就労不能状態への備え。

8月21日の日本経済新聞朝刊に、就労不能状態への保険商品に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 日常生活におけるリスクは様々だが、深刻な事態の一つが病気やけがで長く働けなくなったときだろう。治療などの費用がかかる一方で収入が減るため、公的な支援や民間の医療保険ではカバーしきれないことがある。万一に備え、働けない時に収入を補う保険への加入も選択肢となる。

働けなくなったときに収入減をカバーする保険の一つが「所得補償保険」だ。損害保険が販売しており、病気やけがで一定期間、働けなくなった場合に、月10万円といった保険金を受け取れる。

働けないときに保険金が出る商品には「就業不能保険」もある。生命保険会社が扱っており、働けないときに保険金が出るのは同じだ。しかし、所得補償保険とは保険金を受け取るための条件や期間が大きく異なる。>

とのことです。

【管理人の意見】
就業不能保険も所得補償保険も、リビングデス状態における収入の補填を目的としている保険商品です。

就業不能保険は生命保険会社が取り扱っている保険商品で、近年取り扱う保険会社の数が増えてきています。弊社ではあいおい生命やあんしん生命の保険商品を取り扱っています。

収入保障保険に就業不能保障を特則として付加する方法で取り扱っている保険会社もあります。弊社で扱っている保険会社ではソニー生命が該当します。

給付金の支払事由は各社統一ではなく、手元にある保険会社の商品を比較すると

<①身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級、2級または3級の障害に該当したこと。

②①で定める障害に対して、同法にもとづき、障害の級別が1球、2級または3級である身体障害者手帳の交付があったこと。>

<①病気やけがで、国民年金法にもとづき、障害等級1級の状態に該当していると認定されたとき。病気やけがで、約款所定の特定障害状態になったとき。

②病気やけがで、国民年金法にもとづき、障害等級2級の状態(精神障害等を除く)に該当していると認定されたとき。病気やけがで、約款所定の就労不能状態になったとき。>

の2つに分かれています。

所得補償保険は損害保険会社が取り扱っており、1970年代から登場しました。長期補償の商品や団体向けの商品もあり、その草分け的存在はキャピタル損害保険で、医師マーケット専用の商品も取り扱っています。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-2021年8月23日 日本経済新聞・朝刊-

【「働けない」に備え-給付条件や期間で見極め】

日常生活におけるリスクは様々だが、深刻な事態の一つが病気やけがで長く働けなくなったときだろう。治療などの費用がかかる一方で収入が減るため、公的な支援や民間の医療保険ではカバーしきれないことがある。万一に備え、働けない時に収入を補う保険への加入も選択肢となる。

働けなくなったときに収入減をカバーする保険の一つが「所得補償保険」だ。損害保険が販売しており、病気やけがで一定期間、働けなくなった場合に、月10万円といった保険金を受け取れる。

所得補償保険で保険金が出る条件は「医師が働けないと判断したとき」が基本だ。病気やケガでの入院や医師の指示による自宅療養をしている状態が該当する。「働けない」との診断があれば保険金を受け取れるが、仕事に復帰すれば給付が終了する。保険金が給付される期間は最大1~2年の商品が多い。

受け取れる保険金にも上限があり、大手損保では通常、会社員では直近の給与の40~50%、個人事業主は収入の70~85%までを目安に決めて契約する。会社員では期間が4日以上になると、おおむね給料の3分の2の水準の傷病手当金を最長1年6ヵ月の間、健康保険から受け取れる。こうした給付も前提にして上限が決められている。

保険金の給付が始まるのは働けなくなってから一定の「免責期間」を過ぎた後になる。免責期間は商品や契約により異なり、短い場合で4日、長いときは1年以上といった設定も可能だ。保険料は40歳男性が月10万円を最長1年受給する契約で約2000~2500円(損害保険ジャパンの場合)。年齢や職業、免責期間などの条件により大きく変わる。

働けないときに保険金が出る商品には「就業不能保険」もある。生命保険会社が扱っており、働けないときに保険金が出るのは同じだ。しかし、所得補償保険とは保険金を受け取るための条件や期間が大きく異なる。

保険金が出る条件は所得補償保険に比べて厳しく、「障害年金の障害等級で2級以上」などが条件になる。障害等級2級博多手の指がすべてないといった日常生活を送るのが極めて難しい状態だ。商品によっては公的介護保険の要介護状態などを基準にすることもある。うつ病など精神疾患も保障する商品も多いが、60日超の入院など極めて重い場合に限られる。

