをするのに適した時期」と話す。子供の独立で教育費がかからなくなったり、貯蓄が若いころに比べて増えたりするなどして、万一の際に必要な保障額が少なくなりやすいためだ。会社員なら定年後に収入が減ることを見据えて保険料を抑え、老後の家計の負担を軽くすることも期待できる。

 では必要な保障額はどう把握すればいいだろうか。選択肢となるのが家族の家計を支える働き手が亡くなったあとに必要となる支出と収入の見込み額を確認すること。支出から収入を差し引いて支出が上回るなら、差額が生命保険で備える保障額となる。

 支出は残された家族の生活費や住宅費のほか、老後の医療・介護に備える予備費を見込む。一方、収入は家族が受け取る遺族年金などの公的保障や亡くなった人の勤務先の死亡退職金、貯蓄額などを確認する。遺された配偶者の収入も合算する。現在契約している保険の保障総額が必要額を上回る場合は保障が過剰な状態で、保険を見直す余地がありそうだ。

 原則として同じ保障内容で契約が続くが、保険料は更新時の年齢で再計算し、年齢が上がるとともに上昇する。契約者が申し出なければ一般的に自動継続になるため、交信を望まなければ手続きをする必要がある。高齢になるほど更新の際の保険料上昇幅は大きくなることが多く、「更新型に加入している場合は保険料が契約満了まで一定の保険に変える方がいい」と柳沢氏は話す。

 がん保険も確認しておきたい。がん保険の主な契約の保障内容は現在、都度給付型のほか、がんと診断されたときに100万円などまとまった金額を出す「診断給付型」が増えている。以前は入院・手術に備える「入院給付型」が主流だったが、最近は入院期間が短くなり、通院で治療するケースが少なくないことが背景にある。

 入院給付型は入院日数に応じて入院日額が出る保障が中心。入院期間が短期化しているため、治療費を十分に賄えない可能性もある。「若いころ契約したがん保険が現在のがん治療の動向にあっているかをチェックすることが大切」とFPの平野雅章氏は話す。

 保険診療の医療費には、毎月の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度がある。年収500万円なら自己負担上限額は通常約万円で、加入する健康保険によっては付加給付でさらに負担が減るケースがある。医療保険の保障が過剰なら入院1日あたりの給付額を減らすといったことも一案だろう。

 保障を減らす際は終身保険や養老保険など解約返戻金があるタイプの保険なら、「払済保険」への変更という方法がある。保障の期間は変えずに保険金額を減らし、変更後は保険料を払う必要がなくなる。最低限の保障を確保したい場合に選択肢になりそうだ。

以上です。

↑春の河原で吸水中のナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。

給付金等の返還請求を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年1~3月の裁定概要集(PDF)に、給付金等の返還請求を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款上の免責事由に該当することを理由に、給付金等の返還を求められたことを不服として、給付金等の返還要求の取下げを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和3年9月上旬に浸潤性乳管癌と診断されたため、同年6月に契約した組立型保険にもとづき、給付金等を請求したところ(請求①。診断書の診断確定日は9月1日)、給付金等が支払われた。その後、同年9月下旬に同疾病の治療のために再度入院したため、2回目の給付金を請求したところ(請求②。診断書の診断確定日は8月25日)、診断確定日が責任開始日から起算して90日以内であることを理由に、給付金が支払われず、また請求①で支払われた給付金等の返還を求められた。しかし、以下等の理由により、給付金等の返還要求を取り下げてほしい。

(1)診断確定日は、主治医の診断書にもとづく日付であり、病理検査による診断が優先される保険会社の主張は納得できない。

(2)検査等を含めて、総合的に診断確定するのは主治医であり、主治医は、請求①の診断書の日付が正しいと言っている。

…この事案は既に裁定終了となっています。

<保険会社の主張>では、請求①と②で診断確定の日付が異なっていることについて、主治医に照会した結果、請求②の日付が正しいとの回答を得ています。

がんの診断確定について、約款では以下のように定義されています(損保系生保H生命の約款より転載)。

「がんの診断確定は、日本の医師または歯科医師の資格を持つ者(以下本項において「医師」といいます。なお、被保険者が医師である場合は、被保険者以外の医師をいいます。)によってなされることを要します。また、病理組織学的所見(生検)、細胞学的所見、理化学的所見(X線、内視鏡等)、臨床学的所見、手術所見またはその他の所見のいずれかにより、医師ががんと診断した日をもって、診断確定されたものとみなします。」

<申立人の主張>と<保険会社の主張>から、病理検査による診断がなされたのが請求②の日付である、8月25日であることが伺えます。そうなりますと、申立人の請求は、90日間の不担保期間内に診断確定されたことによる「がん無効」となります。

保険会社が支払った給付金等の返還請求を行うのは当然のことでしょう。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和5年1~3月裁定概要集P37~38より転載)。

