保険乗合募集代理店、特定の保険商品の推奨を禁止へ-日経報道。

10月23日付の日本経済新聞朝刊に、保険乗合募集代理店とその監督指針改正に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 金融庁は保険会社の代理店が特定の商品を推奨することを禁じる。来春にも改正する新指針で、顧客の意向を反映して商品を売るよう義務付ける。販売慣行の規制により、店ごとに特定の保険を進める「テリトリー制度」は成り立たなくなる。顧客本位をなおざりにしてきた業界の慣習は転換点を迎える。

 金融庁は近く監督指針案と関連する内閣府令の案を公表する。パブリックコメント(意見公募)を経て来春に正式に改正する。>

とのことです。

【管理人の感想】
10月26日時点で、金融庁が改正案の公表とパブリックコメントの募集を開始していないので何とも言えませんが、監督指針の改正は管理人が勤務している代理店にも確実に適用されるでしょう。

代理店が定めている募集方針の改正だけにとどまらず、意向把握と適合性確認に至るまでの募集プロセスを大きく見直すことになるでしょう。

生命保険だけでも、ソニー生命、日本生命、オリックス生命、外資系生保M社、SOMPOひまわり生命、東京海上日動あんしん生命、三井住友あいおい生命と委託契約を締結しています。

報道内容通りに指針が改正されたら、医療保険ひとつとってもそれらすべての保険会社の医療保険を比較提示し、契約概要等の所定の募集資料を用いて、十分な時間的余裕をもって説明することになります。

契約者が不利益を被らないようこれまで以上に慎重に募集をしなくてはなりませんね。

【記事の内容】
以下、日経の記事の内容です。

-日本経済新聞 2025年10月23日朝刊-

【特定の保険商品、推奨禁止-代理店の販売慣行、金融庁が規制 不正相次ぎ来春にも】

 金融庁は保険会社の代理店が特定の商品を推奨することを禁じる。来春にも改正する新指針で、顧客の意向を反映して商品を売るよう義務付ける。販売慣行の規制により、店ごとに特定の保険を進める「テリトリー制度」は成り立たなくなる。顧客本位をなおざりにしてきた業界の慣習は転換点を迎える。

 金融庁は近く監督指針案と関連する内閣府令の案を公表する。パブリックコメント(意見公募)を経て来春に正式に改正する。

 これまでは代理店都合で特定の保険商品を選んで勧めることも、その理由を説明すれば認められていた。改正後はこの規定を削除する。顧客の意向に基づいて最適な商品を提案するか、複数の商品を示して選んでもらう必要がある。

 実質的なテリトリー制度が残らないように「抜け穴」も塞ぐ。保険に詳しくない顧客が代理店の販売員に判断を任せたいというケースも想定されるが、便宜供与などを背景に特定の商品に恣意的に誘導できないようにする。顧客の意向が明確にわからない場合は保険料など顧客が重視しそうな項目を例示するといった対応を求める。

 複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店は指針に沿った販売ができるように体制を整える必要がある。取扱商品の数を絞り込んで販売員が説明しやすくしたり、1社専属の代理店に変更したりする選択肢もある。

 代理店には多くの保険商品を明確に説明する能力が求められることになる。販売現場では混乱が生じる恐れがあり対策が求められる。例えば販売教育やデジタル化などにより、顧客の意向を聞き取って適した保険を売るシステムを構築するなどの対応が考えられる。

 損害保険業界では長年、自動車ディーラーなどの代理店が特定の自動車保険を進める慣習があった。旧ビッグモーターは事故車の紹介実績に応じ自動車損害賠償責任(自賠責)保険の契約を損保に割り振っていた。同社以外にも便宜供与の見返りに特定の保険を進める行為は広がっていた。

 生命保険にも似た構図がある。金融庁は8月、大手保険代理店「マネードクター」を運営するFPパートナーに保険業法に基づく業務改善命令を出した。生保会社からの便宜供与に応じて顧客に推奨する商品を決めるなど、適切な募集管理体制が構築できていないと指摘していた。

 生損保で相次いだ不祥事案の多くは保険会社と代理店の関係性を問うものだ。金融庁は法改正や監督指針で手当てを進めてきた。8月に先行して改正した監督指針では、代理店への出向者が顧客情報などを漏洩していた問題を受けて出向者が直接、保険募集にかかわることを禁じる規定などを新たに盛り込んだ。

 保険と直接関わりのないイベントへの協力や、妥当性の検証が難しい広告費の支払いといった便宜供与も問題視された。8月の改正では、こうした便宜供与が顧客に勧める商品に反映されているといった問題意識から社内規定の策定や内部監査などの体制整備を求めた。今回の改正はこれに続く第2弾の位置づけだ。

 生命保険協会は9月に公表した業界向けの指針で、出向に関する規定の策定や出向者の人件費などを出向先に請求することなどを求めた。大手生保などもすでに銀行などの代理店への営業目的の出向を原則廃止する方針を打ち出し、生損保と代理店の関係性には変化が出始めている。

 金融庁側の体制も強化している。7月に保険代理店の監督に特化した「保険代理店監督企画室」を設置した。代理店の検査などを担う各地の財務局と連携して監督の実効性を高める。金融庁にも、便宜供与が顧客の商品選択をゆがめている実態が、十分に把握されてこなかった反省がある。

以上です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です