東京海上日動あんしん生命保険では障害等級2級などの障害を負ったときか公的介護保険の要介護2以上にあたる状態になったときに保険金が出る。さらにがんや脳卒中、慢性腎不全など5種類の病気で入院化在宅療養が60日を超えて続いた場合も対象だ。三井住友海上あいおい生命保険は公的介護保険の要介護1に相当する状態で保険金を受け取れる。従来はより手厚い介護が必要となる要介護2を基準にしていたが、今年7月から緩和した。

一方で保険金の給付期間は長いものが多く、契約時に設定した年齢まで受け取れる。60歳などに設定すれば、現役の期間にずっと生活の支えを得られる安心感がある。商品によっては仕事に復帰した後も保険金が受け取れる。所得補償保険に比べ、より深刻な事態への備えといえるだろう。

就業不能保険の保険料も年齢などの条件により幅がある。アクサダイレクト生命保険で40歳男性が65歳まで月10万円を受け取る場合は約3000円だ。働けない状態になった時から約1年半まで保険金が本来の半分になる代わりに保険料が安くなる契約もある。会社員や公務員は傷病手当金があるため、その分は保険金が少なくても構わないという需要に対応する。

ファイナンシャルプランナーの浅田里花さんは「就業不能保険などを検討する前に、まずは勤務先の健康保険や公的な障害年金などで働けなくなったときにいくらもらえるのかを確認しよう」と助言する。勤め先によっては社員が働けなくなった時に傷病手当金に給付を上乗せし、一定期間は収入の8割程度を確保できる制度がある。所得補償保険に科団体契約もある、勤め先を通じて加入できれば、60~70歳まで保険金を受け取れることがある。

一方で「住宅ローン返済や子供の教育費のため収入が減ると困る場合は、民間の保険で補うのが一案になる」(浅田氏)。特に自営業やフリーランスの人は働けなくなった時の公的な補償が薄い。保険金の支払い条件や受け取れる期間を確認したうえで検討したい。

以上です。

↑、6月に撮影したラミーカミキリ。

アフラックの第1四半期業績。

8月13日、アフラック生命保険はHPにて、第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。

  • 8/13・ニュースリリース 2021年度第1四半期報告(PDF)

    【管理人の感想】
    1.保有契約は減少止まらず

    2大看板商品のがん保険と医療保険の保有契約件数、保有契約年換算保険料はいずれも前年同期末比で減少していました。

    2.新契約は好転、医療保険は二桁増
    2大看板商品のがん保険と医療保険の新契約はそろって好転しました。

    がん保険の新契約件数は前年同期比100%。また医療保険の新契約件数は前年同期比170.5%とこちらは二桁の増加でした。

    2019年夏に発覚したかんぽ生命の大規模な不適切な募集行為と、その後のかんぽ生命の営業自粛に合わせるかのように、新契約は減少を続けました。そして、かんぽ生命の営業再開とともに新契約件数が好転…かんぽ生命が同社の新契約に、最も大きな影響力を持っている代理店であることが伺えます。

    【主要業績の内容】
    以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

    〇保有契約件数 (内は前年度実績)
    ・個人保険…2368万5000件 (2406万6000件)

    ・個人年金保険…32万6000件 (32万8000件)

    ・個人保険+個人年金保険…2401万1000件 (2439万4000件)

    うちがん保険…1524万4000件 (1548万9000件)

    うち医療保険…583万6000件 (589万9000件)

    〇新契約件数
    ・個人保険…20万2000件 前年同期比119.5%

    うちがん保険…11万4000件 前年同期比100%

    うち医療保険…7万4000件 前年同期比170.5%

    〇年換算保険料
    1)保有契約 ( )内は前年度実績

    ・個人保険…1兆2889億円 (1兆3139億円)

    ・個人年金保険…885億円 (871億円)

    ・個人保険+個人年金保険…1兆3775億円 (1兆4010億円)

    うち医療保障・生前給付保障等…1兆422億円 (1兆602億円)

    2)新契約
    ・個人保険…120億円 前年同期比128.6%

    ・個人保険+個人年金保険…120億円 前年同期比128.6%

    うち医療保障・生前給付保障等…108億円 前年同期比129.2%

    〇保険料等収入、保険金等支払金、四半期純利益
    ・保険料等収入…3321億円 前年同期比96.2%

    ・保険金等支払金…1992億円 前年同期比102.9%

    ・四半期純利益…657億円 前年同期比121.4%

    〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
    ・基礎利益…947億円 前年同期比114.2%