[事案2022-142]給付金等返還要求取下請求
・令和5年2月3日 裁定終了

<事案の概要>
 約款上の免責事由に該当することを理由に、給付金等の返還を求められたことを不服として、給付金等の返還要求の取下げを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和3年9月上旬に浸潤性乳管癌と診断されたため、同年6月に契約した組立型保険にもとづき、給付金等を請求したところ(請求①。診断書の診断確定日は9月1日)、給付金等が支払われた。その後、同年9月下旬に同疾病の治療のために再度入院したため、2回目の給付金を請求したところ(請求②。診断書の診断確定日は8月25日)、診断確定日が責任開始日から起算して90日以内であることを理由に、給付金が支払われず、また請求①で支払われた給付金等の返還を求められた。しかし、以下等の理由により、給付金等の返還要求を取り下げてほしい。

(1)診断確定日は、主治医の診断書にもとづく日付であり、病理検査による診断が優先される保険会社の主張は納得できない。

(2)検査等を含めて、総合的に診断確定するのは主治医であり、主治医は、請求①の診断書の日付が正しいと言っている。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)請求①②の診断書で、診断確定日が相違している。

(2)診断確定日の相違について、主治医に照会したところ、請求②の日付が正しいとの回答であったため、約款の免責事由に該当する。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづき審理を行った。なお、申立人が希望しなかったため、事情聴取は行わなかった。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の請求は認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑ハナダイコンにやってきたビロウドツリアブ(4月撮影)。

金融庁、銀行窓口における外貨建保険の販売に対する監視を強化?日経報道。

7月4日の日本経済新聞朝刊に、外貨建保険の銀行窓販に対する金融庁のモニタリング結果と、来年度のモニタリング方針についての記事がありました。

記事によりますと、

< 金融庁は外貨建一時払い保険の販売実態について監視を強化する。売れば売るほど営業担当者の人事や給与評価が高くなる大手銀行や地方銀行があり、顧客のニーズに沿った商品提案ができていない金融機関を問題視しているためだ。>

とのことです。

【管理人の感想】
1.監視を強化ではなく、銀行が販売・管理態勢の強化をする必要があるということでは?

日経の記事は、6月30日に金融庁がHP内の「報道発表資料」において掲載した、<リスク性商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果>を基にしたものです。

金融庁が公表しているモニタリング結果は「概要版」「全体版」がありますので、ぜひご自身の目でご確認ください。

日経記事の冒頭は、「概要版 2.リスク性商品における販売の現状 その5」にある、

・多くの重点先※では、販売増加の背景の一つが、販売推進する業績評価体系であることが窺われた。

⇒販売・解約額が大幅増加の一方、残高は横ばい。顧客ニーズに即した販売動向か懸念する先が相応に存在。

〇販売姿勢や販売・管理態勢について幅広く対話・モニタリングを強化。

※重点先:「リスク性金融商品の各業態の販売動向や個社別の規模対比での販売額等を軸に、リスクベースで重点的にモニタリングする先」のことです(「全体版P2」より抜粋・転載)。

-という記述にもとづくものと思われます。ここだけを見れば、金融庁が監視を強化するという記事は妥当のように思えます。

しかし、「全体版・P17 6.来事務年度の対話・モニタリングのポイント」では、

6.来事務年度の対話・モニタリングの主なポイント

 金融庁は、以下の観点から、引き続き対話・モニタリングを実施していく。

①、②略

③リスク性金融商品の販売・管理態勢の強化
・仕組み債や外貨建一時払い保険を含むリスク性金融商品の販売に関し、特定の商品への販売偏重や苦情が寄せられていないか。また、顧客の真のニーズの把握や分かりやすい説明を含め、適切な販売・管理態勢が構築できているか。

・仕組債を販売する場合は、仕組債関連ガイドラインへの対応にとどまらず、経営陣が責任をもって、顧客の最善の利益を踏まえた商品性の見直しや販売可否を判断しているか。

④略

-とあります。管理人個人としては、金融庁が監視を強化…というよりも、銀行が適切な販売・管理態勢を強化する必要があり、金融庁はその点も含めて、引き続き対話とモニタリングを行っていく―ということだと思います。

2.課題もある一方で、工夫がみられているのですが…。
日経は記事において、

< …

 保険料を米ドルなどの外貨建てで一括払いする外貨建一時払い保険は、米欧の金利上昇を受けたニーズもあり、大手行や地銀の販売額は2022年度上期に1.2兆円と21年度下期に比べて約7割増えた。

 金融庁は販売増加の背景の一つとして「販売を推進する業績評価体系であることが窺われる」と指摘した。保険販売に占める外貨建一時払い保険の販売割合が9割以上と高い銀行では外貨は円貨に比べて2.5~4倍の業績評価が設定されているケースがあった。

 顧客より銀行の収益を重視するような販売体制の懸念がある先については、重点的に検証する姿勢を示した。そのほか、運用目的での販売にもかかわらず他のリスク性商品とコストやリターンについて比較する説明がない点なども課題に挙げた。>

