一部大手乗合代理店で、生保の広告費の多寡が推奨商品の選定を左右?日経報道。

7月17日の日本経済新聞朝刊に、一部の大手生損保乗合募集代理店における推奨商品選定について、生命保険会社からの広告費の多寡が推奨商品の選定を左右したのではないか?との記事がありました。

記事によると、

< 生命保険会社による保険代理店向けの広告出稿について金融庁が実態調査に動き始めた。一部の大手代理店が生保から多額の広告費を受け取っており、広告費の多寡が商品推奨を左右したとの懸念がある。アフラック生命保険などは出稿を取りやめた。顧客本位とは言い難い販売実態が明らかになれば、生保と代理店のもたれ合いにメスが入る可能性がある。

 大手代理店のFPパートナーとの取引がある生保を調査対象にする。FPパートナーはファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員が家計の相談に乗る「マネードクター」を運営する。社員が職場や自宅に赴く訪問型の代理店として業界最大手で、全国の拠点数は約150ヵ所。東証プライムに上場している。>

とのことです。

【管理人の感想】
今回の報道について、金融庁とマネードクターの公式HPを確認したのですが、どちらも報道が事実かどうかを裏付ける発表やコメントを出していませんでした(7月22日時点)。

全国展開している保険ショップなど規模の大きな特定代理店は、代理店手数料の多寡で推奨商品の選定が左右されているのではないか?という疑念が生じたことで、一定期間ごとに報告書を提出することが義務付けられる等、募集経緯の透明性向上などが求められました。

また、保険会社はそうした疑念が生じたこともあって、ボーナスコミッションを廃止するなど代理店手数料の体系を変更しました。

仮に今回の報道が事実であるならなんとも情けない話です。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2024年7月17日朝刊-

【生保の一部大手代理店向け広告、金融庁が調査 商品推奨の左右を懸念】

 生命保険会社による保険代理店向けの広告出稿について金融庁が実態調査に動き始めた。一部の大手代理店が生保から多額の広告費を受け取っており、広告費の多寡が商品推奨を左右したとの懸念がある。アフラック生命保険などは出稿を取りやめた。顧客本位とは言い難い販売実態が明らかになれば、生保と代理店のもたれ合いにメスが入る可能性がある。

 大手代理店のFPパートナーとの取引がある生保を調査対象にする。FPパートナーはファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員が家計の相談に乗る「マネードクター」を運営する。社員が職場や自宅に赴く訪問型の代理店として業界最大手で、全国の拠点数は約150ヵ所。東証プライムに上場している。

 アフラックは7月に入り、FPパートナーに対して広告出稿をやめる意向を伝えた。アフラックはFPパートナーに対し、2023年度に9600万円の広告費を支払っていた。

 数千万円の広告費を負担していたとみられる住友生命保険グループのメディケア生命保険や、東京海上日動あんしん生命保険も広告の出稿を中止する方針だ。SOMPOひまわり生命保険は6月に契約を終え、延長しなかったという。

 広告はFPパートナーの店舗にある電子掲示板やホームページに掲載する。通常取引の範囲を超えた過度の広告費の支払いは代理店への利益供与ともみなされかねない。

 複数の関係者によると、FPパートナーは特定の保険商品を販売すると営業担当者の評価を割り増しにするキャンペーンを実施していた。多額の広告費を支払う複数の保険会社の商品が対象になっていたという。

 割増評価する保険商品を優先的に取り扱う動機が働きやすくなり、公平な販売をゆがめかねない、との指摘がある。FPパートナーは、一部の保険会社や保険商品を営業上の理由などで恣意的に推奨している事実はない、としている。

 金融庁は2016年の改正保険業法で代理店に対し、年齢や家族構成などをもとに顧客に合った商品を提案するよう義務付けた。一つの商品だけを勧めず、複数の商品を比べて説明する「比較推奨」も求めてきた。

 金融庁はFPパートナーと取引のある生保に対し、不適正な広告費を支払っていないか聞き取り調査を実施していた。過度な広告費の支払いなどが比較推奨に反する保険販売につながっているとの懸念があり、金融庁はこのほど各社に追加のアンケートを送付し実態把握に動いている。

 かねて保険業界では、過剰な販売促進策や代理店への利益供与が不適切な販売実態をもたらしているとの批判が少なくなかった。広告出稿を巡る懸念も「FPパートナーに限った問題ではない」との見方があり、金融庁は聞き取りの結果によっては調査範囲を業界全体に広げる方針だ。

 生保が直接雇用する営業職員を通じた保険加入は減り、代理店は有力な販売チャネルになってきた。生命保険文化センターによると、代理店を経由した保険加入は21年度に全体の約15%を占めた。自前の営業職員を持たないは生保は代理店に販売を依存し、「過度な利益供与を生みやすい」との見方がある。

 代理店との距離感は保険業界の長年にわたる課題でもある。自動車保険金の不正請求を繰り返していた旧ビッグモーターは整備工場を金、事故車の紹介数に応じて自動車損害賠償責任(自賠責)保険の契約を損害保険会社に割り振っていた。販売力のある代理店に対する保険会社の監督・指導が機能しなかった典型例だ。

 かつて生保では表彰や研修の名目で、代理店の営業担当者を旅行に案内するような慣行さえあった。こうした露骨な便宜供与こそ減ってきたが、顧客本位をゆがめかねない行為は後を絶たない。業界の自浄能力が問われている。

