アフラック生命の第2四半期(上半期)業績。

11月22日、アフラック生命保険はHPにて、2024年度第2四半期(上半期)業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
11/22・ニュースリリース 2024年度第2四半期(上半期)報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約の減少止まらず

個人保険の保有契約件数は前年同期末比で減少していました。保有契約の大半を占めるがん保険、医療保険の保有契約件数ですが、どちらも前年同期末比で減少していました。

また、個人保険及び医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料も前年同期末比で減少していました。

う~ん…保有契約の減少が止まりませんね。

2.新契約も減少
個人保険の新契約件数は前年同期比99.5%と減少していました。2大看板商品のがん保険と医療保険の新契約件数ですが、がん保険は前年同期比93.8%、医療保険は前年同期比92.5%どちらも減少していました。

一方、個人保険の新契約年換算保険料は前年同期比で101.4%、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は前年同期比で100.7%とどちらも増加していました。

新契約の増加が続きませんね。医療保険は今夏に保障内容とブランドを刷新したばかりです。その効果が出たのかどうかは第3四半期の業績でわかることでしょう。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数 ( )内は前年度実績
・個人保険….2212万5000件 (2266万9000件)

・個人年金保険…33万2000件 (32万9000件)

・個人保険+個人年金保険…2245万7000件 (2299万8000件)

 うちがん保険…1416万8000件 (1453万8000件)

 うち医療保険…546万8000件 (559万1000件)

〇新契約
・個人保険…40万4000件 前年同期比99.5%

 うちがん保険…27万件 前年同期比93.8&

 うち医療保険…7万件 前年同期比92.5%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…1兆1984億円 (1兆2266億円)

・個人年金保険…1027億円 (964億円)

・個人保険+個人年金保険…1兆3011億円 (1兆3230億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…9790億円 (9981億円)

2)新契約
・個人保険…284億円 前年同期比101.4%

・個人保険+個人年金保険…284億円 前年同期比101.4%

 うち医療保障・生前給付保障等…253億円 前年同期比100.7%

〇保険料等収入、経常利益、中間純利益
・保険料等収入…6598億円 前年同期比102.6%

・経常利益…2708億円 前年同期比122%

・中間純利益…1926億円 前年同期比122.3%

〇三利源 ( )内は前年度実績
・危険差益…870億円 (1038億円)

・費差損益…390億円 (441億円)

・利差損益…1046億円 (801億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…2306億円 前年同期比101.1%

・ソルベンシー・マージン比率…1162.9% (1063.7%)

以上です。

↑裏庭のアラカシで翅を開いたムラサキシジミ♀(今月撮影)。

オリックス生命の第2四半期業績。

11月28日、オリックス生命保険はHPにて、2024年度第2四半期(上半期)業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
11/28・リリース 2024年度第2四半期(上半期)決算報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は減少続く

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は前年同期末比でいずれも減少していました。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料も前年同期末比で減少していました。

数年前から保有契約の減少傾向が続いています。

2.新契約に明るい兆し
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で84.1%、96.1%、100.8%となっていました。件数・契約高は依然として減少が続いていましたが、年換算保険料は増加に転じていました。

料率改定を行った終身保険が契約を伸ばしたことが大きな要因のようです。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比で65.2%と大きく落ち込んでいました。医療保険とがん保険の新契約が伸びなくなった状況が続いているようです。

〇主要業績の内容
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記リリースより抜粋・転載)。

〇保有契約 ( )内は前年度実績
1)件数

・個人保険…477万3000件 (485万8000件)

・個人年金保険…5万件 (9万2000件)

2)契約高
・個人保険…13兆8300億円 (14兆1866億円)

・個人年金保険…2173億円 (2514億円)

・団体保険…8345億円 (8007億円)

〇新契約
1)件数

・個人保険…8万3000件 前年同期比84.1%

2)契約高
・個人保険…4071億円 前年同期比96.1%

〇年換算保険料
1)保有契約 ( )内は前年度実績

・個人保険…3408億円 (3409億円)

・個人年金保険…272億円 (401億円)

・個人保険+個人年金保険…3681億円 (3810億円)

 うち医療保障・生前給付保障等…2087億円 (2155億円)

2)新契約
・個人保険…119億円 前年同期比100.8%

・個人保険+個人年金保険…119億円 前年同期比100.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…43億円 前年同期比65.2%

〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益
・保険料等収入…2304億円 前年同期比103.9%

・保険金等支払金…1198億円 前年同期比98.4%

・当期純利益…96億円 前年同期比397.5%

〇基礎利益、ソルンベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…91億円 前年同期比72.8%

・ソルベンシー・マージン比率…1090.6% (984.5%)

以上です。

↑秋の味覚(庭先の腐熟柿)を堪能する2頭のキタテハ秋型の♂(11月撮影)。

ソニー生命の第2四半期業績。

11月14日、ソニー生命保険はHPにて、2024年度第2四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
11/14・ニュースリリース 2024年度第2四半期(上半期)業績のご報告(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は堅調に増加