と、モニタリングの結果、銀行窓口における外貨建一時払い保険等のリスク性金融商品の取扱いや、その管理態勢には、多くの課題が目立ったような報道をしています。

確かに、リスク性商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(全体版)にて、

3.「顧客の最善の利益の追求」に向けた課題

(1)仕組債や外貨建て一時払い保険の販売・管理態勢の課題【原則2関連】

②外貨建て一時払い保険
(イ)商品導入・販売に際して販売会社に求められる事項

 販売会社は、運用・保障・相続等の顧客ニーズを的確に把握し、「本原則」を踏まえつつ、外貨建て一時払い保険がそのニーズに最適な商品かを検証する必要がある。その上で、前述したパッケージ商品販売の留意点も踏まえつつ、顧客が契約判断に必要な商品の特徴やリスク特性等を丁寧に説明する必要がある。また、当該保険は、過去の円高進行時の解約の円転換によって損失が発生した旨の苦情が多く寄せられた経緯もあり、商品性を十分に理解できる顧客に対し、長期保有を前提に提案・販売する必要がある。特に、目標(ターゲット)到達型については、顧客が目標到達後に解約して同様の保険に再加入する場合、顧客に販売手数料等の二重負担が生じることを踏まえた販売のあり方を検討する必要がある。

(ロ)対話・モニタリングで判明した課題
 多くの重点先では以下の課題が認められた。

・運用目的で販売したにもかかわらず、他のリスク性金融商品とのリスク・リターン・コスト等を比較説明していなかった

・ 相続目的で販売したにもかかわらず、非課税枠を大きく超える保険金等の額を契約時に設定していた

・ 保障目的で目標(ターゲット)到達型保険を販売したにもかかわらず、目標到達後に保険を解約させて保障期間を途絶えさせていた

(5)従業員に対する適切な動機付けの課題【原則7】

①業績評価(個人及び営業拠点)の課題

 販売会社が顧客本位の業務運営を推進するためには、現状の業績評価が、営業職員に「取組方針」に則した行動を促す内容となっているか、業績評価の改定によって営業現場の行動がどのように変化しているか等について、第1線はもとより、経営陣や第2線・第3線が継続的に検証する必要がある。

 しかしながら、多くの重点先では以下の課題が認められた。

・「取組方針」に「グループ総合力をもって顧客のニーズに対応するため銀証で連携する」旨を掲げているにもかかわらず、銀行営業職員の業績目標にグループ証券会社が紹介顧客から得る個別商品の収益が含まれているため、銀行が顧客属性やリスク許容度等を十分に把握することなく、グループ証券会社に送客していた。

・ 個人の収益目標は廃止したものの、営業拠点の業績評価項目にグループ顧客の獲得件数目標が存在しているため、営業拠点長等は自身の判断で個人に営業拠点目標を割り振り、達成状況を管理していた。その結果、銀行で個人向け国債を購入したいとする顧客をグループ証券会社に紹介していた。

・「取組方針」で「収益に偏重しない業績評価体系とすることで、顧客本位のコンサルティングを行う」旨を掲げているにもかかわらず、販売手数料の高い外貨建て一時払い保険の販売に係る個人評価のウェイトが高いため、営業現場が当該保険への販売に傾注していた。

 上記の課題が認められた先では、経営陣がその実態を十分把握しておらず、第2線・第3線も業績評価がリスク性金融商品の販売に与える影響を検証していなかった。

こうした課題がある一方で、以下のような工夫事例も認められた。

◇工夫事例

・ 業績評価項目に、口座数等の顧客基盤に関するものを取り入れている。

・ 業績評価において、定量評価の比重を下げ、顧客へのアンケート調査で得た評価や提案プロセス等定性情報の比重を上げている。

・ 業績プレッシャーを排除し、顧客本位の提案・販売を促進するため、営業店や営業職員の収益目標を全て撤廃している。

・ 若年層・中年層の資産形成を推進するため、同層に対する積立投資信託の獲得の業
績評価ポイントを高く設定している。>

-と課題を挙げています。しかしその一方で、金融機関が取り組んでいる工夫事例も挙げています。経済紙であるなら公平な記事を書いてほしいものです。

↑ツバメシジミ・♂の吸水行動(4月撮影)。

生保の銀行窓販、一時払い保険商品の新契約高が7年ぶりに5兆円越え。

6月27日の日本経済新聞朝刊に、生命保険の銀行窓販の動向に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 保険の銀行窓販が伸びている。保険料をまとめて納める一時払い商品の販売額は2022年度に7年ぶりに5兆円を超えた。世界的な金利上昇で利回りが改善した米ドルなど外貨建が活況だった。最も将来の保険金支払いに備えて保険料の一部を積み立てる制度※が始まり、販売増が短期的には収益を押し下げる構図になっている。>

※管理人補足:2022年4月1日をもって、健全な競争環境の整備と契約者保護の観点から、外貨建保険も「標準責任準備金制度」の対象となりました。これにより、保険会社は保険料の基礎率である予定利率や積立利率の設定に慎重になっていると考えられます。

とのことです。

【管理人の感想】
外貨建ての一時払保険商品は、円建保険商品に比べて高い予定利率や積立利率が設定できるため、退職金の受け皿として積極的に提案されてきました。

しかし、「市場価格調整」を採用しているなど、保険商品の仕組みが分かりやすいとはいいがたく、契約締結後に苦情を申し出たり、代理店である銀行や引受先の保険会社と、契約者・被保険者およびその家族との間で紛争に至ったりするケースが報告されています。