以上です。

↑ナガサキアゲハ♂の吸水行動(4月撮影)。

大手生保の営業職員数がここ10年の間で最少にー日経報道。

7月5日の日本経済新聞朝刊に、大手生命保険会社の営業職員数の変化に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 大手生命保険会社の営業職員数が減少している。2023年度末時点での大手4社の営業職員数は約15万人と、直近ピークの20年度末から1割減り、この約10年間で最も少なくなった。日本生命保険は5万人を割り込んだ。新規の採用難や転職者の増加が背景にある。今後も減少傾向は続くとみられ、各社は人工知能(AI)を活用するなどして人手不足に備える。>

とのことです。

【管理人の感想】
かつては大量採用大量脱落が当たり前とさえ言われてきた生保の営業職員ですが、管理人が記憶している限りでは、生保10社が業務改善命令を受けた、保険金や各種給付金の支払いミス(支払不足、支払漏れ、支払額過剰)を機に、採用人数を絞り採用後の教育をそれまで以上に高度化して、契約継続率向上を重視する評価制度に移行するなど「量から質へ」と徐々に転換して、早期の離職率改善を実現してきました。

しかし、ここ数年の人材確保の課題はそうしたこととはまた別の問題のようです。

今回の記事を読む限り、大手生保各社は一定の水準を確保するための採用人数のラインを下回る状況となっているようです。他業種との人材確保競争が激しさを増していることもあって、そう簡単に解消しないでしょうね。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2024年7月5日朝刊-

【生保営業職員、10年で最少】

 大手生命保険会社の営業職員数が減少している。2023年度末時点での大手4社の営業職員数は約15万人と、直近ピークの20年度末から1割減り、この約10年間で最も少なくなった。日本生命保険は5万人を割り込んだ。新規の採用難や転職者の増加が背景にある。今後も減少傾向は続くとみられ、各社は人工知能(AI)を活用するなどして人手不足に備える。

 日本生命、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の営業職員数を集計した。23年度末時点の営業職員数は15万3427人と、データを遡ることのできる11年度末以降で最少だった。ピーク時の20年度末では17万人以上が在籍していた。

 日本生命の23年度末の営業職員数は約4万7000人と、20年度末比で14%減った。5万人を割るのは11年度以降で初めてだ。第一生命はオフィス長を含めた生涯設計デザイナー数が2割減の約3万7000人、住友生命は1割減の3万2000人だった。

 新規の採用数も過去10年以上に渡って減少傾向が続く。15年度以降は年3万人を下回り、23年度はおよそ2万人に縮小した。日本生命は3年前まで1万人前後を採っていたが、足下では7000人を下回るようになった。

 背景には人材の獲得競争の激化がある。新型コロナウイルス禍後は飲食業などの求人が増え、生保の営業職員の応募者が少なくなった。より良い条件を求めて転職する人もいる。大手生保の幹部は「数年前と比べると新規採用が難しくなった」と話す。

 全国の使者に所属して自宅や職場を訪問販売する営業職員は、銀行窓口やインターネット、保険ショップで契約する人が増えた今でも生保の主力の販売チャネルだ。生命保険文化センターによると、営業職員経由の保険商品の販売は全体の5割超を占める。

 各社は営業職員の定着率を高めようと、待遇改善に力を入れてきた。日本生命は24年度に営業職員の賃金を平均7%程度引き上げる。7%の賃上げは2年連続になる。他社も7%程度の賃上げを実施する方針だ。

 人材の獲得競争が激化する中、他産業でも賃上げの動きが広がる。人手不足は金融業界だけにとどまらず、今後も採用難は続く公算が大きい。人海戦術による営業に限界が見えるなか、各社が力を入れるのがAIやデジタル技術の活用だ。

 第一生命は生成AIが営業職員を支援する「デジタルバディ」を開発を進め、26年度までに全国での導入を目指す。顧客の生活や資産の状況に合わせた提案を営業職員に推奨するといった機能を付与する。AIが自動回答するチャットツールの開発にも取り組み、対面以外にデジタルでの顧客接点を広げる。

 日本生命は24年度にAIが営業職員を補助するシステムを全国で導入した。公式LINEなどを通じて収集した顧客情報やアンケートへの回答状況、営業職員との通話時間などをAIが分析し、顧客の特性を可視化する。分析結果に応じて最適な契約内容や営業方針を職員に示す。住友生命もAIによる提案支援システムの構築に取り組み、24年度下期の投入を予定する。

 AIやデジタル技術の活用は、営業職員の雇用に直結するテーマでもある。ある大手生保の首脳は「デジタル技術などが進展すれば、営業職員を現状の規模で維持する必要はなくなる」と話す。大量の営業職員を抱え、販売目標を課しながら契約を獲得する手法は転換期を迎えつつある。

以上です。

↑ハナダイコンにやってきたクマバチ♀(4月撮影)。

先進医療給付金の支払いを巡る裁定事案(告知義務違反による契約解除)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年1~3月の裁定概要集(PDF)に先進医療給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 告知義務違反を理由に契約が解除され、先進医療給付金が支払われなかったことを不服として、解除の無効と先進医療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 肝細胞がんに対する重粒子線治療を受けたことから、令和3年6月に契約した医療保険にもとづき先進医療給付金を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され、給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、解除を無効として先進医療給付金を支払ってほしい。

(1)告知義務違反となるようであれば「保険には加入しなくていい」と募集人に言って、本契約の契約手続きをした。

(2)自分はB型肝炎に罹患しており、平成27年に肝細胞がんが再発し、平成28年に重粒子線による治療を行っているが、これ以降の治療や検査の経緯を募集人に話しており、告知している。

この事案は裁定不調で手続きが終わっています。

「保険会社の主張」を読むと、申立人は医療保険の申込時にB型慢性肝炎に関する告知をしています。この時点でなぜ医療保険の契約が成立したのかがわかりません。

慢性B型肝炎は、医療保険に限らず生命保険の契約が非常に難しい疾患のひとつです。ある生命保険会社の引き受け査定の目安では、全期間で引受謝絶となっています。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年1~3月裁定概要集・P47~48より転載)。