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比で97.4%、103.4%、100.5%と件数こそ落ち込みましたが、契約高と年換算保険料は増加していました。

また、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期末比で129%、136.4%、132%といずれも二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年同期末比で97%と減少していました。既に医療保険の自社商品の新契約引き受けを終了しているため、今後も減少していくことでしょう。

保有契約は今期も堅調に増加したようです。

2.新契約も増加
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で100.5%、108.5%、126.5%といずれも増加していました。

また。個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で117.8%、129%、119.3%といずれも二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比で93.6%でした。

新契約も堅調だったことがうかがえます。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…747万6000件 前年同期末比97.4%

・個人年金保険…168万2000件 前年同期末比129%

・個人保険+個人年金保険…915万8000件 前年同期末比102%

2)契約高
・個人保険…57兆3916億円 前年同期末比103.4%

・個人年金保険…11兆4068億円 前年同期末比136.4%

・個人保険+個人年金保険…68兆7984億円 前年同期末比107.7%

・団体保険…1兆2381億円 前年同期末比91.5%

・団体年金保険…32億円 前年同期末比81.3%

〇新契約
1)件数

・個人保険…15万1000件 前年同期比100.5%

・個人年金保険…21万9000件 前年同期比117.8%

・個人保険+個人年金保険…37万件 前年同期比110.1%

2)契約高
・個人保険…3兆7047億円 前年同期比108.5%

・個人年金保険…1兆7052億円 前年同期比129%

・個人保険+個人年金保険…5兆4100億円 前年同期比114.2%

・団体保険…54億円 前年同期比218.1%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9252億円 前年同期末比100.5%

・個人年金保険…3173億円 前年同期末比132%

・個人保険+個人年金保険…1兆2425億円 前年同期末比107%

 うち医療保障・生前給付保障等…2095億円 前年同期末比97%

2)新契約
・個人保険…432億円 前年同期比126.5%

・個人年金保険…445億円 前年同期比119.3%

・個人保険+個人年金保険…877億円 前年同期比122.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…42億円 前年同期比93.6%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、中間純利益
・保険料等収入…9442億円 前年同期比120.4%

・保険金等支払金…5342億円 前年同期比118.1%

・経常利益…102億円 前年同期比63.5%

・中間純利益…57億円 前年同期比57.3%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…614億円 前年同期比72.6%

・ソルベンシー・マージン比率…2015.2% (1777.7%)

以上です。

↑晩秋の日差しを浴びるマユタテアカネ♂(11月撮影)。

日本生命、平準払終身保険などで予定利率引き上げへ。2025年1月2日の新契約からが対象。

11月21日、日本生命保険はHPにて、2025年1月2日以降の新契約を対象に、平準払終身保険などの予定利率を引き上げることを発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
11/21・ニュースリリース 保険料率等の改定について(PDF)

【管理人の感想】
予定利率が引き上げられるのは学資保険やこども保険、一時払を除く年金保険、養老保険、終身保険などの13種類です。現行の予定利率が0.25%と最も低く抑えられている平準払終身保険や長期定期保険などは、改定後の予定利率が0.40%に引き上げられます。

現在、標準責任準備金の計算基礎率のひとつである予定利率(標準利率)が0.25%に引き下げられている状態ですが、保険料の計算基礎率のひとつである予定利率を引き上げても、標準責任準備金を積み立てることが可能であると判断したのでしょう。

【公式コメントの内容】
以下、日本生命の公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

【保険料率等の改定について】
 日本生命保険相互会社(社長:清水博)は、2025年1月から、個人保険・個人年金保険の保険料率及び保険契約者に対する貸付の貸付利率(以下、「契約貸付利率」)を改定します。

 今回の保険料率の改定は、現在の運用環境、市中金利動向等の状況を踏まえ、契約日が2025年1月2日以降の個人保険・個人年金保険の一部商品について、約40年ぶりに予定利率の引き上げを実施します。

 これに伴い、年金保険や終身保険(一時払を除く)等の一部保険契約において従来よりも割安な保険料でご加入可能となります。

 加えて、予定利率の引き上げにあわせ、契約貸付利率の見直しを実施します。

以上です。

↑庭先の腐熟柿にやってきたキタテハ秋型♀の集団(11月撮影)。

日本生命が収NEW1(入院継続時収入サポート保険)の販売を停止へ-日経報道。

11月12日の日本経済新聞朝刊に、日本生命の保険商品に関する記事がありました。

記事によると、

< 日本生命保険は入院の長期化により、契約者が収入減に備えてはいる就業不能保険※の新規取り扱いを2025年1月2日に停止する。給付金を多く受け取れるように、入院期間を調整するといった不正が増えているためだ。>

※管理人補足:正しくは入院継続が14日以上に及んだことで生じる収入の減少に備える「入院継続収入サポート保険」であり、就業不能保険ではありません。また、この保険は主力商品である「みらいのカタチ」を構成する保険商品で、ほかの保険(例えば入院保障の保険)と組み合わせる専用商品です。