個人的には、どうしても保険金を用意する必要があって、円建の保険商品では希望に沿えない(健康上の理由で加入できないなど)というケースを除いて、「為替の動向」という不確実性を内包している外貨建保険で、保険金を用意する必要性はないと考えています。

しばしば資産運用の手段としても…という理屈を耳にしますが、それなら米国債を購入した方がよほど効率よく資産運用できるでしょうから、それも無理があると考えています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

【保険、銀行窓販7年ぶり5兆円越え 昨年度、外貨建がけん引】
 保険の銀行窓販が伸びている。保険料をまとめて納める一時払い商品の販売額は2022年度に7年ぶりに5兆円を超えた。世界的な金利上昇で利回りが改善した米ドルなど外貨建が活況だった。最も将来の保険金支払いに備えて保険料の一部を積み立てる制度が始まり、販売増が短期的には収益を押し下げる構図になっている。

 22年度の銀行窓口における一時払い保険の販売額は、21年度から約1.7倍の約5兆5000億円。20年度に比べると2倍近くに伸びた。5兆円を超えたのは、日銀がマイナス金利政策を導入した15年度以来、7年ぶりとなる。

 けん引役は米ドル建てを中心とした外貨建だ。22年度の販売額は前の年度比1.8倍の約3兆9000億円だった。22年前半から海外金利が上昇したことに伴い、積立利率が改善したことが大きい。

 第一生命ホールんディングス(HD)傘下の第一フロンティア生命保険の場合、米ドル建てで10年運用する主力商品の利率が4%を超えている。22年の当初より2%以上高い。同社の23年3月期決算は保険料等収入が前の期比74%増の約2兆6000億円と期初の想定を上回る好調ぶりだった。

 販売は好調だが、単年度の収益にはむしろ悪影響となる。将来の保険金支払いに備えるため、集めた保険料の一部を責任準備金として積み立てる制度の対象に外貨建保険も加わったためだ。第一生命HDでは責任準備金の積み増しが増え、有価証券の売却損益も含めると約500億円利益を押し下げた※。

※管理人補足:令和3年4月23日から5月24日にかけて、「標準責任準備金制度にかかる告示の一部改正(案)」に寄せられたパブリックコメントの中に、日経記事よりも精度の高いコメントがあります。以下抜粋したものです。

< 外貨建保険に対する標準責任準備金制度の適用は、これにより、標準利率より高い利率での運用を謳う保険会社においても、初年度の責任準備金負担の重さから、保険契約者に提示する予定利率を抑えることが想定され、健全な競争環境の整備ひいては契約者の保護に資するものと理解しております。>

 外貨建てに見劣りしていた円建ての妙味も戻りつつある。22年度の販売額は18年度比2.6倍超の約1兆6000億円だった。22年末から国内の長期金利も上昇し、日本生命保険や明治安田生命保険は23年1月に予定利率を引き上げた。

 外貨建保険については、金融庁は実態を「見える化」するために販売金融機関に対し、顧客の損益状況や銘柄別のリスク・リターンの成果指標の策定も求めている。業界側も22年から資格制度の運用を始めるなど販売改革に着手した。

 23年度は外貨建ての需要が一服し、円建ての販売が伸びるとの見方が多い。住友生命保険の高尾延冶・執行役常務は「円建て、ドル建てトフルラインアップの商品を用意する中で、市場環境や顧客ニーズに合わせて販売ボリュームを確保したい」と語る。5月末時点での販売額は円建て、外貨建てともに相対的な金利の高さを受けて、業界全体で前年同期比プラスになっている。

 外貨建て保険については「ほかの運用商品との比較説明が行われておらず、顧客のポートフォリオ全体における位置づけが不明確」(金融庁)といった課題も依然残っている。金融機関には適切な販売体制の構築や手数料など情報開示の充実が求められる。

以上です。

↑ハナダイコンにやってきたキアゲハ・春型の♂(4月撮影)。

がん給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年1~3月の裁定概要集(PDF)に、がん給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款に定めるがんに該当しないことを理由に、がん給付金が支払われなかったことを不服として、既払込保険料の返還等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 卵巣がんにより入院し、子宮付属器腫瘍摘出術を受けたことから、平成16年9月に代理店を通じて契約したがん保険にもとづき、がん給付金を請求したが、約款に定めるがんに該当しないとして、がん給付金が支払われなかった。しかし、以下等の理由により、既払込保険料を返還してほしい。

(1)契約に際し、募集人から、がんと診断された場合には、どんながんでも給付金が支払われると説明されている。

(2)給付金の不支払通知が届いたため、募集人に電話したところ、がんの診断書が出ているなら支払われると回答された。

(3)給付金不支払通知は、一貫して不親切で分かりづらく、担当者から電話があった際に分かりやすく説明するよう求めたものの、弁護士や医師を紹介すると回答されるのみで、理由が分からないまま数ヵ月が経過し精神的苦痛を受けた。

…この事案は既に和解が成立しています。

<保険会社の主張>によると、申立人が診断されたのは、「卵巣がん(Endometrioid borderline tumor)」とありますが、これだけは何を言っているのかさっぱり分かりません。

調べてみたところ、申立人の卵巣癌は「類内膜境界悪性腫瘍」というものでした。複数の医療機関のHPで確認したところ、以下のことが分かりました。

①卵巣癌のひとつである上皮性腫瘍に分類される。

②組織学的には良性に近い所見でありながら悪性腫瘍に似た経過を示す。悪性と良性の中間的な性質を持つ。

では、なぜがん保険の給付金支払事由非該当となったのか?