[事案2023-130]先進医療給付金支払請求
・令和6年2月2日 裁定不調

<事案の概要>
 告知義務違反を理由に契約が解除され、先進医療給付金が支払われなかったことを不服として、解除の無効と先進医療給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 肝細胞がんに対する重粒子線治療を受けたことから、令和3年6月に契約した医療保険にもとづき先進医療給付金を請求したところ、告知義務違反を理由に契約が解除され、給付金が支払われなかった。しかし、以下の理由により、解除を無効として先進医療給付金を支払ってほしい。

(1)告知義務違反となるようであれば「保険には加入しなくていい」と募集人に言って、本契約の契約手続きをした。

(2)自分はB型肝炎に罹患しており、平成27年に肝細胞がんが再発し、平成28年に重粒子線による治療を行っているが、これ以降の治療や検査の経緯を募集人に話しており、告知している。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)申立人は、B型慢性肝炎に関する告知をしているが、肝がん治療後に定期的にCTやMRIなどで肝細胞がん再発の有無を外来で確認しており、この肝細胞がんに関する事実を告知していない。

(2)募集人は、契約締結の際、申立人から、平成28年の重粒子線の治療後は、がんの再発もなく、通院もしていないと聞いており、肝細胞がん治療後の治療や検査の経緯については申立人から聞いていない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、治療時の状況等を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続の結果、先進医療給付金の支払いは認められないが、以下の理由により、本件は和解による解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、申立人から和解案を受諾するとの回答を得られなかったため、手続を終了した。

(1)募集人は、申立人から、B型肝炎に罹患しており、7、8年前には肝細胞がんが再発して先進医療を受けたことの説明をされたことは認めており、7、8年前にがんに罹患したということであれば、5年以内にがんのフォローにて通院検査している可能性は高く、募集人も、通常であればがんの手術後や治療後に何年かは診察などをすると思ってはいたなどと陳述している。

(2)本契約のタブレットによる告知方法においては、手書きでの記入とは異なり、病状に付随する事情を申立人のみの操作によって容易に追記することができないことからすれば、本契約の告知方法に不慣れな契約者が肝細胞がん治療後の通院・検査の記載を失念するということも全く理解できないわけではない。

(3)本件では、正確な告知書作成経緯が不明ではあるとしても、申立人が重篤な病気に罹患していることを知っている募集人としては、少なくとも、相当慎重に告知書作成手続を行うことが望ましかったが、募集人の事情聴取の結果によってもそれをうかがうことはできなかった。

以上です。

↑吸水行動中のナミアゲハ春型の♂(4月撮影)。

オリックス生命の2023年度決算。

5月30日、オリックス生命保険はHPにて、2023年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/30・ニュースリリース 2023年度決算(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は減少

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比98.5%、99.9%、101.3%と件数と契約高が減少していました。

個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比55.7%、86.8%、68.6%といずれも減少が続いていました。これは、同社が既に個人年金保険の新契約を停止しているほか、日本国内での事業から完全に撤退した、ハートフォード生命保険の既契約を引き継いで管理しているのみなので、今後も減少が継続するものと思われます。

また、医療保障・生前給付保障等の年換算保険料は、前年度末比99.6%とこちらも減少していました。

2.新契約件数が落ち込む
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比72.4%、112.2%、95.2%と特に件数の落ち込みが目立ちました。ドル建終身保険及び円建終身保険の料率改定が行われて、支払保険料の負担が改定前に比べて軽減したことや、解約返戻率が上昇したことで契約高を押し上げたようです。

また、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年度比78.8%と二桁の落ち込みでした。医療保険とがん保険の新契約が落ち込んでいることが窺えます。

【主要業績の内容】
以下、オリックス生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…481万9000件 前年度末比98.5%

・個人年金保険…5万2000件 前年度末比55.7%

2)契約高
・個人保険…14兆984億円 前年同期比99.9%

・個人年金保険…2337億円 前年度末比86.8%

・団体保険…8200億円 前年度末比102.7%

〇新契約
1)件数

・個人保険…20万件 前年度比72.4%

2)契約高
・個人保険…8960億円 前年度比112.2%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…3423億円 前年度末比101.3%

・個人年金保険…281億円 前年度末比68.6%

・個人保険+個人年金保険…3704億円 前年度末比97.8%

 うち医療保障・生前給付保障等…2126億円 前年度末比99.6%

2)新契約
・個人保険…252億円 前年度比95.2%

・個人保険+個人年金保険…252億円 前年度比95.2%%

 うち医療保障・生前給付保障等…121億円 前年度比78.8%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益 ( )内は前年度実績。▲はマイナス
・保険料等収入…4620億円 前年度比101.9%

・保険金等支払金…2466億円 前年度比85.8%

・経常利益…▲31億円 (▲94億円)

・当期純利益…▲31億円 (▲89億円)

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度実績および数値。▲はマイナス
・基礎利益…205億円 (▲69億円)

・ソルベンシー・マージン比率…987.3% (1004.9%)

以上です。

↑天狗蝶の日向ぼっこ(4月撮影)。

アフラック生命の2023年度決算。

5月23日、アフラック生命保険はHPにて、2023年度決算(案)を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/23・ニュースリリース 2023年度決算報告(案)(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約件数の減少が続く

