オリックス生命が収入保障保険のリニューアルを発表。

4月10日、オリックス生命保険はHPにて、収入保障保険のリニューアルを発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
4/10ニュースリリース・「健康状態・喫煙状況に応じてご加入いただきやすい保険料に「収入保障保険Keep Up」を発売」~身体障害や介護状態のリスクにも備える~

【管理人の感想】
今回の商品リニューアルは、以下の3点が大きなポイントです。

①喫煙リスク区分料率を導入し、「非喫煙優良体」「喫煙優良体」「非喫煙標準体」「喫煙標準体」の4つの料率区分を設定。

②収入保障障害介護一時金特約を新設し、いわゆる「リビングデス」の状況となり、収入の減少・途絶となった場合もカバー。

③保険料払込免除事由の拡大。

・現行商品の保険料払込免除事由:「初めてがん(悪性新生物)と診断確定されたとき」「急性心筋梗塞で60日以上の労働の制限または約款所定の手術を受けたとき」「脳卒中で60日以上の言語障害や麻痺等の継続または約款所定の手術を受けたとき」。

・改定後の保険料払込免除事由:「初めてがん(上皮内新生物を含む)と診断確定されたとき」「心疾患の治療を目的として入院または約款所定の手術を受けたとき」「脳血管疾患の治療を目的として入院または約款所定の手術を受けたとき」

上記の取扱いは類似したものも含めて、他社ですでに導入されているものですが、現行商品の内容と比べればかなりの改定内容だと思います。

一方で、今回の商品リニューアルでは、現行商品に設けられている「年金月額上乗せ特約」が廃止されるようです。この特約は子供の進学等で遺族の生活費が多くかかるであろうライフステージに対応するためのものです。

個人的には、保険料の割安さ第一が多い収入保障保険にあって、期間限定(5年または10年)とはいえ、保険期間中に遺族生活費の増加に対応できる貴重な保障機能なので受け継いでほしいと思っています。

【公式コメントの内容】
以下、オリックス生命の公式コメントの内容です(上記ニュースリリースより抜粋・転載)。

【「健康状態・喫煙状況に応じてご加入いただきやすい保険料に「収入保障保険Keep Up」を発売」~身体障害や介護状態のリスクにも備える~】

 オリックス生命保険株式会社(本社:東京都千代田区、社長:片岡 一則)は、2025年6月2日より、「収入保障保険 Keep(以下、Keep)」をリニューアル※1し、「収入保障保険 Keep Up(以下、Keep Up)」を発売しますのでお知らせします。お客さまの健康状態などに応じて、これまで以上に割安な保険料になったほか、死亡保障に加えて「身体障害」や「介護」への保障を可能にしたことで、働けなくなったときのリスクにも備えられるようになりました。

 これまでの「Keep」は、”シンプルで分かりやすいこと”、“合理的な保障をお手頃な価格でご提供すること”をコンセプトとし、死亡保障や高度障害状態に備える保険として、多くのお客さまからご支持をいただいてきました。

 新商品「Keep Up」は、従来のコンセプトはそのままに、被保険者さまの体格(BMI値)や血圧値、喫煙状況などに応じて、保険料を細かく設定しています。そのため、健康状態や喫煙状況によっては、これまで以上に割安な保険料で合理的な保障をご準備いただけます。

 また、「身体障害」や「介護」における保障を充実させ、死亡保障だけでなく、働き世代の生前の保障ニーズにも対応できるようになりました。「介護」に関しては、「要支援2」以上で一時金をお支払いするため※2、要介護状態への重症化を防ぐ治療費などにもお役立ていただけます。

 人生100年時代により定年の延長など働く期間が長期化する中、世帯主が就労不能となった際の生活資金の備えに関して、約7割の世帯が不安に感じています※3。本商品は、「身体障害」や「介護」に対する保障を加えることで、就労不能となった場合でも、お客さまの生活を力強く支えていきたいという想いから開発されました。