申立人の疾患である「類内膜境界悪性腫瘍」が、約款記載の「対象となる悪性新生物」が準拠する、「ICD-10分類C51-C58 女性生殖器の腫瘍<悪性新生物>」に含まれていないため

-と管理人は推測しています。

今回の件に限らず、主治医の診断書には「悪性」「がん」と記載されているにもかかわらず、給付金の支払事由非該当なった事例はしばしば見受けられます。

お客様と保険会社の間での支払いを巡るトラブルを防ぐには、約款を契約前に十分な時間的余裕をもって、丁寧に説明し、説明箇所にはマーカーを引き、付箋をつけて手交することが重要ですね。

<事案の内容>

以下、裁定事案の内容です(令和5年1~3月分裁定概要集P1~2より転載)。

[事案2021-273]既払込保険料返還請求
・令和5年1月26日 和解成立

<事案の概要>
 約款に定めるがんに該当しないことを理由に、がん給付金が支払われなかったことを不服として、既払込保険料の返還等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 卵巣がんにより入院し、子宮付属器腫瘍摘出術を受けたことから、平成16年9月に代理店を通じて契約したがん保険にもとづき、がん給付金を請求したが、約款に定めるがんに該当しないとして、がん給付金が支払われなかった。しかし、以下等の理由により、既払込保険料を返還してほしい。

(1)契約に際し、募集人から、がんと診断された場合には、どんながんでも給付金が支払われると説明されている。

(2)給付金の不支払通知が届いたため、募集人に電話したところ、がんの診断書が出ているなら支払われると回答された。

(3)給付金不支払通知は、一貫して不親切で分かりづらく、担当者から電話があった際に分かりやすく説明するよう求めたものの、弁護士や医師を紹介すると回答されるのみで、理由が分からないまま数ヵ月が経過し精神的苦痛を受けた。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人が診断された、「卵巣がん(Endometrioid borderline tumor)」は、約款上のがん(悪性新生物・上皮内新生物)に該当しない。

(2)契約にあたり、募集人が、どんな種類のがんも、がんと診断されたら給付金の支払対象になると説明した事実はなく、説明に使用したパンフレットについても、全てのがんが給付金支払対象であると誤認されるような記載はない。

(3)募集人は、申立人から不支払理由について問い合わせがあった際にも、給付金が出るとは言っていない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、申込時の状況等を把握するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、募集人の誤説明による既払込保険料の返還は認められないものの、以下の理由により、和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)給付金の不支払通知の内容は、申立人の卵巣がんが、約款所定の悪性新生物の診断確定に該当しないといった趣旨の短い説明と約款上行の添付にとどまり、申立人が「卵巣がん」と診断を受けている中で、がん保険の給付金支払対象外となることに得心することは困難であったと思われる。

(2)申立人からの説明要望により保険会社から送付された書面では、約款上の「悪性新生物および上皮内新生物」の定義を説明したうえで、支払対象となる「がん」と申立人がそれに該当しないことを説明し、資料として約款、ICD-10(疾病、傷害および死因統計分類提要)、ICD-10(国際疾病分類 腫瘍学)の各抜粋を添付している。しかし、説明は専門用語で短く記載されており、一般の契約者が容易に理解できる内容とは言い難く、資料として添付された専門書の抜粋には補足説明がなく、ICD-10に至っては英文で、これを読んだ申立人が得心するどころかかえって混乱し、保険会社に不信感を強めたことが想像できる。

(3)支払担当者としては、より噛み砕いた内容の補足説明を記載する、自らまたは募集人より口頭補足説明を行うなど、より詳細かつ丁寧な説明をすべき状況であった。

(4)上記(1)(2)の2通の書面は、申立人が理解することが相当程度困難なものであったこと、また、給付金請求から2通目が送付されるまで半年以上が経過しており、このような対応が本紛争の原因となったと考えられる。

以上です。

↑春の河原の片隅で翅を休めるナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。

オリックス生命の2022年度決算。

5月30日、オリックス生命保険はHPにて、2022年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/30・プレスリリース 2022年度決算(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約高が減少に転じる

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比100.3%、99%、101.6%と保有契約高を除いて増加していました。収入保障保険といった定期の保障性商品が減少したことが、保有契約高の減少の要因のようです。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年度末比100.6%と微増でした。