がん保険、医療保険の2大看板商品の保有契約件数は、がん保険が前年度末比97.5%、医療保険が前年度末比97.9%と減少が続きました。

個人保険全体の保有契約件数も前年度末比97.7%と減少でした。

また、医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料も前年度末比98%と減少が続きました。

一度は保有契約件数が増加に転じたものの、ここ数年は再び減少が続いていますね。

2.新契約も減少
がん保険、医療保険の2大看板商品の新契約件数は、がん保険が前年度比96%、医療保険が前年度比96.3%と減少していました。

個人保険全体の新契約件数も、前年度比93.6%と減少していました。

一方、個人保険全体の新契約年換算保険料は、前年度比108.6%と増加しており、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料も109.4%と増加していました。

医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料が増加した要因は添付資料を読んでもわかりませんでした。ひょっとしたら、がん保険や医療保険の1契約あたりの保険料が増加したことが要因かもしれません。

【主要業績の内容】
以下、アフラックの主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約件数
・個人保険…2236万3000件 前年度末比97.6%

・個人年金保険…32万9000件 前年度末比100.7%

・個人保険+個人年金保険…2269万3000件 前年度末比97.7%

 うちがん保険…1433万1000件 前年度末比97.5%

 うち医療保険…552万9000件 前年度末比97.9%

〇新契約件数
・個人保険+個人年金保険…77万7000件 前年度比93.6%

 うちがん保険…52万9000件 前年度比96%

 うち医療保険…17万1000件 前年度比96.3%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…1兆2104億円 前年度末比97.7%

・個人年金保険…993億円 前年度末比106%

・個人保険+個人年金保険…1兆3098億円 前年度末比98.3%

 うち医療保障・生前給付保障等…9867億円 前年度末比98%

2)新契約
・個人保険…546億円 前年度比108.6%

・個人保険+個人年金保険…546億円 前年度比108.6%

 うち医療保障・生前給付保障等…490億円 前年度比109.4%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益
・保険料等収入…1兆2950億円 前年度比100.1%

・保険金等支払金…1兆1718億円 前年度比102.2%

・経常利益…6020億円 前年度比120.9%

・当期純利益…4259億円 前年度比120.1%

〇基礎利益
・基礎利益…4534億円 前年度比120.6%

〇三利源 ( )内は前年度実績
・危険差益…1975億円 (1685億円)

・費差損益…866億円 (814億円)

・利差損益…1692億円 (1259億円)

〇ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・ソルベンシー・マージン比率…1135.6% (889.1%)

以上です。

↑ハナダイコンにやってきたナミアゲハ春型の♀(4月撮影)。

ソニー生命の2023年度決算。

5月21日、ソニー生命保険はHPにて、2023年度決算を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/21・ニュースリリース 2023年度決算(案)のお知らせ(PDF)

【管理人の感想】
1.保有契約は堅調に増加

個人保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比97.4%、105.1%、102.1%と件数こそ減少が続いたものの、契約高と年換算保険料は堅調に増加していました。

また、個人年金保険の保有契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度末比128.4%、140.6%、135.2%といずれも二桁の増加でした。

医療保障・生前給付保障等の保有契約年換算保険料は、前年度末比98.9%と減少していました。2023年1月をもって、ソニー生命保険は自社の医療保険の取り扱いを終了しており、今後も第三分野の保有契約年換算保険料は減少していくものと思われます。

2.新契約は個人年金保険が好調
個人保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比86.1%、113%、102.1%と件数が二桁の落ち込みであったものの、契約高と年換算保険料は増加していました。

また、個人年金保険の新契約件数・契約高・年換算保険料は、前年度比128.4%、140.6%、135.2%と二桁の増加でした。今年度も個人年金保険が好調だったことがわかります。

一方、医療保障・生前給付保障等の新契約年換算保険料は、前年度比77.4%と二桁の落ち込みでした。自社の医療保険の取り扱いを停止しているので、第三分野の新契約年換算保険料が増加に転じる可能性は低いと思います。

【主要業績の内容】
以下、ソニー生命の主要業績の内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

〇保有契約
1)件数

・個人保険…757万3000件 前年度末比97.4%

・個人年金保険…149万2000件 前年度末比131.2%

・個人保険+個人年金保険…906万6000件 前年度末比101.8%

2)契約高
・個人保険…56兆6905億円 前年度末比105.1%

・個人年金保険…9兆8956億円 前年度末比138.2%

・個人保険+個人年金保険…66兆5861億円 前年度末比109%

・団体保険…1兆2970億円 前年度末比92%

・団体年金保険…35億円 前年度末比81.5%

〇新契約
1)件数

・個人保険…31万7000件 前年度比86.1%

・個人年金保険…40万2000件 前年度比128.4%

・個人保険+個人年金保険…72万件 前年度比105.5%

2)契約高
・個人保険…7兆855億円 前年度比113%

・個人年金保険…2兆9708億円 前年度比140.6%

・個人保険+個人年金保険…10兆564億円 前年度比120%

・団体保険…79億円 前年度比98.7%

〇年換算保険料
1)保有契約

・個人保険…9274億円 前年度末比102.1%

・個人年金保険…2790億円 前年度末比135.2%

・個人保険+個人年金保険…1兆2065億円 前年度末比108.3%

 うち医療保障・生前給付保障等…2133億円 前年度末比98.9%

2)新契約
・個人保険…789億円 前年度比110.7%

・個人年金保険…816億円 前年度比142.6%

・個人保険+個人年金保険…1605億円 前年度比124.9%

 うち医療保障・生前給付保障等…89億円 前年度比77.4%

〇保険料等収入、保険金等支払金、経常利益、当期純利益
・保険料等収入…1兆7439億円 前年度比118.3%

・保険金等支払金…1兆546億円 前年度比115.7%

・経常利益…261億円 前年度比27.4%

・当期純利益…135億円 前年度比13.5%

〇基礎利益、ソルベンシー・マージン比率 ( )内は前年度数値
・基礎利益…1859億円 前年度比155.4%

・ソルベンシーマージン比率…1887.6% (2046.1%)

