入院給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和3年4~6月の裁定概要集(PDF)に入院給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
告知義務違反により契約を解除され、入院給付金等が支払われなかったことを不服として、契約解除の取消しと入院給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
S状結腸癌で入院し、腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術を受けたため、令和2年4月に乗り合い代理店を通じて契約した医療終身保険にもとづき入院給付金等を請求したところ、告知義務違反を理由に契約を解除され、給付金が支払われなかった。しかし、告知義務違反の原因事実とされた下痢症の通院歴については、告知手続きの際、募集人に伝えていることから、契約解除を取り消して、給付金を支払ってほしい。

…この事案はすでに和解が成立しています。

申立人が告知書に記入しなかった事実(下痢症)は、給付金の支払い請求原因となったS状結腸癌との因果関係があると認められるため、契約解除にすることに問題はないと思います。

ただ、今回の事案は募集人の契約手続きがあまりに不適切であり、代理店の管理体制にも大きな問題がある事案です。募集人にも代理店にも厳しい処分があってしかるべきです。

【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和3年4~6月裁定概要集・P34~35より転載)。

[事案2020-227]入院給付金等支払請求
・令和3年6月18日 和解成立

<事案の概要>
告知義務違反により契約を解除され、入院給付金等が支払われなかったことを不服として、契約解除の取消しと入院給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
S状結腸癌で入院し、腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術を受けたため、令和2年4月に乗り合い代理店を通じて契約した医療終身保険にもとづき入院給付金等を請求したところ、告知義務違反を理由に契約を解除され、給付金が支払われなかった。しかし、告知義務違反の原因事実とされた下痢症の通院歴については、告知手続きの際、募集人に伝えていることから、契約解除を取り消して、給付金を支払ってほしい。

<保険会社の主張>
下痢症の通院歴が告知された事実はみとめられず、S状結腸癌を治療するための本件入院・手術と、責任開始日前に発生した不告知の疾病(下痢症)との間に因果関係があると認められることから、申立人の請求に応じることはできない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理のほか、申込手続時の事情を把握するため、申立人及び申立人の子ならびに募集人に対して事情聴取を行った。また、医学的判断の参考とするため、独自に第三者の意見を求めた。

2.裁定結果
上記手続きにより、申立人が下痢症の通院歴を募集人に伝えた事実は認められないが、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続きを終了した。

(1)募集人には、①告知・意向確認・申込の一連の手続きを、申立人と面談することなく単独で行ったこと、②告知書面に架空の血糖値を入力したこと、③申立人名の署名をしたことなどの不適切な行為が認められる。

(2)募集人は、高齢者募集ルールについてあらかじめ保険会社に問い合わせしたところ、「代理店さんに任せます。」と言われ、所属代理店では独自の高齢者募集ルールを作成していなかったことから、高齢者募集ルールの適用の要否を検討しなかった。

以上です。

↑6月に撮影したヒカゲチョウ。

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