とのことです。

【管理人の感想】
11月17日時点で、日本生命は公式コメントを発表していません。そのため、記事の内容が正式に決定した事実かどうかは不明です。

記事の内容が事実であれば、支払い査定時にモラルリスク、あるいはそれを強く疑う事案(例えば、請求事由である入院の原因と入院継続日数を精査すると、入院継続が「医師に指示に基づくもの」なのか疑わしいがモラルリスクと断定するには至らないなど)が想定以上に確認されたことになります。

こうしたモラルリスクの混入及びその排除の難しさは、日本生命に限った話ではありませんし、今に始まったことでもありません。1970年代に損害保険商品の「就労不能補償保険」でも、モラルリスクが保険会社の想定を超えて発生し、各保険会社を悩ませました。

入院一時金の保険や特約では、新型コロナウイルス感染症による「みなし入院」が支払事由となったことで、告知義務違反やその疑いが強い事案が増えたため、そうした保障を取り扱っている保険会社は、給付金額の上限を相次いで引き下げるなどの対策を取りました。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-2024年11月12日 日本経済新聞朝刊-

【日生、就業不能保険の新規販売停止へ 不正増加受け】

 日本生命保険は入院の長期化により、契約者が収入減に備えてはいる就業不能保険の新規取り扱いを2025年1月2日に停止する。給付金を多く受け取れるように、入院期間を調整するといった不正が増えているためだ。

 販売を停止するのは21年7月から取り扱っている「収 NEW1」という就業不能保険。入院期間が14日以上になった場合、一時金を給付することで入院費用の負担を軽減できる点を訴求していた。

以上です。

↑庭先の腐熟柿にやってきたクロコノマチョウ秋型の♀(10月撮影)。

窓販向け外貨建一時払終身保険に改定の動き。商品改定や手数料体系変更へ-日経報道。

10月8日の日本経済新聞朝刊に、金融機関の窓口で取り扱う外貨建一時払終身保険に関する記事がありました。

記事によると、

< 生命保険各社が外貨建保険を見直している。MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上プライマリー生命保険は2025年4月をめどに運用含み益が目標値に届くと円建に自動で切り替わる「目標到達型」を一部商品でなくす方針だ。T&Dフィナンシャル生命保険は10月から目標値を設けない商品を加える。

 …

 三井住友海上プライマリー生命は25年4月をめどに商品設計を見直す方針だ。資産形成ニーズの高い商品では運用目標値の下限を105%から120%に引き上げ、死亡保障を重視する商品では目標設定をなくす。

 T&Dフィナンシャル生命保険は10月から外貨建保険の品ぞろえに目標を設定しないタイプの商品を加えた。一部の大手銀行や地方銀行から引き合いがあり、三菱信託銀行など4つの金融機関が取り扱う。

 第一生命ホールディングス傘下の第一フロンティア生命保険も今月から外貨建保険の運用目標を下限の105%から120%に引き上げる。

 外貨建保険の商品設計を見直す動きは大手が先行する。日本生命保険と明治安田生命保険は25年4月以降の新契約分から目標到達型の販売を取りやめる方針を既に発表している。日本生命は販売会社に支払手数料も見直す。25年4月以降の初年度手数料を新契約から引き下げる。これまでは大半の契約で初年度手数料が全体の9割を占めていたが、半分程度にする。>

とのことです。

【管理人の感想】
管理人が確認した限りですが、窓販向けの外貨建一時払終身保険における、商品改定及び手数料体系の変更をニュースリリースで公表しているのは日本生命*のみでした。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/28 ニュースリリース【外貨建一時払保険における「顧客の最善の利益」追及に向けた対応について(PDF)

商品改定と手数料体系の変更を行うことになった背景には、金融庁が今年7月5日に取りまとめた「リスク性金融商品の販売・組成会社による
顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果等について(2023事務年度)」*での指摘があります。

*1.概要版はこちら※該当ページはP4~6

*2.全体版はこちら該当ページはP9~12

モニタリング結果の中間報告書が公表された際の記事で述べましたが、「外貨建一時払終身で資産形成」なんて意味がありません。保険は保障を確保するために契約すればいいのであって、資産形成であれば株式投資や投資信託という投資性金融商品を購入して、中長期にわたってじっくり資産形成をすればいいのです。

【金融庁の指摘】
以下、モニタリング結果における金融庁の指摘概要です(全体版P9~12より抜粋・転載)。

(1)リスク性金融商品の販売・管理等における態勢面の課題等

〇リスク性金融商品の販売会社等におけるモニタリングの着眼点

①プロダクトガバナンス態勢の整備・構築
 顧客の最善の利益の実現を図る観点から、販売会社においても、適切な検証期間の下でのリスク・リターンの合理性等20や自らの想定顧客層に適した金融商品かどうかについて検証を行った上で、顧客の最善の利益の追求に資するリスク性金融商品の導入を判断することが重要である。