以上です。

↑4月に撮影した春限定の蝶ツマキチョウ♂。

アフラック生命が新しい保険商品を発表。

5月17日、アフラック生命保険はHPにて新しい保険商品を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
5/17・ニュースリリース「見通しのきかない未来に、堅実で柔軟な安心を。<資産形成と保障のハイブリッドツミタス>の発売について」(PDF)

【管理人の感想】
ニュースリリースのタイトルを見て「おっ!!ついにアフラックも変額保険商品を解禁か?」と思いPDFファイルに目を通しました。

ニュースリリースの資料を見た限りですが、

<販売停止となっている個人年金保険の後継商品としての機能に、終身保険WAYSの保障移行機能を組み合わせたもの>

という印象です。新商品としての特徴は「健康状態の告知と職業の告知が不要」というところでしょうか。

【公式コメントの内容】
以下、アフラック生命の公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

-見通しのきかない未来に、堅実で柔軟な安心を。-

<資産形成と保障のハイブリッドツミタス>の発売について

 アフラック生命保険株式会社(代表取締役社長:古出眞敏)は、老後に備える資産形成ニーズと、介護等老後の保障ニーズの、両方を満たす新商品<資産形成と保障のハイブリッドツミタス>(以下、ツミタス)を6月2日に発売します。

 少子高齢化、人口減少、平均寿命の延伸による人生100年時代の到来等、社会構造が大きく変化する中、国民の資産形成を後押しする日本政府の取り組みもあり、老後に備える資産形成や介護等老後の保障に対する関心やニーズが急速に高まっています。

 ツミタスは、契約時に将来受け取ることができる解約返戻金が確定するため、老後の備えとして安定的な資産形成を希望されるお客様のニーズにお応えすることができます。また、将来の保障選択機能を充実させる事で、老後の介護や病気をはじめとする様々な保障ニーズにお応えすることができます。さらに、より多くのお客様にご加入いただけるよう、契約時の健康状態及び職業に関する告知を不要としました。

 ツミタスにより、見通しのきかない未来に対するお客様の不安に、堅実で柔軟な安心をお届けします。

 当社は、今年11月に日本における創業50周年を迎えます。この大きな節目に向けて策定した「Aflac VISION2024」において「生きる」を創るリーディングカンパニーへの飛躍を掲げています。当社は、これからも独自の資源と専門性を生かして当社が向き合うべき社会的課題を解決し、社会と共有できる新たな価値を創造することでステークホルダーのみなさまからの期待と信頼に応えていきます。

<資産形成と保障のハイブリッドツミタス>の特長
1.安定した資産形成が可能
・保険料払込期間満了後の解約返戻金・戻り率が申込時に確定します*1。

・将来に向けた資産形成に重点を置いた商品設計とすることで、効率的な積み立てが可能です。

2.将来の不安にしっかり備える
・介護と死亡のリスクに同時に備えられます。

・加入時ではなく、自分に必要な保障を将来選択することが可能です。

3.健康状態や職業に関する告知が不要
・健康状態に不安がある方でも安心して資産形成にお役立ていただけます*2。

*1.コース変更した場合は、変更したコースの種類に応じて解約返戻金が計算されます。

*2.今までに公的介護保険制度にもとづく要支援・要介護の認定を受けたことがある、または、申請中である場合は、お申込みいただけません。

以上です。

↑3月末に撮影したソメイヨシノ。

がん一時金の支払いを巡る裁定事案(責任開始日前発症による不払い)。

生命保険協会が取りまとめた、令和5年10~12月の裁定概要集(PDF)に、がん一時金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 責任開始日前発症を理由に、がん一時金が支払われなかったことを不服として、がん一時金の支払いと保険料の払込免除を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 申立人の役員が令和4年1月から頭蓋内腫瘍摘出術を受け、同年2月に悪性神経膠腫と診断されたため、令和2年5月に契約した引受基準緩和型医療保険の重度三疾病一時金特約にもとづき、がん一時金を請求したところ、平成28年5月に瀰漫性星細胞腫と診断され、翌月、病名を告知されていることを理由として、一時金が支払われず、保険料の払込免除も認められなかった。しかし、以下等の理由により、がん一時金を支払い、保険料の払込みを免除してほしい。

(1)平成28年の脳腫瘍は良性であると主治医から伝えられており、セカンドオピニオンも得ている。また、告知時に募集人に伝えている。

(2)悪性新生物と診断確定したのは、令和4年1月の再手術時である。

この事案は裁定終了となっています。

申立人が摘出手術を受けたのは、悪性脳腫瘍(グレードⅡ~Ⅳ)の内の低悪性度(グレードⅡ)に分類されている、瀰漫(びまん)性星細胞腫(せいさいぼうしゅ)*です。

*希少がんセターの情報によると5年生存率は75%となっています。

申立人のびまん性星細胞腫は、平成28年5月の病理組織診断報告書で確定していることが保険会社の調査で明らかになっています。申立人が再手術を受けたのが令和4年1月…この結果、約款に定めている

「責任開始日前に悪性新生物と診断確定されていた場合でも、責任開始日の5年前の年単位応当日の翌日から悪性新生物責任開始日の前日までの期間に悪性新生物と診断確定されていないときは、悪性新生物責任開始日以後における初めての悪性新生物の診断確定を、悪性新生物責任開始日前を含めて初めての診断確定とみなしている…」