    ・ソルベンシー・マージン比率…940.6% (944.4%)

    以上です。

↑5月に撮影したモノサシトンボ・♂。

 

オリックス生命の第1四半期業績。

8月12日、オリックス生命保険はHPにて、2021年度第1四半期業績を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。

  • 8/12・プレスリリース 2021年度第1四半期報告(PDF)

    【管理人の感想】
    1.保有契約は堅調に増加

    個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、いずれも前年同期末比で増加していました。

    また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料も、前年同期末比で増加していました。

    保有契約は堅調に増加したことがうかがえます。

    2.新契約は依然として減少
    個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年同期比で92.2%、84.8%、95.7%と減少していました。

    また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年同期比で90.4%とこちらも減少していました。

    新契約の減少幅は小さくなったものの、依然として減少を抑えられなかったことがうかがえます。

    【主要業績の内容】
    以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記プレスリリースより抜粋・転載)。

    〇保有契約 ( )内は前年度実績
    1)件数

    ・個人保険…482万2000件 (458万1000件)

    ・個人年金保険…10万3000件 (11万4000件)

    2)契約高
    ・個人保険…14兆1014億円 (13兆3438億円)

    ・個人年金保険…3752億円 (4519億円)

    ・団体保険…6816億円 (6120億円)

    〇新契約
    1)件数

    ・個人保険…9万3000件 前年同期比92.2%

    2)契約高
    ・個人保険…2715億円 前年同期比84.8%

    〇年換算保険料
    1)保有契約 ( )内は前年度実績

    ・個人保険…3233億円 (3000億円)

    ・個人年金保険…451億円 (490億円)

    ・個人保険+個人年金保険…3684億円 (3490億円)

    うち医療保障・生前給付保障等…2075億円 (1909億円)

    2)新契約
    ・個人保険…78億円 前年同期比95.7%

    ・個人保険+個人年金保険…78億円 前年同期比95.7%

    うち医療保障・生前給付保障等…49億円 前年同期比90.4%

    〇保険料等収入、保険金等支払金、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
    ・保険料等収入…1068億円 前年同期比104.4%

    ・保険金等支払金…605億円 前年同期比123.3%

    ・当期純利益…▲12億円 (▲32億円)

    〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績及び数値。▲はマイナス
    ・基礎利益…0億円 (▲46億円)

    ・ソルベンシーマージン比率…1534% (1500.4%)

    以上です。

↑5月下旬に撮影したナミアゲハ・夏型♂の吸水行動。

 

アフラックが介護保険の新商品を発表。

8月6日、アフラック生命保険はHPにて、介護保険の新商品を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
8/6ニュースリリース <アフラックのしっかり頼れる介護保険>の発売について(PDF)

【管理人の感想】
1.介護保険の改定

今回発表された新商品は、現行のスーパー介護保険Vプランの保障内容を大幅に改定して、認知症を含む要介護状態に絞り込んだものと考えています。

がん保険、医療保険の商品改定が繰り返されてきましたが、新契約件数は落ち込みが続いています。介護保険も認知症を含む要介護状態に保障を絞り込んだ他社商品との競争力は低くなっていたように思います。

第三分野が主力で第一分野は強くない同社ですから、ここで介護保険の刷新を行い、何とか巻き返したいところでしょうね。

2.介護保障は年金タイプで通算10回まで
保障は

①公的介護保険制度に基づき、要介護3以上の状態に該当していると認定されているとき、介護年金を通算10回まで受け取れます。また、要介護2以上の状態に該当しているとき、要介護1以上の状態に該当していると認定されているときは、一時金を1回限り受け取れます。

②満65歳未満の場合、保険会社所定の介護状態に該当したとき、介護年金を通算10回まで受け取れます。また要介護2一時金が1回限り、要介護1一時金が1回限り受け取れます。

これは、より自己負担が重くなる要介護状態にメインの保障を絞り込むことで、保険料の低廉化を図ったのでしょう。

3.保険料払い込み免除の条件
今回の新商品では保険料払込免除の取り扱いがあり、その条件は

①要介護1一時金の支払事由に該当した場合

②所定の高度障害状態になった場合

③不慮の事故によるけがによって180日以内に所定の身体障害状態になった場合

となっています。

【公式コメントの内容】
以下、アフラックの公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

【<アフラックのしっかり頼れる介護保険>の発売について】

アフラック生命保険株式会社(代表取締役社長:古出 眞敏)は。公的介護保険制度を踏まえた合理的な保障設計を特長とした<アフラックのしっかり頼れる介護保険>を9月21日に発売します。