 また、金融商品を導入した後も、販売実績等を基に商品性を継続的に検証し、必要に応じて商品の見直し等を行うことが重要である。

②販売・管理態勢及び従業員に対する適切な動機付けの枠組み等の整備・構築
(イ)販売・管理態勢

 販売会社は、複雑又はリスクの高い金融商品の販売・推奨等を行う場合には、コスト(名目を問わず、顧客が負担する手数料その他の費用)やリスク・リターン等といったリスク性金融商品の販売・推奨等に係る重要な情報について、他の金融商品と比較しながら顧客に分かりやすく提供すべきとされている。

 また、販売会社は、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズ等を把握した上で、同顧客にふさわしい金融商品の販売・推奨等を行うべきとされている。

(ロ)従業員に対する適切な動機付けの枠組み等
 販売会社は、顧客本位の業務運営を確保する観点から、適切な販売・管理等を促進するよう、報酬・業績評価体系等といった従業員に対する適切な動機付けの枠組み等を整備等すべきとされている。

(※)上記①及び②に係る整備・構築を進めていく中で、必要に応じて、販売会社と組成会社とが連携して取り組むことが期待される。

(2)販売会社等へのモニタリング結果
 今事務年度、上記(1)を着眼点として個別のリスク性金融商品の販売・管理態勢等についてモニタリングを行った結果、以下の課題及び工夫事例が見られた。

①外貨建一時払保険
(イ)プロダクトガバナンス態勢

 多くの重点先(販売会社)では、リスク・リターン検証を十分に行わないまま、実質的な議論を行うことなく、予定利率や積立利率といった表面金利等の形式的な情報を踏まえて商品を導入していた。なお、金融庁において、実際に販売されている外貨建一時払保険に係る実態を把握する観点から、同保険商品の一部について運用パフォーマンス分析を行った(下記【参考①】参照)。

【参考①】金融庁における外貨建一時払保険の運用パフォーマンス分析
(1)金融庁において、代表的な運用型の外貨建一時払保険(8商品)の運用パフォーマンスを分析したところ、2023年8月末時点での運用終了分の同保険は、少なくとも今般のモニタリング実施時での販売・管理の下では、継続期間5年以上の同保険と比べて劣後していることが分かった。

(2)次に、2023年8月末時点での運用終了分の外貨建一時払保険について、運用パフォーマンスが劣後している背景について、以下①及び②のとおり、分析を行った。

 ①外貨建一時払保険は、長期保有を前提に販売されている商品であるが、少なくとも今般のモニタリング実施時での販売・管理の下では、ターゲット型保険を中心に同保険購入後4年間で約6割の解約等が発生していることから、契約継続期間の平均は2.5年と短期化している。

 ②契約継続期間の短期化に伴い、顧客が複利運用効果が十分に享受できていない可能性があるほか、解約や運用終了に伴い発生する費用(市場価格調整と解約控除)が利幅を押し下げている状況が窺われた。

(ロ)販売・管理態勢
 多くの重点先(販売会社)では、運用型の外貨建一時払保険について、マネープランガイド等における商品カテゴリー毎のリターン・コスト等の大まかな大小比較を示すにとどまり、個別の金融商品の重要な情報について、他の金融商品と比較しながら説明・提案することが十分にできていなかった。

 多くの重点先(販売会社)では、「株・債券・為替という言葉は知っているが、詳しくは知らない」といった為替・金利リスクを理解できていない可能性の高い顧客や、「安定的な運用をして資金準備をしたい」といったリスク許容度が低いと考えられる顧客に外貨建一時払保険を販売していた(下記【参考②】参照)。

 なお、一部の重点先(販売会社)の第2線・第3線では、営業現場において顧客属性を適切に把握した上で、同顧客にふさわしい金融商品を販売しているか、顧客本位の観点からの検証・監査が十分に実施されていなかった。

【参考②】外貨建一時払保険の販売先(顧客層)に関する、金融庁による検証の結果
 「元本毀損するとは聞いていない」といった苦情が発生していることを踏まえて、金融庁において、販売会社における347名分の顧客カードを分析したところ、2割の顧客で外貨建一時払保険を購入するための知識・投資経験不足の懸念や投資方針との不一致の懸念が認められた。

○上記のほか、ターゲット型保険について、長期保有を前提に販売されているにもかかわらず解約が多い状況を踏まえ(上記【参考①】参照)、販売・管理態勢を検証したところ、以下の課題が見られた。
 
 ・多くの重点先(販売会社)では、目標値に到達したターゲット型保険の多くが解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する乗換販売が発生していた。なお、こうした乗換販売は、販売手数料等が二重に発生することを考慮すると、必ずしも顧客にとって経済合理性があるとは言えないと考えられる。

 ・一部の重点先(販売会社)では、保障・相続ニーズがある顧客に外貨建一時払保険を販売しているとしているが、解約した顧客についてはこれらのニーズが充たせていない可能性がある。

(ハ)販売後の管理(顧客のフォローアップ)及び手数料体系(適切な動機付けの枠組み)