の支払事由に該当しないため、不払いと保険会社は判断しています。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和5年10~12月裁定概要集・P34~35より転載)。

[事案2022-280]がん一時金支払等請求 
・令和5年10月23日 裁定終了
※本事案の申立人は、法人である。

<事案の概要>
 責任開始日前発症を理由に、がん一時金が支払われなかったことを不服として、がん一時金の支払いと保険料の払込免除を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 申立人の役員が令和4年1月から頭蓋内腫瘍摘出術を受け、同年2月に悪性神経膠腫と診断されたため、令和2年5月に契約した引受基準緩和型医療保険の重度三疾病一時金特約にもとづき、がん一時金を請求したところ、平成28年5月に瀰漫性星細胞腫と診断され、翌月、病名を告知されていることを理由として、一時金が支払われず、保険料の払込免除も認められなかった。しかし、以下等の理由により、がん一時金を支払い、保険料の払込みを免除してほしい。

(1)平成28年の脳腫瘍は良性であると主治医から伝えられており、セカンドオピニオンも得ている。また、告知時に募集人に伝えている。

(2)悪性新生物と診断確定したのは、令和4年1月の再手術時である。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)平成28年5月の病理組織診断結果報告書における病理診断で「Diffuese astrocytoma(WHO GradeⅡ)」とされており、既に悪性新生物の診断確定がなされている。約款上、悪性新生物か否かの基準はICD-0の性状コードに従って判断されるところ、瀰漫性星細胞腫は「/3悪性 原発部位」であり、悪性新生物に該当することは明らかである。

(2)約款の規定により、責任開始日前に悪性新生物と診断確定されていた場合でも、責任開始日の5年前の年単位応当日の翌日から悪性新生物責任開始日の前日までの期間に悪性新生物と診断確定されていないときは、悪性新生物責任開始日以後における初めての悪性新生物の診断確定を、悪性新生物責任開始日前を含めて初めての診断確定とみなしているが、本件で診断確定を受けたのは責任開始日の5年前以内である。

(3)悪性新生物の診断確定は、医師により、病理組織学的所見によることとなっており、医師が申立人にどのような説明をしたかによるものではない。また、保険料の払込免除やがん一時金の支払いについては、セカンドオピニオンを考慮する必要ななく、募集状況も影響しない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の状況等を把握するため、申立人の役員に対して事情聴取を行った。また、医学的判断の参考とするため、独自に第三者の専門医の意見を求めた。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、がん一時金の支払は認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑馬酔木で吸蜜中のキタテハ秋型(3月撮影)。

外貨建一時払保険のプロダクトガバナンス態勢と販売・管理態勢に課題。金融庁のモニタリング結果。

4月3日、金融庁はHPにて、「リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果」(2023事務年度中間報告)を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
4/3・報道発表資料 リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(2023事業年度中間報告)(PDF)

【管理人の感想】
上記報道資料は、

①外貨建一時払保険と仕組み預金のプロダクトガバナンス、販売・管理体制の検証結果

②外貨建一時払保険の運用パフォーマンス分析及びターゲット型保険に関する販売・管理体制の検証結果

③外貨建一時払保険における顧客の属性に応じた販売・管理体制の検証結果

-で構成されています。

まぁ、米ドル建一時払終身保険等の外貨建一時払保険商品を、投資信託といった資産形成のための金融商品と同じ扱いにして、資産形成の手段とするのは無理がありますね。

保険関係費用などの手数料がかさみ、流動性に劣る外貨建一時払い保険を、投資信託といった金融商品と比較すれば、どちらが資産形成の手段として適切なのかは一目瞭然でしょう。

ターゲット型保険?そんな分かりにくい保険商品を契約させようとすること自体論外だと思っています。

【モニタリング結果の概要】

以下、モニタリング結果の概要です(上記報道発表資料より抜粋・転載)。

〇プロダクトガバナンス態勢
1.リスク・リターンの検証等

【販売会社及び組成会社に求められる事項】
◇販売会社及び組成会社は、まず、適切な検証機関のもとでリスク・リターンの合理性などを十分に検証すべき

【モニタリングで判明した課題】
〇全ての重点モニタリング先で実施されていない。

・すべての重点モニタリング先で、リスク・リターン検証が行われていない。

2.顧客の最善の利益追求に資する商品導入の判断、商品性の事後検証と見直し・廃止

【販売会社及び組成会社に求められる事項】
◇販売会社及び組成会社は、リスク・リターンを十分に検証等したうえで、顧客の最善の利益に資する商品の導入を判断すべき。また、導入後も、販売実績等を基に商品性を事後検証し、必要性に応じて商品性を見直し・廃止すべき。

【モニタリングで判明した課題】
〇全ての重点モニタリング先で実施されていない。

・トータルリターンを把握しないまま、「積立利率」といった表面利回りの情報等に基づき、実質的な議論なく、導入を判断。

〇販売・管理態勢
1.顧客の属性に応じた販売

【販売会社に求められる事項】
◇顧客の資産・収入状況、取引経験、知識、取引目的・ニーズおよび判断能力等の属性に応じて、当該顧客にふさわしい商品を販売・推奨すべき

【モニタリングで判明した課題】

・多くの重点モニタリング先で、知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念がある顧客に販売。

2.他のリスク性金融商品との比較説明

【販売会社に求められる事項】
◇顧客が投資判断に必要となるリスク・リターン・コスト等について、「原則」等を踏まえ、他のリスク性金融商品と比較しながら説明・提案すべき。