現在、日本では「人生100年時代」と言われるほどに長寿化が進んでおり、今後75歳以上の高齢者がますます増加することが見込まれています。また、高齢化とともに要介護認定者も増加していくことが予測され、大きな社会的問題となっています。

当社は「『生きるを』を創る。」というブランドプロミスにおいて、「がんをはじめとした病気やケガ、介護にまつわる不安を少しでも取り除き、自分らしく生きていただくためのお役に立ちたい」という「介護」に対する想いを掲げています。

今般、当社は、介護に関する社会的課題を解決するというCSV経営の実践と、長年掲げてきた当社のブランドプロミスを実践しお客様との約束を果たすために、<アフラックのしっかり頼れる介護保険>を発売します。

当社は、1974年に日本で初めてがん保険を提供するだけでなく、1985年には世界初の介護保険を発売するなど、社会環境とともに変わるお客様のニーズを汲み取りながら新たな価値を創造することで長年にわたってお客様の「生きる」を応援してきました。

今回発売する本商品をがん保険・医療保険に次ぐ柱と位置づけ、公的制度や医療環境の変化、お客様のライフステージごとのリスクに応じた「生きるための保険」をお届けする「アフラック式」の考え方のもと、最適な保障を幅広く提供していくことで、介護保険でもお客様の「生きる」を創るに一層取り組んでいきます。

◇<アフラックのしっかり頼れる介護保険>の特長
①お客様のニーズに合致した保障を提供

認知症に限定しない幅広い要介護原因を保障対象とし、継続的な年金タイプの保障で備えることができます。

②お求めやすい保険料を実現
介護にかかる期間や公的介護サービス利用時の自己負担額に整合した合理的な保障設計とすることで、お客様にとってお求めやすい保険料となっています。

③分かりやすい支払事由
公的介護保険制度と連動した明確でわかりやすい支払事由となっています。

以上です。

↑5月に撮影したダビドサナエ・♂。

医療保障における一時金の重要性。

今回は、3年前に発生した、とあるお客様への給付金請求事由の結末です。

結論から申しますと、お客様は4月下旬に逝去されました。理由は悪性脳腫瘍です。しかも最も悪性の膠芽腫でした。

給付金請求のご連絡をいただいたのは2018年の年明け早々でした。突然奥様に歩行障害の症状が現れ、医療機関を緊急で受診したところ、悪性脳腫瘍との診断確定が下され、直ちに入院・手術となったとのことでした。

保険会社が年末年始の休業期間中だったため、保険会社の業務が開始されてすぐに、入院・手術・三大疾病一時金といった給付金の請求を行いました。

後日、摘出手術と放射線、抗がん剤を組み合わせた標準治療が行われ、歩行障害が残ったものの、言語機能などに支障がなく無事退院されたと聞いたときはホッとしました。

この時、管理人は悪性脳腫瘍(グレード2から4の総称)のうち、悪性度が低いグレード2の腫瘍かな?と楽観視していました。

しかし、それから3年余りが経過した今年の4月下旬、お客様から奥様が亡くなったとのお電話をいただきました。ショックでした。お電話をいただいて2日後、奥様が加入していた保険の手続きについて打ち合わせするためご自宅を訪問しました。

そこで、ご主人から奥様が治療していたのは悪性脳腫瘍の中でも最も質の悪い、グレード4の膠芽腫であったことを打ち明けられました。もう、運が悪すぎたとしか言いようがありません。

ご主人から闘病生活の話を伺った後、奥様が契約していた医療保険は死亡保障がないため解約手続きを行う。ご主人の保険契約の保険金受取人変更の手続きを行う、といった保険契約の手続きの説明を行いました。

説明を終えた時、ご主人から医療保険の各種給付金、特に三大疾病一時金が役に立ったといわれました。複数回の支払事由に該当したため、初回以降も給付金を受け取ったとのことでした。

当時の予算の都合上、がん保険単体の加入を断念したため、がん保障を少しでも…と付加した特約でした。その特約の給付金がお客様にとって重要な役割を果たしたことを知り、一時金の重要性を改めて実感しました。