○販売後の管理(顧客のフォローアップ)に係る工夫事例

 外貨建一時払保険のうち、ターゲット型保険の多くが目標値に到達すると解約されており、

 ・解約に伴い発生する費用が顧客の利幅を押し下げていること、

 ・解約後、同一商品を同一顧客に販売する乗換販売が発生していること、

 が確認された。これらへの対応の一つとして、一部の販売会社又は組成会社において、ターゲット型保険を保有する顧客が同保険を解約する前に、営業現場の適切なフォローアップを行うよう促す取組みなど、以下の工夫事例が見られた。

☆販売会社における工夫事例
事例1:乗換販売を防止する観点から、適切なフォローアップを行った職員に対してプラスの業績評価を行うこととした事例

事例2:顧客が低い目標値を設定しているターゲット型保険について、優先的にフォローアップを開始した事例

☆組成会社における工夫事例
事例1:販売会社が目標値到達前に顧客に対して適時・適切なフォローアップができるよう、定期的又は販売会社の要請に応じて、目標値が設定されているターゲット型保険に係る契約一覧を販売会社に提供している事例

事例2:乗換販売発生の主要因を販売会社におけるターゲット型保険のフォローアップ態勢の不備と判断し、販売会社の態勢改善が確認できるまで、新たなターゲット型保険の商品組成を行わないこととした事例

○手数料体系(適切な動機付けの枠組み)の検証結果
 上記の工夫事例において掲げられる顧客への丁寧なフォローアップを行う販売会社は限られている。この背景の一つとして、多くの重点先では、販売会社が組成会社から受け取る手数料の体系が、顧客へのフォローアップ等を行う役務負担に見合ったものとなっていないことが考えられる。

 具体的には、実務上、初年度の役務(商品説明・契約等)の負担に比べて、2年目以降から満期までの役務(顧客へのフォローアップ等)の負担合計の方が大きい状況が見受けられるものの、販売会社が組成会社から受け取る手数料の体系を見ると、初年度の比重が高いL字型(例えば、初年度5.5%、2年目以降0.1%等)やⅠ字型が採用されており、同手数料体系の下では「販売後のフォローアップ」以上に「販売勧誘(商品説明・契約等含む)」が促されていたと考えられる。

 なお、一部の重点先では、こうした手数料体系に問題意識を持った上で、見直しを検討していることが確認された。

以上です。

↑夕暮れを迎え、眠りについたツマグロヒョウモン♀(10月撮影)。

がん保険と自由診療について。

今回は、少しづつ増えてきた「自由診療を保障するがん保険」と「自由診療」について書いて参ります。

管理人が現在勤務している乗り合い募集代理店で取り扱っている生命保険会社のがん保険のうち、3社のがん保険は主契約に組み込む形や特約で「自由診療」を保障対象としています。

では、そうしたがん保険は「すべての自由診療」を保障対象とするのか?

答えはNOです。

では、保障される「自由診療の定義」とは?と申しますと、弊社が取り扱っている3社のがん保険のうち、外資系生保のがん保険の場合は以下のように定めています。

<支払事由>
診断確定されたガンの治療を目的として、下記①②のいずれかの療養で入院又は通院*1をされたとき

患者申出療養*2または評価療養

②特定病院において行われる所定の自由診療

ただし、次の療養は除きます。
・先進医療による療養

・乳房再建術や乳輪・乳頭再建術などの形成再建手術

・遺伝子パネル検査(上記②の場合)

*1.治療処置を伴わない薬剤・治療材料の購入・受け取りのみの通院は、「治療を目的とする療養が行われる通院」に該当しません。

*2.療養を受けた日現在、公的医療保険制度に定める療養の給付に関する規定において給付対象となっている療養など、厚生労働大臣が定める患者申出療養でなくなっているものは除きます。

〇特定病院とは
療養を受けた時点で、厚生労働大臣が指定し、もしくは厚生労働大臣による承認を受けた病院、または公益社団法人日本臨床腫瘍学会によって認定研修施設と認められた施設で、以下の通りです。

最新の対象となる特定病院は厚生労働省又は日本臨床腫瘍学会のホームページを参照ください。なお、これらと同等と会社が認めた病院または診療所を含みます。

◇がん診療連携拠点病院等
・都道府県がん診療連携拠点病院

・地域がん診療連携拠点病院

・国立研究開発法人国立がん研究センター

・特定領域がん診療連携拠点病院

・地域がん診療病院

・小児がん拠点病院

・小児がん中央病院

・がんゲノム医療中核拠点病院

・がんゲノム医療拠点病院

・がんゲノム医療連携病院

・特定機能病院

◇日本臨床腫瘍学会認定研修施設:公益社団法人日本臨床腫瘍学会によって認定研修施設と認められた施設

では、民間クリニックが自由診療として行っている免疫細胞療法(ANK細胞療法など)は?と申しますと…論外ですね。そもそも、民間クリニックが行っている免疫細胞療法や代替療法(フコイダン等)は、エビデンスが乏しいあるいはまったくない代物(インチキ)です。