2.新契約は不調
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比83.3%、79.6%、91.8%といずれも減少でした。為替が円安に振れたことによる、米ドル建終身保険の契約が落ち込んだことが不調の一因のようです。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年度比88.7%と二桁の減少でした。商品改定を行った医療保険は、販売が堅調だったとのことですが、新契約を前年度比増にするまでには至らなかったようです。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記プレスリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…489万5000件 前年度末比100.3%

・個人年金保険…9万4000件 前年度末比95.9%

2)契約高
・個人保険…14兆1185億円 前年度末比99%

・個人年金保険…2693億円 前年度末比82.9%

・団体保険…7986億円 前年度末比108.5%

〇新契約
1)件数

・個人保険…27万6000件 前年度比83.3%

2)契約高
・個人保険…7985億円 前年度比79.6%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…3378億円 前年度末比101.6%

・個人年金保険…410億円 前年度末比94.7%

・個人保険+個人年金保険…3788億円 前年度末比100.9%

 うち医療保障・生前給付保障等…2135億円 前年度末比100.6%

2)新契約
・個人保険…265億円 前年度比91.8%

・個人保険+個人年金保険…265億円 前年度比91.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…153億円 前年度比88.7%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…4532億円 前年度比101.1%

・保険金等支払金…2873億円 前年度比119.3%

・経常利益…▲94億円 (▲117億円)

・当期純利益…▲89億円 (▲103億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績および数値。 ▲はマイナス
・基礎利益…▲69億円 (▲67億円)

・ソルベンシー・マージン比率…1004.9% (1275.9%)

以上です。

↑春限定の蝶・ミヤマセセリの♂(4月撮影)。

アフラックの2022年度決算。

5月23日、アフラック生命保険はHPにて、2022年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/23・ニュースリリース 2022年度決算報告(案)(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少続く

がん保険の保有契約件数は、前年度末比98%。医療保険の保有契約件数は、前年度末比98.1%とどちらも減少が続きました。保有契約が増加に転じませんね。

がん保険と医療保険に続く第三分野商品の柱となる保険商品が出てこないと、保有契約の増加にまだまだ時間がかかるかもしれません。

2.がん保険の新契約が伸びる
がん保険の新契約件数は前年度比112.7%と二桁の増加でした。新商品の効果が出ていることがうかがえます。個人保険全体の新契約件数を引き上げていました。

一方、医療保険の新契約件数は前年度比75%と2割以上の減少でした。商品改定による保障内容強化がなされているのに、新契約増加に結び付きませんね。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数
・個人保険…2291万件 前年度末比98.1%

・個人年金保険…32万7000件 前年度末比100.8%

・個人保険+個人年金保険…2323万8000件 前年度末比98.1%

 うちがん保険…1469万5000件 前年度末比98%

 うち医療保険…564万6000件 前年度末比98.1%

〇新契約件数
・個人保険…83万1000件 前年度比103.4%

 うちがん保険…55万1000件 前年度比112.7%

 うち医療保険…17万7000件 前年度比75%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…1兆2392億円 前年度末比97.7%

・個人年金保険…937億円 前年度末比101.4%

・個人保険+個人年金保険…1兆3329億円 前年度末比98.2%

 うち医療保障・生前給付保障等…1兆67億円 前年度末比97.9%

2)新契約
・個人保険…503億円 前年度比104.7%

・個人保険+個人年金保険…503億円 前年度比104.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…448億円 前年度比102.5%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益
・保険料等収入…1兆2942億円 前年度比98%

・保険金等支払金…1兆1471億円 前年度比142.1%

・経常利益…4978億円 前年度比135.7%

・当期純利益…3546億円 前年度比136%

〇三利源 ( )内は前年度実績
・危険差損益…1685億円 (2362億円)

・費差損益…814億円 (786億円)

・利差損益…1259億円 (457億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…3759億円 前年度比104.3%

・ソルベンシー・マージン比率…889.1% (944.2%)

以上です。

↑吸水中のスジグロシロチョウ♂(4月撮影)。

ソニー生命の2022年度決算。

5月23日、ソニー生命保険はHPにて2022年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/23・ニュースリリース 2022年度決算(案)のお知らせ(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は順調に増加

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比98.9%、103%、101.1%となっており、保有契約がマイナスでした。

一方、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比133.6%、136.3%、132.6%といずれも二桁の増加でした。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年度末比101%とこちらも増加でした。

個人保険の保有契約件数がマイナスに転じた理由が気になりますが、保有契約は今期も順調に増加したようです。

2.個人保険の新契約は落ち込む
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比90.6%、119.6%、97.7%と契約件数及び年換算保険料がマイナスでした。

一方、個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比150.3%、149.5%、132.6%といずれも二桁の増加でした。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年度比89.5%と二桁のマイナスでした。同社は医療保険の新契約引受を既に終了(医療保険の販売を終了しています)しているので、今後もこの分野は前年度割れが続くかもしれません。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより、抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…777万1000件 前年度末比98.9%