↑5月に撮影したアオサナエ・♂。

抗がん剤治療給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた令和3年1~3月の裁定概要集(PDF)に、抗がん剤治療給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
投与を受けた薬剤が、約款所定のものではないことを理由に給付金が支払われなかったことを不服として、抗がん剤治療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
甲状腺乳頭がんの治療を目的としてチラージンの投与を受けたため、平成30年5月に契約したがん保険にもとづき抗がん剤治療給付金を請求したところ、チラージンは保障の対象となる約款所定の薬剤には該当しないとして、支払われなかった。しかし、以下の理由により、抗がん剤治療給付金を支払ってほしい。

(1)診断書にはチラージンについて、抗がん剤・ホルモン療法である旨が記載されており、約款にも、保障対象にホルモン療法を含む旨の記載がある。また、医師からは、術後の凝ったがんの発育・抑制を目的に、ホルモン療法としてチラージンを5年間服用するという説明を受けており、チラージンが保障対象外となるのは問題である。

(2)約款において、チラージンが保障対象外の薬剤である旨の定めはない。

(3)給付金は毎月支払われるものであるが、1回目は支払われた。

…この事案はすでに裁定が終了しています。

申立人が罹患した甲状腺乳頭がんは、甲状腺がんの中で最も多く、進行がゆっくりであることが多いそうです。

このがんは、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)で増殖します。

治療の原則は手術によるがんの切除で、がんの広がり程度で、甲状腺の摘出範囲を決めるそうです。

進行の程度で甲状腺全摘出術後に追加治療を行い、その一つであるホルモン補充療法は、脳下垂体のTSH分泌を抑制するよう、甲状腺ホルモン剤(チラージンS錠)を通常より多く投与します。申立人が受けたのはこの治療であると思われます。

保険会社はチラージンを保障対象外の薬剤としていますが、個人的には、標準治療をもれなく保障するようにしてほしいですね。

【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和3年1~3月裁定概要集・P35より転載)。

[事案2020-146]給付金支払請求
・令和3年3月8日 裁定終了

<事案の概要>
投与を受けた薬剤が、約款所定のものではないことを理由に給付金が支払われなかったことを不服として、抗がん剤治療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
甲状腺乳頭がんの治療を目的としてチラージンの投与を受けたため、平成30年5月に契約したがん保険にもとづき抗がん剤治療給付金を請求したところ、チラージンは保障の対象となる約款所定の薬剤には該当しないとして、支払われなかった。しかし、以下の理由により、抗がん剤治療給付金を支払ってほしい。

(1)診断書にはチラージンについて、抗がん剤・ホルモン療法である旨が記載されており、約款にも、保障対象にホルモン療法を含む旨の記載がある。また、医師からは、術後の凝ったがんの発育・抑制を目的に、ホルモン療法としてチラージンを5年間服用するという説明を受けており、チラージンが保障対象外となるのは問題である。

(2)約款において、チラージンが保障対象外の薬剤である旨の定めはない。

(3)給付金は毎月支払われるものであるが、1回目は支払われた。

<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人に投与されたチラージンは、保障対象外の薬剤である。

(2)保障対象とならない薬をすべて約款に規定しなければならない義務はない。

(3)1回目の抗がん剤治療給付金の支払いは誤払いである。

<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本手術の状況等を把握するため、申立人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
上記手続きの結果、チラージンは保障の対象となる約款所定の薬剤に該当するとは認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続きを終了した。

以上です。

5月に撮影したホソミイトトンボ・♂の越冬型。

入院は自分事ではなく家族事。治療費以外の見えざる費用も発生-損保ジャパン調査結果。

6月25日、損害保険ジャパンはHPにて、入院に関する家族の時間やお金への影響調査の結果を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。

  • 6/25・ニュースリリース 「入院に関する家族の時間やお金への影響調査」(PDF)【管理人の感想】
    今回は損害保険会社の調査結果ですが、生命保険の第三分野にも共通していることなので取り上げました。

    調査結果のポイントの中で気になったのは、

    <入院当時加入していた医療保険だけでは全額補填できなかったと30.8%が回答!医療保険に加入していれば全て賄えるわけではない実態と、入院に関する見えざる費用が浮き彫りとなりました。

    ・医療保険に加入していた入院経験者のうち30.8%が保険だけで賄いきれなかった費用があると回答しました。なお、平均不足額は13.7万円でした。

    ・治療費以外にかかった費用については、「家族の交通費」(82.2%)、「食費(病院食を除く)」(80.4%)、「洋服・パジャマ・下着代」(75.5%)や「入院保証金」(40.2%)と、治療費以外の“見えざる費用“が発生することが明らかとなりました。>