免疫細胞療法は一時期先進医療として行われていましたが、治療効果がないため先進医療から削除されました。そのひとつであるANK細胞療法(NK細胞を体外で培養・活性化させて体内に戻し、がんを攻撃させるというもの)が何故治療効果が得られなかったのかについては、2013年に東北大学が科学的に解明しています。

↑よそ様のキバナコスモスにやってきたホシホウジャク(9月撮影)。

手術給付金等の支払いを巡る裁定事案(故意または重大な過失。和解成立)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年4~6月の裁定概要集(PDF)に、手術給付金等の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 故意または重大な過失を理由に、手術給付金等が支払われなかったことを不服として、手術給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年11月に橋梁から落下した事により、外傷性くも膜下出血、肺挫傷、右尺骨近位骨幹部解放骨折等を受傷し、令和5年2月まで入院して複数回手術を行ったため、平成21年9月に契約した医療保険にもとづき手術給付金を請求したところ、自分の故意または重大な過失を理由に給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、手術給付金等を支払ってほしい。

(1)自分は、いつも使っている歩道ではなく、間違えて反対側の歩道ないし車道を歩行していたものであって、うっかり道を間違えることは、わずかな注意だけで防ぎきれるものではなく、重大な過失には相当しない。

(2)飲酒後かつ仕事の疲れ、眠気等もあった状態で、注意力が散漫になった結果、うっかり車道を歩いてしまったことは、自分の過失であるかもしれないが、重大な過失には該当しない。

(3)自分には、車道から反対側の車道に移動しようとしてガードレールを乗り越えたという認識はなく、あくまで、危険回避のために車道から歩道に移動しようとしてガードレールを乗り越えようとしたものであるから、この点からも重大な過失には相当しない。

(4)保険会社の主張は、調査会社の調査員が自分と面談した際の報告書の内容を基礎としているところ、同報告書には、自分が実際には話していない誤った内容が報告されており、問題である。

この事案は和解が成立しています。

申立人は橋梁から河川敷に転落してしまったようですが、よく助かったものです。

今回の事案で問題となったのは、調査員の報告書が不適切なものであって、それをもとに給付金の支払可否の決定がなされたことです。調査による報告書は支払可否に大きく影響するものなのですから、それを不適切なものするとは言語道断でしょう。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年4~6月裁定概要集P28~30より転載)。

[事案2023-291]手術給付金等支払請求
・令和6年6月30日 和解成立

<事案の概要>
 故意または重大な過失を理由に、手術給付金等が支払われなかったことを不服として、手術給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年11月に橋梁から落下した事により、外傷性くも膜下出血、肺挫傷、右尺骨近位骨幹部解放骨折等を受傷し、令和5年2月まで入院して複数回手術を行ったため、平成21年9月に契約した医療保険にもとづき手術給付金を請求したところ、自分の故意または重大な過失を理由に給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、手術給付金等を支払ってほしい。

(1)自分は、いつも使っている歩道ではなく、間違えて反対側の歩道ないし車道を歩行していたものであって、うっかり道を間違えることは、わずかな注意だけで防ぎきれるものではなく、重大な過失には相当しない。

(2)飲酒後かつ仕事の疲れ、眠気等もあった状態で、注意力が散漫になった結果、うっかり車道を歩いてしまったことは、自分の過失であるかもしれないが、重大な過失には該当しない。

(3)自分には、車道から反対側の車道に移動しようとしてガードレールを乗り越えたという認識はなく、あくまで、危険回避のために車道から歩道に移動しようとしてガードレールを乗り越えようとしたものであるから、この点からも重大な過失には相当しない。

(4)保険会社の主張は、調査会社の調査員が自分と面談した際の報告書の内容を基礎としているところ、同報告書には、自分が実際には話していない誤った内容が報告されており、問題である。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)車道と車道の間にある隙間を仕切っていたガードレールを乗り越えて反対側の車道に移動することは危険であると認識できるし、隙間の幅も2~3mほどあり、隙間を見落とすことは考えにくいため、一般人が、わずかに注意すれば転落事故発生の危険があることは容易に予想・予見ができ、その結果、中央のガードレールを乗り越えることを注視して、危険を避けることは可能であった。

(2)よって、申立人は著しく注意を欠いた行動の結果により河川敷に転落したものであって、本事故は、申立人の「重大な過失」を原因として発生したと考えられるため、手術給付金等については免責事由が認められる。

(3)仮に、本事故の状況が申立人の主張のとおりだとしても、橋梁は肩側車道が3車線の広い道路であり、この車道を歩いて進んでいたことは事故に遭う危険の高い行為と考える。また、車道と歩道はガードレールで区別された構造となっており、転落地点まで車道を歩いていることに気付かなかったことは極めて考えづらい状況である。さらに、申立人が、ガードレールを乗り越えて歩道に戻ろうと考えたのだとしても、実際には、その先に歩道はなく隙間があったのだから、申立人はこのことに容易に気付くことができ、わずかな注意をすれば転落は回避できるものと考えるため、いずれにせよ、重大な過失が認められる。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本事故の状況等を把握するため、申立人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の請求は認められないが、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意を得られたので、手続を終了した。