【モニタリングで判明した課題】
〇全ての重点モニタリング先で適切に実施されていない。

・多くの重点モニタリング先で、比較説明しているものの、マネープランガイド等によるリターン・コスト等の大小比較や、保険商品間での重要情報シートの活用にとどまる。

〇運用パフォーマンス分析及びターゲット型保険に関する販売・管理体制の検証結果

【運用パフォーマンスの検証結果】

・金融庁が、代表的な外貨建一時払保険(運用型)8商品の運用パフォーマンスを分析したところ、2023年8月末時点での運用終了分(継続期間2.5年)の外貨建一時払保険は、継続期間5年以上の同保険(又は同種商品に投資する先進国債券の投資信託)と比べ劣後している。

 現状の販売・管理体制のもとでは、ターゲット型保険を中心に、外貨建一時払保険購入後4年間で約6割の解約等が発生しており、同保険組成時の長期運用前提の想定より契約継続期間が短期化している。また、解約等に発生する費用が利幅を押し下げている状況※が窺われる。

※運用終了分のパフォーマンスを運用成果要素別で分析すると、積立増加効果は薄く利益のほとんどは円安で、解約等費用(市場価格調整と解約控除費)がその利幅を押下げ。

【ターゲット型保険に関する販売・管理態勢の検証結果】
・全ての重点モニタリング先で、運用型商品のひとつであるターゲット型保険のほとんどが目標値に到達すると解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する事例が多数発生している。こうした乗換販売によって販売手数料等が二重に発生することを考慮すると、顧客にとって経済合理性があるとは言えない。販売会社は、目標到達前に顧客に対して無償で目標値の引き上げが可能である旨を伝達した上で顧客の意向を踏まえてアドバイス流するなど、顧客を適切にフォローすべきである。

・多くの重点モニタリング先で乗換販売の実態を把握していないほか、顧客本位の業務運営を確保する観点からの実効的な検証・監査ができていない。

・全ての重点モニタリング先で、保障・相続ニーズがある顧客にターゲット型保険を販売しているが、少なくとも、中途解約した顧客については、これらのニーズを満たせていないと考えられる。

〇外貨建一時払保険における客属性に応じた販売・管理体制の検証結果

【顧客層の検証結果】

・多くの重点モニタリング先で、「元本毀損するとは聞いていない」といった苦情が発生しているため、金融庁が、当該保険を販売した287名の顧客カードを分析したところ、全体では2割で知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念があった。苦情が発生した顧客(87名)に限れば、その割合は3割弱となる。

【適切な動機付けの検証結果】
・全ての重点モニタリング先で、ターゲット型保険については、乗換販売といった顧客にとって経済合理性があるとは言えない事例が多く確認されている。

・ターゲット型保険にかかる役務を見ると、全ての重点モニタリング先で、初年度の負担(商品説明・契約等)に比べ、2年目以降から満期までの合計負担(顧客へのフォローアップ等)の方が大きい状況が見受けられる。一方、販売会社から受け取る手数料体系を見ると、全ての重点モニタリング先で、初年度の比重が重いL字型(例えば、初年度5.5%、2年目以降0.1%等)が採用されている。

・こうした役務に係る負担に見合った手数料体系となっていないことが、乗換販売に繋がっている一因と考えられる。外貨建一時払保険を含むリスク性金融商品の手数料体系が過度にフロービジネスを助長する販売姿勢に影響を及ぼしていないか、検証を継続していく。

以上です。

↑3月に撮影した彼岸桜と大島桜。

J.D.パワーの生命保険契約満足度調査でソニー生命が「保険会社営業職員部門」において第1位を獲得。

3月7日、顧客満足度に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D.パワージャパンはHPにて、2024年の生命保険契約満足度調査の結果を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
3/7・プレスリリース J.D.パワー2024年生命保険契約満足度調査(PDF)

【管理人の感想】
調査は契約時における顧客接点チャネルを「保険会社営業職員部門(いわゆる直販チャネル)」「保険代理店部門」「ダイレクト部門」の3部門に分けて実施たものです。

保険会社営業職員部門の第1位はソニー生命でした。質の高いコンサルティング営業が高く評価され続けているのはさすがです。

さて、今回の調査結果で興味深かったのは、ダイレクト部門におけるオンライン経由で加入した保険会社の選定理由トップ「支払保険料が安かった」のポイント数に、変化が見られたことです。

2023年の調査結果と比較すると9ポイント低下し、年代別にみると30代以下では12ポイント低下し、40・50代でも8ポイント低下、60代以上でも4ポイント低下していました。

さらに30代以下では、「支払保険料の安さ」と「保障範囲の広さ」のどちらを求めるかという質問に対して、「保障範囲の広さ」を求める人の割合が14%から26%に増加していたそうです。

保障範囲の広さは対面型チャネルの土俵です。支払保険料の割安を前面に押し出して新契約を伸ばしてきたネット生保が、どう差別化を図るのか注目ですね。

【公式コメントの内容】
以下、J.Dパワージャパンの公式コメントの内容です(上記プレスリリースより抜粋・転載)。

【J.D.パワー2024年生命保険契約満足度調査】

~全部門で総合満足度が向上。対面型では資産形成タイプの商品の満足度が向上~

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年生命保険契約満足度調査SMの結果を発表した。

3部門共に総合満足度が向上
 本調査は、直近1年以内に生命保険の新規契約・更新手続を行った顧客を対象に、契約時の顧客接点チャネルを「保険会社営業職員部門」、「保険代理店部門」、「ダイレクト部門」の3部門に分けて実施している。部門平均の総合満足度スコアの前年比は、ダイレクト部門で+12pt、保険会社営業職員部門で+8pt、保険代理店部門で+8ptと、全ての部門で満足度が向上していることが確認された。いずれの部門でも「商品提供」、「支払保険料」、「手続・書類」のファクターでの向上幅が大きい。中でも保険会社営業職員部門では「商品提供」と「手続・書類」で、ダイレクト部門では「支払保険料」と「手続・書類」で10pt以上の向上が見られた。