 当社は、近年、生命保険会社としてより一層お客さまのお役に立てるよう、死亡保険などの第一分野の保障の充実や商品ラインアップの拡充を図っています。今後も、お客さまにご満足いただける水準の保障内容や保険料で商品をご提供し、多くのお客さまに選ばれる保険会社であり続けることを目指してまいります。

※1.2025年6月1日をもって、現行の「収入保障保険Keep」は販売を停止します。

※2.収入保障障害介護一時金特約を付加した場合

※3.出典:(公財)生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」

以上です。

↑河原の菜花で吸蜜中のモンシロチョウ(3月撮影)。

がん保険の給付金支払を巡る裁定事案(責任開始期前発病によるがん無効)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年10~12月の裁定概要集(PDF)に、がん保険の給付金支払を巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 責任開始期前発病を理由に給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払い等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和3年6月中旬にA病院にて右浸潤性乳管がんと診断された後、同年7月中旬にB病院にてPET-CT検査を受けた結果、診断確定され、令和4年2月に乳腺悪性腫瘍手術を受けたため、令和3年4月に代理店を通じて契約したがん保険(責任開始期は同年6月下旬)に基づき給付金を請求したところ、責任開始期前にがんと診断確定されていることを理由に、契約が無効となり、給付金が支払われなかった。しかし、以下等の理由により、契約無効の判断を撤回して、給付金を支払ってほしい。

(1)約款には、診断書が複数あった場合の採用方法や診断確定日の定義について、詳細な記載がない。医師により記入された診断書が複数ある場合、診断に係る経緯や検査履歴、主治医判断等を鑑みて、診断書を採用すべきである。

(2)がん診断確定日の認定は、B病院にて最も詳細な情報を得られるPET‐CT検査を実施して、初めて治療方針が確定した令和3年7月中旬とすべきである。A病院では治療方針党の決定には至っていない。

この事案は裁定が終了しています。

<保険会社の主張>には、A病院にて約款が定める方法(病理組織学的所見により、医師によってなされること)で診断確定されたことが記されています。

従って、本事案は「責任開始期前発病によるがん無効」とするのが妥当な取り扱いですね。PET-CT検査は申立人が罹患した浸潤性乳管癌の転移の有無を確認するために実施したものと思われます。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年10~12月裁定概要集P37より転載)。

[事案2024-14]給付金支払請求
・令和6年10月15日 裁定終了

<事案の概要>
 責任開始期前発病を理由に給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払い等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和3年6月中旬にA病院にて右浸潤性乳管がんと診断された後、同年7月中旬にB病院にてPET-CT検査を受けた結果、診断確定され、令和4年2月に乳腺悪性腫瘍手術を受けたため、令和3年4月に代理店を通じて契約したがん保険(責任開始期は同年6月下旬)に基づき給付金を請求したところ、責任開始期前にがんと診断確定されていることを理由に、契約が無効となり、給付金が支払われなかった。しかし、以下等の理由により、契約無効の判断を撤回して、給付金を支払ってほしい。

(1)約款には、診断書が複数あった場合の採用方法や診断確定日の定義について、詳細な記載がない。医師により記入された診断書が複数ある場合、診断に係る経緯や検査履歴、主治医判断等を鑑みて、診断書を採用すべきである。

(2)がん診断確定日の認定は、B病院にて最も詳細な情報を得られるPET‐CT検査を実施して、初めて治療方針が確定した令和3年7月中旬とすべきである。A病院では治療方針党の決定には至っていない。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)約款において、責任開始期までにがんと診断された場合には、契約を無効とする旨規定している。

(2)申立人は、責任開始期前の令和3年6月中旬に、A病院において約款に定める方法(病理組織学的所見により、医師によってなされること)によりがんと診断確定されている。したがって、診断確定日は、令和3年6月中旬となる。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、申立人ががんと診断された当時の状況等を確認するため、申立人代理人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の請求は認められず、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。

以上です。

↑庭先の馬酔木にやってきたアカタテハ(3月撮影)。