(1)事故当時の状況や申立人の怪我の部位などについて、保険会社が委託した調査会社の調査員による申立人の聴取結果の報告が適切に行われていなかったことがうかがえるところ、保険会社が、そのような不適切な報告書に依拠した事実認定を行い、申立人に対して給付金の不支給を通知したことが、申立人に不信を抱かしめ、本件紛争の一因となった面があることは否めない。

以上です。

↑9月上旬に撮影したアキアカネ♂。

金融庁がFPパートナーに対し報告徴求命令を発出-日経報道。

9月6日の日本経済新聞朝刊に、訪問型の大手保険乗合募集代理店であるFPパートナーに対し、報告徴求命令を発出したとの記事がありました。

記事によると、

< 金融庁が6日、大手保険代理店のFPパートナーに保険業法に基づく報告徴求命令を出したことが分かった。同社に多額の広告費を支払った生命保険会社の保険商品を優先して顧客に勧めていたと指摘されている問題について、販売実態などの報告を求めたとみられる。>

とのことです。

【管理人の感想】

10月13日時点で、FPパートナーは今回の報道に関する公式コメントを出していません。また、金融庁も報告徴求命令を発出したというコメントを出していません。

したがって、報道が事実かどうかは不明です。

なお、FPパートナーと生命保険各社の広告費用に関しては、6月18日配信の東洋経済オンラインにおいて、

<「マネードクター」の名称で保険代理店事業を展開するFPパートナーと、保険販売(募集)を委託している生命保険各社との取引を巡って、金融庁が実態調査に乗り出していることが分かった。

 調査の対象となっているのはFPパートナーの代理申請会社(幹事会社)となっている東京海上日動あんしん生命のほか、アフラック生命保険会社、SOMPOひまわり生命保険、メディケア生命保険、はなさく生命保険など。

 金融庁が生保各社に報告を求めている項目は、①FPパートナーへの広告料の支払い状況と同広告料が適正と判断した根拠、②営業社員(募集人)候補の紹介数、③リーズ(見込み客)情報の提供数、④出向者の状況、⑤そのほかの本業支援の状況、と大きく5つある。

 特に①の広告料については、相場や実態に見合わない不適正な料金を支払っていないか、アフラックやひまわり生命に対して「詳細に報告するよう求めている」(ひまわり生命関係者)という。

 金融庁は、調査によってFPパートナーへの過剰な便宜供与や実質的な利益供与の疑いが強まった場合は、生保各社やFPパートナーへの立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れている模様だ。>

という報道がありました。さらに、この件は生命保険協会が会員各社に調査票を送ることにもなりそうです。9月7日の日経電子版に

< 生命保険協会は加盟社の生命保険各社に対し、保険代理店に対する便宜供与の実態を調べるよう要請する。代理店が生命保険会社から広告陽の名目で多額の金銭を受け取り、顧客のニーズに合っていない保険商品を勧めていた疑いが浮上しているためだ。実態の把握を通じて、商慣行の健全化につなげたい考えだ。

 10月上旬を期限とし、近く加盟社に調査票を送る。金融庁にも回答の内容を報告する。

 生保各社に回答を求める質問はおよそ20項目に及ぶ。「業務委託費や広告費、協賛金などの名目で役務の対価としての実態がない金銭を受給しているか」「自社の保険商品だけを取り扱うことを条件に(代理店へ支払う)手数料を加算していないか」などだ。生保協には約40社が加盟している。

 生保協が調査に乗り出すのは、便宜供与と疑われかねない事例が出てきているためだ。「マネードクター」を運営する大手代理店のFPパートナーが、保険会社から市場の実態と離れた多額の広告費を受け取っていたことが明らかになっている。各社の広告費の有無やその水準が、FPパートナー側が顧客に勧める商品に影響を及ぼしていた可能性がある。保険会社が広告費などの名目で便宜を供与していたとすれば、顧客の意向に沿った提案をゆがめる恐れが強まる。>

との記事がありました。仮にそうした報道が事実で、広告費の多寡が推奨商品の選定を左右していたとなれば、金融庁から行政処分が下されるかもしれません。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-2024年9月6日 日本経済新聞朝刊-

【金融庁、FPパートナーに報告命令】

 金融庁が6日、大手保険代理店のFPパートナーに保険業法に基づく報告徴求命令を出したことが分かった。同社に多額の広告費を支払った生命保険会社の保険商品を優先して顧客に勧めていたと指摘されている問題について、販売実態などの報告を求めたとみられる。

 同社はファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員が家計の相談に乗る「マネードクター」を運営する。社員が職場や自宅に赴く訪問型の代理店として業界最大手で、東証プライム市場に上場している。

 金融庁はFPパートナーが生保から多額の広告費を受け取り、広告費の多寡が推奨商品を左右したのではないかと問題視している。保険業法で代理店は複数の保険会社の商品を比べて説明する「比較推奨」のための情報提供が義務づけられている。