    -です。

    まず、医療保険だけでは全額補填ができなかったという回答が調査の中で最も多いかのような印象を覚えますが、よく見ると最多の回答は「加入していた保険で全額補填できた」(55.5%)でした。

    では、全額補填できたケースは?というと、そうした具体的なデータは記載されていませんでした。また、不足額が生じた入院期間や疾病、ケガの種類についてのデータもありませんでした。

    う~ん…このデータで分るのは、医療保険で受け取る各種給付金や一時金で自己負担分をカバーできるケースが最も多い一方で、治療に関係ない費用で預貯金を取り崩す必要があるケースも少なくないといえる程度でしょうかね。

    【公式コメントの内容】
    以下、損保ジャパンの公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

    【「入院に関する家族の時間やお金への影響調査」】

    -入院は、自分ゴトではなく”家族ゴト”!配偶者の入院により約6割が仕事を休んだという結果に。また、治療費以外の”見えざる費用”も発生ー

    損害保険ジャパン株式会社(取締役社長:西澤 敬二、以下「損保ジャパン」)は、入院経験者・未経験者合計2000人に「入院に関する家族の時間やお金への影響調査」を実施しました。

    ◇調査実施の背景
    日本の医療保険世帯加入率は85%を超えており※、多くの方が入院時の治療費の備えとして医療保険に加入しています。

    本調査では、「自身が入院したことがある方(500名)」ならびに「配偶者が入院したことがある方(500名)」の回答から、入院が周囲に及ぼす様々な影響を調査し、経験者だからこそ分かる「入院に必要な備え」が明らかになりました。また、「入院未経験者(1000名)」の回答と比較することで、入院に対する意識のギャップも調査いたしました。

    ※公益財団法人生命保険文化センター平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)

    ◇調査結果のポイント
    ■入院は、入院した本人だけではなく家族の仕事や時間にも影響を与えると50%以上の人が回答!

    ・配偶者の入院により、56.0%が自身の仕事を休んだと回答しました。

    ・配偶者の入院により、74.6%が自身の何らかの時間を喪失したと回答しました。

    ■入院当時加入していた医療保険だけでは全額補てんできなかったと30.6%が回答!医療保険に加入していれば全てまかなえるわけではない実態と、入院に関する見えざる費用が浮き彫りとなりました。
    ・医療保険に加入していた入院経験者のうち30.6%が保険だけでまかないきれなかった費用があると回答しました。なお、平均不足額は13.7万円でした。

    ・治療費以外にかかった費用については、「家族の交通費」(82.2%)、「食費(病院食を除く)」(80.4%)、「洋服・パジャマ・下着代」(75.5%)や「入院保証金」(40.2%)と、治療費以外の“見えざる費用”が発生することが明らかとなりました。

    ■入院未経験の方の50%以上が、自身が入院した場合に配偶者が行う「家事」「育児」に対して不安と回答し、入院経験者および未経験者のうち30%近くの方が、各種代行サービスを使用したいと回答しました。

    ・入院未経験者は、今後もし自身が入院した場合に、配偶者が行う「育児」について57.0%、「家事」について53.5%、「介護」について33.8%の人が不安を感じると回答しました。

    ・入院未経験者は、61.2%が両親からのサポートを受けられると想定しているのに対し、実際に両親からサポートを受けられた入院経験者は40.1%に留まりました。また、入院未経験者のうち、誰からもサポートを受けられないであろうと想定している人は22.1%でしたが、入院経験者の実体験では36.1%となり、入院未経験者の想定と入院経験者の実体験とにギャップがあることが明らかとなりました。

    ・入院経験者および未経験者が今後もし入院した場合、「ペット預入れサービス」を利用したいと回答した人は45.5%、「家事代行サービス」は37.4%、「介護代行サービス」は38.2%、は、「入院生活サポート(病室での生活を支援するサービス)」は37.7%、「育児代行サービス」は27.1%でした。

    【調査概要】
    ●調査期間:2021年3月26日(金)~3月29日(月)

    ●調査方法:インターネット(PC・携帯電話・モバイルサイト)

    ●調査対象:自身・配偶者が入院経験のある既婚者30~60代の1032人 入院経験のない既婚者30~40代の1032人

    以上です。