資産形成タイプ*1の商品の満足度が大きく向上
 資産形成タイプの商品の満足度が向上している。保険会社営業職員部門および保険代理店部門を合わせた「対面型」では前年調査(2023年3月発表)と比較して+18ptの大幅な向上が見られ、ファクター別でも全てにおいて向上が確認された。

 保険会社選定時の最も重要な理由を見ると、「営業担当者/代理店/郵便局/銀行などの金融機関/FPに勧められた」が5pt以上増加していることから、担当者による提案がきっかけで加入するケースが増えたことが推察される。

 一方、担当者の「説明のわかりやすさ」、商品提供の「あなたのニーズを満たした保険商品」の評価は向上している。実態を見ても「他の保険商品と比較した契約保険のリスクやデメリット」といった説明の実施割合、顧客資産の確認状況や資産運用のアドバイスも増加しており、担当者の知識や説明スキル、顧客の商品理解度が向上していることが確認された。金利上昇を受けた貯蓄性商品の予定利率引き上げなどを背景に、顧客自身が資産形成タイプの商品について従来以上に納得感を持って加入できるような商品・サービスの提供と対応ができている様子がうかがえる。

 本年より新NISAがスタートし資産運用への関心が高まりつつあるが、生命保険においても昨今の投資環境の好転と金利上昇によって、変額保険を始めとした資産形成タイプの商品の人気が高まっている。ただし、資産形成タイプの商品は市況環境の悪化によるリスクを伴う商品であるため、「他の保険商品と比較した契約保険のリスクやデメリット」などの説明は納得感の醸成の観点から一層重要になるものと考えられる。

*1.本調査では、個人年金保険、養老保険、変額保険、学資・こども保険を資産形成タイプと定義。

若年層のオンライン型生命保険の選び方が変化
 ダイレクト部門は、郵送(通信販売)とホームページ(オンライン契約)による申込みをした契約者を対象にしているが、その中で、ホームページ(オンライン契約)で加入した保険会社の選定理由に変化が見られた。ホームページ(オンライン契約)で加入した保険会社の選定理由トップは「支払保険料が安かった」であるが、前年から比較して9ptの低下が見られる。この変化は年代別で見るとより顕著で、30代以下では-12ptとなっている。

 さらに30代以下では、「支払保険料の安さ」と「保障範囲の広さ」のどちらを求めるかという質問に対して、「保障範囲の広さ」を求める人の割合が前年の14%から26%にほぼ倍増した。このことはオンライン型生命保険の選ばれ方が、若年層を中心に変化していることを示している。

 コロナ禍におけるみなし入院給付金等による生命保険の請求件数の増加により周囲に請求経験者が多くなる中、保険会社へ請求をする可能性が比較的低い若年層も請求を意識することで、生命保険の選び方に変化が見られていると考えられる。オンライン型生命保険についても、従来の安さや手軽さという観点だけでなく、保障範囲の広さという質の一層の充実を求められている状況にあると言える。

J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント
 「本年調査は、デフレ時代の終焉を示す顧客動向の変化が大きな特徴であると言える。オンライン型生命保険では従来の安さや手軽さだけでなく、保障範囲の広さを重視する傾向が強まったほか、金利上昇を受けた貯蓄性商品の予定利率引き上げなどから資産形成タイプの商品の人気の高まりを確認することができた。

 生命保険会社はこうした顧客動向の変化を受け、採算性にも目を配りつつ、商品・サービスの質の向上を一層求められることとなる。また、資産形成タイプの商品へのニーズが高まる局面では、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化が業界全体として強く求められることとなる。」

J.D. パワー 2024年生命保険契約満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。

【保険会社営業職員部門】(対象14社
第1位:ソニー生命(750ポイント)
「顧客対応」、「手続・書類」、「支払保険料」、「商品提供」の全4ファクターで最高評価。

第2位:プルデンシャル生命(741ポイント)

第3位:メットライフ生命(735ポイント)

【保険代理店部門】(対象17社)
第1位:メディケア生命(703ポイント)
「手続・書類」ファクターで最高評価。

第2位:アクサ生命(700ポイント)

第3位:SOMPOひまわり生命、東京海上日動あんしん生命(同点、698ポイント)
SOMPOひまわり生命は「顧客対応」ファクターで最高評価。

【ダイレクト部門】(対象8社)
第1位:ライフネット生命(680ポイント)
4年連続の総合満足度第1位。「手続・書類」、「支払保険料」の2ファクターで最高評価。

第2位:はなさく生命(675ポイント)
「商品提供」ファクターで最高評価。

第3位:メットライフ生命(673ポイント)

<J.D. パワー 2024年生命保険契約満足度調査SM概要>
 年に1回、直近1年以内に生命保険の新規契約・更新手続を行った顧客を対象に、契約プロセスにおける保険会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で14回目の実施となる。

■実施期間:2023年11月中旬~12月上旬 

■調査方法:インターネット調査

■調査対象:直近1年以内に生命保険の新規契約・更新手続を行った人(20歳以上)

■調査回答者数:8568人

 総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。

 保険会社営業職員部門・保険代理店部門:「顧客対応」(33%)、「手続・書類」(26%)、「支払保険料」(21%)、「商品提供」(20%)

 ダイレクト部門:「手続・書類」(29%)、「顧客対応」(25%)、「商品提供」(23%)、「支払保険料」(23%)

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

以上です。

↑菜の花にやってきたセイヨウミツバチ(3月撮影)。