・個人年金保険…113万8000件 前年度末比133.6%

・個人保険+個人年金保険…891万件 前年度末比102.3%

2)契約高
・個人保険…53兆9448億円 前年度末比103%

・個人年金保険…7兆1610億円 前年度末比136.3%

・個人保険+個人年金保険…61兆1059億円 前年度末比106%

・団体保険…1兆4101億円 前年度末比92.3%

・団体年金保険…44億円 前年度末比83%

〇新契約
1)件数

・個人保険…36万8000件 前年度比90.6%

・個人年金保険…31万3000件 前年度比150.3%

・個人保険+個人年金保険…68万2000件 前年度比110.8%

2)契約高
・個人保険…6兆2709億円 前年度比119.6%

・個人年金保険…2兆1125億円 前年度比149.5%

・個人保険+個人年金保険…8兆3835億円 前年度比126%

・団体保険…80億円 前年度比95%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9080億円 前年度末比101%

・個人年金保険…2064億円 前年度末比132.6%

・個人保険+個人年金保険…1兆1144億円 前年度末比105.7%

 うち医療保障・生前給付保障等…2157億円 前年度末比101%

2)新契約
・個人保険…712億円 前年度比97.7%

・個人年金保険…572億円 前年度比176.1%

・個人保険+個人年金保険…1285億円 前年度比121.9%

 うち医療保障・生前給付保障等…115億円 前年度比89.5%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益
・保険料等収入…1兆4738億円 前年度比107%

・保険金等支払金…9117億円 前年度比136.1%

・経常利益…953億円 前年度比177.7%

・当期純利益…1007億円 前年度比529%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1196億円 前年度比90.5%

・ソルベンシー・マージン比率…2046.1% (2191.1%)

以上です。

↑春の彼岸で一気に見頃を迎えた彼岸桜(3月撮影)。

働く女性のがんへの備え。まず50万円超?-日経報道。

5月13日の日本経済新聞朝刊に、働く女性ががんになった際の備えに関する記事がありました。

記事によりますと、

< …

 国立がん研究センターの統計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性が65.5%、女性が51.2%(2019年)と男性の方が高い。ところが20~50代の年齢で見ると、がん患者は女性の方が多い。特に30~40代は女性が男性の2倍以上に上る。また厚生労働省の19年の調査では、仕事を持ちながらがんで通院する人は44.8万人で、約6割を女性が占める。60歳未満に限ると女性は男性の3倍以上になる。

女性は男性より早めにがんに備える必要がありそうだ。がんになると治療費などがかさむだけでなく、それまでのように働けなくなって収入が減ることも多く、家計への影響が大きい。

 …

 厚労省の医療給付実態調査(20年度)でがんの医療費を見ると、乳がんは入院で約59万円で入院外(外来など)が約5万9000円、子宮がんは約64万円と約3万3000円。保険適用前の金額なので3割負担の現役世代なら窓口で払うのは、乳がんが約18万円と約1万8000円、子宮がんは約19万円と約1万円になる。医療費の負担を抑える健康保険の高額療養費制度を利用できれば、入院・入院外合わせても10万円未満で収まるケースもありそうだ。

 ただ治療にかかる費用は病院に払う医療だけではない。差額ベッド代や食事代の一部、診断書作成料といった「病院に支払うその他のお金」、交通費や健康食品、医療用かつら(ウィッグ)など「病院以外に支払うお金」も必要になる。これらはいずれも保険適用外だ。乳がんの経験者であるファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子氏は「治療によっては脱毛や皮膚障害などが発生する。外見が気になる女性は個室を希望したり、高額なウィッグを作ったりして医療費以外の出費が男性より膨らみやすい」と説明する。>

とのことです。

【管理人の感想】
これは管理人のお客様から数年前に聞いた話です。

そのお客様の勤務先に、がんの通院治療をしながら働いている社員がおり、その方は「限度額適用認定証」など、公的保険制度の使えるものはすべて使って経済的負担の軽減を図っているものの、「(負担が)苦しい」とこぼしていたそうです。

働きながら治療できるようになったとはいえ、治療費負担軽減の備えだけでは十分とは言えないということでしょう。

さて、今回の記事は治療費の負担軽減の手段として、医療保険(女性疾病特約やがん診断一時金特約等を付加したプラン)を取り上げていました。記事に登場するのはオリックス生命保険と三井住友海上あいおい生命保険の医療保険です。

女性疾病特約と一口に言っても、保障範囲はかつてのように女性特有の疾病で入院した際に、給付金日額が上乗せされるというだけではありません。

乳房再建術や、子宮、卵巣への手術に対する給付金支払に加え、抗がん剤治療の副作用に伴う脱毛に給付金を支払うものまであります。もちろんがん保険にも、抗がん剤治療の副作用に伴う脱毛に給付金を支払うものがあります。

また記事には登場しませんが、一部の生命保険会社では、三大疾病による所定の状態も就労不能保険の保障範囲に加えるプランを用意しています。そうしたプランも「がん保障」として検討されてはいかがでしょうか。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-2023年5月13日 日本経済新聞朝刊-