 金融庁と生命保険協会は生保各社に対し、代理店への便宜供与の実態を調べるよう近く要請する方針だ。FPパートナー以外でも代理店が生保から広告費の名目で多額の金銭を受け取り、顧客のニーズに合っていない保険商品を勧めていた疑いが浮上している。

以上です。

↑よそ様のキバナコスモスにやってきたナミアゲハ夏型の♂(8月撮影)。

特定疾病保険金の支払いを巡る裁定事案(支払事由非該当)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年4~6月の裁定概要集(PDF)に、特定疾病保険金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款上の支払事由に該当しないことを理由に、特定疾病保険金が支払われなかったことを不服として、保険金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年9月に腺がんの診断が確定したため、平成22年1月に契約した終身保険にもとづき特定疾病保険金を請求したところ、上皮内がんは約款上の支払事由に該当しないとして、保険金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、特定疾病保険金を支払ってほしい。

(1)上皮内がんは上皮から基底膜までに存在し、粘膜固有層から粘膜筋板に存在するのが粘膜内がんであるが、診断書の記載は、上皮内がんではなく粘膜内がんである。

(2)平成26年に約款が改定され、大腸の粘膜内がんは含まれないことが記載されたが、契約当時の約款には、「上皮内がんを除く」との記載だけで「粘膜内がんを除く」との記載がないので、粘膜内がんは支払対象である。仮に保険会社が、契約時に粘膜内がんを除去する意図があったとしても、その意図を自分が推認することは不可能である。

この事案は裁定が終了しています。

特定疾病保険の契約締結前に最も注意しなくてはならないのが、こうした支払事由非該当となるケースについての説明です。

申立人は大腸の粘膜内がん(腫瘍が最も内側の粘膜上皮やそのすぐ外側の粘膜固有層、粘膜固有層の外側の粘膜筋板のいずれかにとどまっており、粘膜下層にまで浸潤していない状態)なので、切除しきってしまえば再発や転移の恐れがほぼない上皮内がんに分類されます。

そのため、申立人のケースは支払事由非該当となるため、特定疾病保険金を支払うことはできません。

では、現在も上皮内がんは一切支払対象外なのか?と申しますと、そうではありません。保険会社によっては上皮内がんを支払対象としていることもあります。

乗合募集代理店を利用して保険相談をされるときは、そうしたことを比較することも重要です。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年4~6月裁定概要集・P41~42より転載)

[事案2022-322]特定疾病保険金支払請求
・令和6年6月25日 裁定終了

<事案の概要>
 約款上の支払事由に該当しないことを理由に、特定疾病保険金が支払われなかったことを不服として、保険金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年9月に腺がんの診断が確定したため、平成22年1月に契約した終身保険にもとづき特定疾病保険金を請求したところ、上皮内がんは約款上の支払事由に該当しないとして、保険金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、特定疾病保険金を支払ってほしい。

(1)上皮内がんは上皮から基底膜までに存在し、粘膜固有層から粘膜筋板に存在するのが粘膜内がんであるが、診断書の記載は、上皮内がんではなく粘膜内がんである。

(2)平成26年に約款が改定され、大腸の粘膜内がんは含まれないことが記載されたが、契約当時の約款には、「上皮内がんを除く」との記載だけで「粘膜内がんを除く」との記載がないので、粘膜内がんは支払対象である。仮に保険会社が、契約時に粘膜内がんを除去する意図があったとしても、その意図を自分が推認することは不可能である。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)大腸がんについては、粘膜内にとどまるものは「上皮内がん」または「粘膜内がん」と表現されるのが一般的であり、がんの進行度を判定する基準として国際的に活用されている国際対がん連合(UICC)による最新の「TNM悪性腫瘍分類第8番」においても、結腸及び直腸のがんの壁深達度(T)については、「Tis 上皮内がん:粘膜固有層に浸潤」の分類があり、「Tis」は「がん細胞が粘膜固有層(粘膜内)に限局し、粘膜筋板から粘膜下層への進展を伴わない」上皮内がんとして定義されていることから、「大腸粘膜内がん」はTisに分類され、「上皮内がん」の扱いになっている。

(2)「大腸がん取扱規約第9版」「本規約とTNM分類の対照表」においても、「Tis がんが粘膜内にとどまり、粘膜下層に及んでいない」と記載されている。

(3)平成26年10月に、約款に「悪性新生物に大腸の粘膜内がんは含まれない」と追記したが、当該変更は「大腸粘膜内がん」の約款上の解釈を変更したものではない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、保険金請求当時の状況を確認するため、申立人に対して事情聴取を行った。また、独自に外部の専門医の意見を求め医学的判断の参考にした。

2.裁定結果
 上記手続の結果、特定疾病保険金の支払いは認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑♀を警護するノコギリクワガタ♂の大歯型に挑むノコギリクワガタ♂の小歯型(5月撮影)。