【働く女性、がん治療に備え―まず50万円超、生活費も貯蓄】

 東京都内に住む女性会社員のAさん(40)は昨年受けた人間ドックで精密検査が必要といわれ、病院を受診したところ「乳がん」と診断された。医師から切除手術と抗がん剤治療を勧められた。近く手術を受ける予定だが、一人暮らしのAさんは「貯金が少なく、十分な備えがない」。医療費の負担や仕事への影響を気にしている。

 国立がん研究センターの統計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性が65.5%、女性が51.2%(2019年)と男性の方が高い。ところが20~50代の年齢で見ると、がん患者は女性の方が多い。特に30~40代は女性が男性の2倍以上に上る。また厚生労働省の19年の調査では、仕事を持ちながらがんで通院する人は44.8万人で、約6割を女性が占める。60歳未満に限ると女性は男性の3倍以上になる。

女性は男性より早めにがんに備える必要がありそうだ。がんになると治療費などがかさむだけでなく、それまでのように働けなくなって収入が減ることも多く、家計への影響が大きい。

 まずはどんながんが多く、治療にいくらかかるか知っておきたい。現在、女性の罹患で最も多いのは乳がんで約9人に1人がかかるとされる。その後、大腸がん(結腸がんなど)、肺がん、胃がん、子宮がんと続く。20~40代の若い世代では、乳がんに加え、子宮がんの一種である子宮頸がん、卵巣がんといった女性特有のがんが多い。

 厚労省の医療給付実態調査(20年度)でがんの医療費を見ると、乳がんは入院で約59万円で入院外(外来など)が約5万9000円、子宮がんは約64万円と約3万3000円。保険適用前の金額なので3割負担の現役世代なら窓口で払うのは、乳がんが約18万円と約1万8000円、子宮がんは約19万円と約1万円になる。医療費の負担を抑える健康保険の高額療養費制度を利用できれば、入院・入院外合わせても10万円未満で収まるケースもありそうだ。

 ただ治療にかかる費用は病院に払う医療だけではない。差額ベッド代や食事代の一部、診断書作成料といった「病院に支払うその他のお金」、交通費や健康食品、医療用かつら(ウィッグ)など「病院以外に支払うお金」も必要になる。これらはいずれも保険適用外だ。乳がんの経験者であるファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子氏は「治療によっては脱毛や皮膚障害などが発生する。外見が気になる女性は個室を希望したり、高額なウィッグを作ったりして医療費以外の出費が男性より膨らみやすい」と説明する。

 こうした病院以外に支払うお金なども考慮すると「1年目は治療費として50~100万円、さらに収入減にも備えるなら生活費3~6ヵ月分の預貯金を準備しておくとよい」(黒田氏)。負担を減らす公的な制度がすぐに利用できなかったり、手続きに時間がかかったりすることもある。数ヵ月間、治療に専念できる経済的備えがあれば、がん診断後の不安も和らげることができる。

 「働く女性は勤め先の健康保険の給付や福利厚生、休暇制度を事前に確認しておきたい」と看護師でFPの黒田ちはる氏は助言する。健保組合によっては独自に医療費の上限額を決めて超えた金額を払い戻す「付加給付」を導入している。高額療養費に上乗せする仕組みなので戻ってくる金額が多くなる。健保には働けなくなったときに月収の3分の2に相当する額を1年6ヵ月間支給する傷病手当金もある。またウィッグの費用を助成する自治体も多いので調べておくとよい。

 こうした制度を知ったうえで蓄えが足りなかったり、治療が長引くのが不安だったりするなら民間の保険が選択肢になる。若い女性では預貯金が十分でないとか、貯金があっても教育費や住宅ローンの返済などで使い道が決まっている場合があり、保険の必要性が高そうだ。

 女性向け医療保険は、女性特有や女性に多い病気に対する保障を厚くした商品だ。通常の医療保険に女性向けの特約を付加するものもある。乳房や子宮、妊娠・出産に関する症状などの入院・手術の費用をカバーする。がんは乳がんや子宮がんに限らず、大腸がんや胃がんなどほかの部位も対象になる。

 「キュア・レディ・ネクスト」はオリックス生命保険の女性向け医療保険。1日あたりの入院日額を通常の医療保険に5000円上乗せし「個室に入りたい女性のニーズにも応えられる」と説明する。上乗せ分を合わせた日額1万円の一般的なプラン(1入院の支払限度日数60日)だと保険料(月額、終身払い)は30歳で2145円、40歳は2410円。がんと診断されたときなどに一時金(50万円)が出る特約を付けると2940円、3435円になる。

 三井住友海上あいおい生命保険の医療保険「&LIFE 医療保険A(エース)セレクト」に「女性疾病給付特約」を付けると入院給付金が2倍になる。入院10日目まで一律10万円が出るプラン(同60日)は月額の保険料(終身)が30歳で2560円で40歳は2675円。50万円の一時金が出る「ガン診断給付特約」を付けると3147円、3461円になる。

 女性向けの医療保険は保障が分厚い分、通常の医療保険より保険料は高めだ。加入は30~40代が中心。がんだけではなく、妊娠・出産のリスクや他の病気に備えたいという女性も多いようだ。

以上です。